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カテゴリーアーカイブ: MAGIC YUME Records

Sakura Rainbow – Konnichiwa (こんにちは) [MY001]

 Sakura Rainbow - Konnichiwa (こんにちは) [MY001]

 – Tracklist –
 01. 冬 Winter [Intro]
 02. Winter Paradise (with Sekka Yufu)
 03. はじめまして
 04. 息 Breath (with Sekka Yufu)
 05. チェリー (Cherry)
 06. こんにちは
 07. 愛の雨 (Rainy Love)
 08. Bubble Dream



 - 03. はじめまして


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 Release Date : 2014.05.02
 Label : MAGIC YUME Records

 Keywords : Ambient, Dream, Electronica, J-Pop, Sekka Yufu.


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たとえばネット上で見ただけでも、ジャパニーズ・カルチャー(マンガ/アニメ/ビデオゲームが代表的)を参照・引用したような、海外のプロデューサ/トラックメイカーは、明らかに増えてきています。情報技術の発達や、それに伴う表現の場の広がりが裏にはあると思うんですが、もはやそれは珍しいことではなくなっていますし、逆の見方をすると、そのすべてを視野に収めることはおよそ不可能でしょう(諦めは肝心なのです)。その傾向を特定の音楽ジャンルにのみ見出すことも難しくなっていますし、したがって、彼らを一括りに束ねる的確な呼称というのも、どこにも存在しえないのではないかと思います。

ChillWave系のフワフワしたシンセとHip-Hopのビートの融合はTrillwaveやCloud Rapと呼ばれましたが、そこにさらに上記のような日本発の要素を絡めたスタイルというのが、今現在非常に多く見受けられます(多いのはアニメやビデオゲームを経由したJ-Popの持ち込み・サンプリング)。ビートに関してはHip-Hopでないものもありますし、極端な例では、以前に取り上げたJapornなどは、かなりAmbientに寄ったテクスチャーに、その持ち込みを行っています。その結果できあがる、PopでElectronicな曲たちは個人的にも大好きです。

でも、ここで言いたいのは、それらの曲におけるJ-Popのサンプリングがすげえ、ということではなくて、そこにJ-Popの“フィーリング”が持ち込まれているということなんです。分かりやすく言うと、メロディを聴いて“これ日本ぽくない?”って感じられるということ。自身の例を挙げればMeishi Smileの“LUST”を聴いたときに、中田ヤスタカ氏を感じたような。なんでそう感じるのかって、理屈としてはコード進行とか音の重ね方とか、音楽理論的な話になるんでしょうが、ともかく、今そういうこと―J-Popを含むジャパニーズ・カルチャーの参照―が積極的に起こっているということ自体が、私には新鮮だし、興奮するんです(PopなElectronic musicという部分において、中田ヤスタカサウンドが世界中のトラックメイカーに与えた影響ってのは、ものすんごくデカいと思います)。


まあ一言でJ-Popといっても、どこからどこまでなんだという話もあるでしょうし、個人によって捉え方も異なるでしょう。だから私の一方的な意見でもあるわけですが、このSakura Rainbowも(名前からしてですね)、J-PopフィーリングなElectronic musicを鳴らしてると思うんです。これまでの経歴は不明ですが、2014年頭に突如SoundCloudに登場、4月には自身のレーベルMAGIC YUME Recordsを設立し、レーベルへの所属ミュージシャンを増加させながら、5月に今作リリース、そしてAMDISCSからmix配信と、実に(ホントに)精力的に動いています。しかもそのmixの内容は、Maltine RecordsやZoom Lens界隈一色に染まっていて、その縁でしょう、tomad氏やYoshino Yoshikawa氏にも認識された様子で、このシーンにおけるメインストリームを爆走中です。

音のアタックはそんなに強くなくて、クラブミュージックというよりは、Ambient/Electronicaといったベッドルーム・ミュージックなタッチを強く感じます。歌声合成ソフトウェアUTAU用の音源ライブラリーのひとつである、雪歌ユフ―ウィスパーボイスに定評があるというその声を効果的に用いることで(歌は唄わせていません)、M-2‘Winter Paradise’やM-4‘息 Breath’では、ドリーミィなAmbient空間を生み出しています。特に後者は小刻みなシンバルの音と動きのあるレイヤーを絡めてラッシュ感を生み出し、そこにタイトル通りのブレスが入りこみ、なんとも切迫感のあるシリアスな仕上がりになっていて、作中でも異彩を放っています。

今作が初作であることを意識してなのか、‘はじめまして’‘こんにちは’といった、あいさつをタイトルにしたトラックも印象的です。これも後者は日本語のセリフ、ずばり“こんにちは”をサンプリングしています。でも“久しぶりだね”ってのも続けて入っていて、なんだかノスタルジックな気持ちに。“あ、こんなとこで寝てる”まで言われちゃって、不思議な安心感が漂います。緑の草原にある大木の下で眠っていたような、ファンタジックなフィーリング。

比較的のんびりした音像が続きますが、ラストの‘Bubble Dream’でようやくビートが走り始めます。ソーダの炭酸が沸き上がるような、ポコポコした電子音の可愛らしさと、フワリとしたシンセの包容力がミックスされて浮かび上がるのは、甘酸っぱい夢の記憶か。

全体的にメロディが抑制されているような印象ですが、佇まいはすごくPopです。この辺をディグっている人には当然知られた存在でしょうが、個人的にもかなり気になるトラックメイカー。レーベル所属のミュージシャンも// Y E V R S //(!)を筆頭に、ULZZANG PISTOL(!)、FRIENDLY SNEAKRZ(アニメネタTrillWaveアルバム“Secret Desire”はgoodです)などが名を連ねていて、レーベルの今後のリリースにも要注目。今後の動き次第ではかなりビッグな存在のレーベルになるんじゃないでしょうか。


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 - SAKURA RAINBOW – Mix 4 AMDISCS – 2014 : poppoppop.



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