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カテゴリーアーカイブ: Incordia Netlabel

Various Artists – Cómplices

 Various Artists - Cómplices

 – Tracklist –
 01. Gnomo – Desaparecidos
 02. Oceanozero – En Desobediencia
 03. pHunk – La Noche
 04. Datashit a.k.a. 00.2.7x – Basura
 05. Safoh & Venus – Hemeo Aztinomia
 06. In-seckt – Get Out Of My Head
 07. pHunk – Mucha Policía



 - 03. pHunk – La Noche


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 Release Date : 2017.10.06
 Label : Incordia Netlabel

 Keywords : Compilation, Breakcore, Electronic, Glitch, IDM, Jungle, Noise.


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自分の中の忘れていた自分に出会うというのは、いつもショッキングであり、そしてそれが自分の望まない自分であった場合、恐怖でもある。

最近私は愛用していたウォークマンを失くしたのである。つまり日進月歩の便利な電話モドキとは別に音楽再生装置を持ち歩いていたわけである。おそらくは食堂で下膳の際にトレーに乗せたまま、そのままベルトコンベアに託してしまったのはでないか、つまりベルトコンベアの先に待ち構えている食器や何やかんやを洗うシンクにドボンしたんではないかと考えられる。いや確認はしていないが恐らくそう。ああ。

まあ新たに買うことは決定事項であるとして(現時点で購入は果たされている)、その時間が取れるまでは、しばらく私は裸の耳で過ごさねばらななくなった。裸の耳というのは、つまりガードがないということである。

学生時代が終わってしばらくは私は携帯型音楽プレイヤーに否定的だった。尊敬していた人物の言も関係していただろう。「しゃらくせえ」と思っていた。音楽じゃなくて身の回りの音を聞けよ、なんて思っていた。が、いつからかうっかりウォークマンに手を出したらすっかり戻れない。自意識過剰で頭悪い私は、いちいち他人の視線や言が自身の矮小さを指摘しているように感じられる質なので、ウォークマンを通じて左右の耳の間に作られる世界は、そのわずらわしさから身を隠すのにうってつけだった。

はたして久しぶりにそのガードが外れてしまった私はしかたなく丸腰で電車に乗るわけだが。これが実に落ち着かない。自分でもハッキリ分かるくらいに。どれだけ音楽によるガードに依存していたのかを思い知る。そしてそんなときに私の前に立った大学生男女が充実したトークを繰り広げるものだから(内容は省きましょう)。対比的に自身の暗く鬱々とした学生時代が浮き彫りになってくるようで。耳をふさぎたくなる(目は閉じた)。お決まりの矮小感が身を貫く。逃げ場がない。“ああオレこんな人間だったな”と己の弱さに面喰い、そして精神的にうなだれる。“今畜生!”という気概もなく、ズルズルと家路を歩く。

そんな自分には再会したくなかった。

きっとそんな車内で私がウォークマンを持っていたなら、今作を再生していただろう。なんて思う。耳をふさぎたいってよりは、自分をブッ飛ばしたい気持ちかもしれない。でも聴き返してみたら、そんなにやかましくなかったネ。


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(CC)by – nc 3.0



Gnomo – Insomne [INC10]

 [INC10] Gnomo - Insome

 – Tracklist –
 01. Insomne
 02. Derrota
 03. Lapso
 04. Corporeo
 05. Hypneo



 - 01. Insomne


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 (all tracks are streaming on SoundCloud.)

 Release Date : 2013.04
 Label : Incordia Netlabel

 Keywords : Breakcore, Electronic, Glitch, IDM, Melodic, Noise.


 Related Links :
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メキシコのネットレーベル、Incordia Netlabelより。ウェブマスターでもあるGnomo(Joel Davalos)の作品がフリーでリリースされています。これまでにも同レーベルから複数の作品をリリースしていまして、今作が4作目になります。

過去の2作品―“Isocronías I”, “Isocronías II”については、ストレートなBreakcoreという印象が強い。特に後者“Isocronías II”では、8BITサウンドを使用した牧歌的なメロディと、Gltichyに高速回転するリズムでもって、キャリアの中では異色なサウンドを披露していますが、スタイルとしてはBreakcoreという形容が似合っていました。

そして今作。“Ludens EP”の時点ですでにその萌芽はあったように思いますが、表面的にはやや抑制された調子になっています。スピード感や騒々しさではこれまでに及ばないかもしれませんが、逆にその落ち着いた部分が私には好ましい。Breakcore/Drill’n’bassを通過したあとだからこその、冷徹なビート、その裏には暴力性や狂気性が感ぜられて、その様は蒼い炎や、研ぎ澄まされた刃のようで、ゾクゾクする。“insomne”(不眠)というタイトルにも関係あるのでしょう、全編にAmbience、メランコリックなフィーリングが漂っていて、それがまた今作に神秘性を与えている。いってしまえば、往年のIDMらしいサウンドに近づいているんですが、M-1, M-4にはRhythmic Noiseのような要素も感じられて、いずれにせよストレートなBreakcoreからは離れてきているように思います(もちろんまったくBreakcoreを捨てたわけではなくて、いたるところでそれらしいリズムは聴こえてくる)。

透明感、Ambienceをたたえたメロディに、硬質かつGlitchyなリズム。シリアス、クールな佇まい。私の大好きなサウンドです。そこにNoiseを巧みに取り入れてくるという部分で、他ミュージシャンとは違ったユニークさを感じますが、ここにあと一歩、何かが加われば、私のフェイバリットなミュージシャンに加わりそうな気配です。スタイルの好みは人それぞれでしょうが、個人的には、このBreakcore/Noiseを消化したIDMサウンドでもって、今後も突っ走ってほしい。

ちなみにこのレーベルは、ウェブマスター、つまりGnomoのサウンドと似た傾向のリリースがほとんどのようなので、今作が気になった方は他のリリースにも耳を傾けて損はないと思います。せっかくなので、Gnomoの過去作品から、気になったトラックを以下に―



 - Beta 16 : “Isocronías I”収録。



 - RIP Koopa! : クッパ、やすらかに眠れ。“Isocronías II”に収録。



 - Beta 18 : “Ludens EP”に収録。