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CHICKENANDROFLS & Laffe the Fox – I Like You Better as a Monkey [BL_44]

 CHICKENANDROFLS & Laffe the Fox - I Like You Better as a Monkey [BL_44]

 – Tracklist –
 01. Hang in There, Kid (CHICKENANDROFLS Cover)
 02. Space Port Bravo
 03. A Billion Dead Stars
 04. I Like You Better as a Monkey
 05. Reachable Dream (CHICKENANDROFLS Cover)
 06. Undecisions



 - 02. Space Port Bravo


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 Download Page Free! / you can buy it.

 Release Date : 2015.02.25
 Label : BleepLove

 Keywords : Chiptune, Electronic, Melodic, Punk.


 Related Links :
  ≫ Laffe the Fox on SoundCloud / on YouTube

  ≫ CHICKENANDROFLS! on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp
     on Tumblr / on YouTube / on Noichan


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ロシアのチップチューンレーベル、BleepLoveからのリリースです(ちなみにこのBleepLove、一時期ウェブサイトがなくなったので、あわや閉鎖かと危惧しましたが、リニューアルして再始動しております。主宰は自身もVRUMZSSSRとして活動するEova Luciole)。

今回のリリースは、ノルウェーのLaffe the Foxと、アメリカのCHICKENANDROFLSによるコラボレーション作品。どちらもChiptuneメイカーで、Laffe the Foxは以前にも同レーベルからもリリースを行っていますし、CHICKENANDROFLSもbandcampで多くの作品を公開しています。今作に関しては、どのように制作が分担されたのかクレジットはされていません(“CHICKENANDROFLS Cover”とあるのは、CHICKENANDROFLSのオリジナルですが)。しかしファイル名を見ると、CHICKENANDROFLS & Laffe the Fox、CHICKENANDROFLS feat. Laffe the Fox、Laffe the Fox feat. CHICKENANDROFLSと表記が使い分けられています(M-5はLaffe the Fox単体)。その辺りに、楽曲制作における比重が表されているのかもしれません(それが正しければ半々といったところでしょうか)。

どちらもメロディを主体にしたChipsoundを作っているので、それがここで大きく変えられているということはありません。非常にMelodicで耳馴染のよい、Chiptuneが初めから最後まで駆け抜けていきます。あくまで私見ですが、 CHICKENANDROFLSの方が、よりVGMらしい、ミニマルで8bitな響きのトラックを作っているように思います。対してLaffe the Foxは、Bit-Popというタグを常用していることからも分かるように、Chipsoundを使ったPopを作っていて、スタイルが幅広いように感じます。

双方のサウンドにあまりパンキッシュなイメージはないのですが、今作は不思議とその方向を感じさせるのはなぜでしょう。M-1‘Hang in There, Kid’などは、ギターこそ聴こえないものの、シンバルクラッシュや疾走感のあるリズムに、ヴォーカルも交え、明確にファストなPop Punkスタイルを披露しています。続くM-2‘Space Port Bravo’は、ここではディストーションギターが前面に出され、Chipsoundとガッツリ組んで、カラフルで豪快、そして軽快なChiptuneが鳴らされています。どちらのスタイルからも若干外れたような、けれど、非常にPopな作風になっていて、よい意味で期待を裏切る出来。M-3‘A Billion Dead Stars’もこれまた、ブラストビートと、ちょっと間の抜けた8-bit soundが組み合わさって、ちょっとファニーな、しかしアグレッシヴな、突進力のあるトラックになっています。

後半はストレートなChiptuneがメインになっている印象。煌びやかなレイヤーが幾重にも重なるタイトルトラック‘I Like You Better as a Monkey’は、草原の階段を駆け上がるような、さわやかさと疾走感があふれた気持ちの良いトラック。でも‘Reachable Dream’は若干パンキッシュなノリが戻ってきますし、よくよく聴けば最後の‘Undecisions’も、ノイジーなBit-Soundとファストなリズム利用して、破壊的なイメージを演出しているようにとれる、やはりパンクなスタイルです。

双方のこれまでのリリースと比べても、ちょっと傾向が違うように思えますが、しかしファンの人は必ずや楽しめるであろう作りになっていて、ニクいセンスが光ります。BleepLoveはどちらかというと、アブストラクトなサウンドが多いイメージがあったのですが、こういったPopな作品もどんどんリリースしてくれるとうれしいですね。


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 - Laffe the Fox feat. remedmatika – Initiate Sunset (from “Party”)



 - CHICKENANDROFLS – Americola (from “Americola”)



Мой Сосед Лао Цзы – Light [BL_25]

 Мой Сосед Лао Цзы - Light [BL_25]

 – Tracklist –
 01. Morning To You
 02. Draw Days Of Light
 03. Founded Place
 04. Crawling (Linkin Park Cover)
 05. Fe2O3
 06. Jump Start
 07. Try To Be Someone (Spring Field Cover)
 08. Breathing ([List of TV Shows] Shot in Las Vegas Cover)
 09. It Hurts (Angels & Airwaves Cover)
 10. Space Adventures
 11. You Are My Best Friends In The World
 12. Master Chin
 13. Seaside (The Kooks Cover)
 14. Kiko Oma



 - 01. Morning To You




 - 06. Jump Start


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 Release Page :
  ≫ [ Internet Archive ] / [ ifolder ] Download Free!
    (※ifolderからのダウンロード方法については、こちらを参考にしてください)

 Release Date : 2012.11.14
 Label : BleepLove

 Keywords : Chiptune, Electronic, Emo, Melodic, Pop-Punk.


 Related Links :
  ≫ Мой Сосед Лао Цзы on Last.fm / on bandcamp / on VK (VKontakte) / on PROMODJ


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ロシアン・チップチューン・ネットレーベル、BleepLoveより。Chiptuneデュオ、Мой Сосед Лао Цзы(My Neighbor Lao Tzu)の作品がフリーでリリースされています。以前の作品を紹介した時にも書きましたが、もともとはポスト・ハードコアをやっていた二人が始めたユニットで、当初はАлексейというメンバーがいたようですが、2010年に彼は離脱、現時点のメンバーはАндрей ГондаとАндрей Порубовの二人であるようです。

彼らの場合、名前の表記のスタイルがいくつかあるので、当初はなかなか彼らの作品だと気付けなかった。まずロシア語、キリル文字表記でМой Сосед Лао Цзыが公式だと思うんですが、英語表記のMy Neighbor Lao Tzu(これだとすぐ分かるけれど)、あとはそれを省略してMNLTなんてのもある。今作の場合、レーベル側の表記がこのMNLTだったので、これがまさかMy Neighbor Lao Tzuの略だとは気付けなかった。聴いてみて、やたらとMelodicなChipstyle/Pop-Punkだったので、探ってみたら彼らに行き着いたという次第。なんだお前らだったのかよ!っていう。

というわけで、以前やっていたというポスト・ハードコアの名残だとは思うんですが、ゴリッとしたギターやドラマチックな曲展開を躊躇せずに盛り込んだ、ChipstyleのPop-Punk作品になっている。この手のサウンドってめずらしくないとは思うんです。ChipMetalなんかもそうだけれど、Chipsound/Chipstyleに豪快なギターやドラマチックな曲展開を積極的にとりいれた作風というのは、確実にひとつのジャンルとして定着していて、作り手も聴き手もすでに存在している。じゃあそういう作品を聴くときに、サウンドの新奇性以上に気になる点がどこかという話だけれど、もちろんPopか否かという点も外せないんだけど、サウンドの落としどころがどこかっていう点が、私は気になる。トータルでみた場合に、バンドサウンドに寄っているか、それともChipsoundに寄っているか。

このMy Neighbor Lao Tzuの場合は、土台がChipsoundだと思うんですよ。その中でPopなPunkやEmoに通じる音を鳴らしている。だからバンドサウンドにピコピコ音をとりいれたのとは、向きが違う。また決してPunk/Emoに染まりきっているわけではなくて、あくまでもそのエッセンスをChipsoundの中に放り込んで、気持ちのよい音を鳴らしてくれている。だから表現としては、Pop-Punkであり、Chiptuneでもあるのだ。融合。バランス感覚がすごく優れている。それを象徴しているのが、今作の‘Jump Start’だと思うんだけど、いきなりSka Punkなイントロで高揚感を出したあと、すぐにChipsoundが鳴らされていて、でもこの急激なスイッチングにも関わらず、スムースな聴き心地がある。これはすごい。

M-4, 7, 8, 9, 13はカヴァーになっている。ハードコア~オルタナ~ファストパンクをChipsoundとブレンドして見事にMy Neighbor Lao Tzu色に染めているんだけれど、このカヴァーに見てとれるように、彼らの志向のひとつとして、バンドサウンドが作り上げるケミストリーというものがある。それをChiptuneで作り上げるというのはすごくすごく難しいことだけれど、彼らはそこに向かおうとしているようにも感じる(特に上に書いた‘Jump Start’を聴くとそれを強く感じる)。‘Fe2O3’やラストの‘Kiko Oma’では、ハードな音からはやや距離を置いて、メランコリックな一面も見せてくれる。その幅広さも魅力のひとつだ。

少なくとも現時点では彼らの最高傑作ではあるまいか。Chiptuneという点から見ても、異論はあるかもしれないけど、やはりすぐれたアルバムだと思う。過去の作品も気になる方は、上記のリンク先をたどるなどして、探ってみてください。


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(CC) by – nc – nd 3.0



VRUMZSSSR – Simple Abstraction [BL_11]

 VRUMZSSSR - Simple Abstraction

 – Tracklist –
 01. Morni
 02. Kawaii Kills
 03. OKeGo
 04. Zato-d
 05. Neo Tokyo Poster
 06. Abstraction



 - 05. Neo Tokyo Poster


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 Release Page :
  ≫ [ Last.fm ] / [ mirror ] Download Free!

 Release Date : 2012
 Label : BleepLove

 Keywords : Acid, Chiptune, Electronic, Melodic.


 Related Links :
  ≫ VRUMZSSSR on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on VK (VKontakte) / on PROMODJ


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ロシアのChiptuneを扱うネットレーベル、BleepLoveより。VRUMZSSSRの作品がフリーでリリースされています。これまでにも同レーベルから複数リリースがありますし、他にも8BittersBurgなどからリリースがあり、活発に活動を行っています。

今作にしても、特に最新作というわけではなく。このジャケット画像に目を奪われたというのが、ピックアップのきっかけになっている。今作の内容を象徴している、というわけでもなさそうだけれど、このセンチメンタルなドット画は実に魅力的だ。夜空の下にそびえたつ、高層ビル群。それに背を向け、アスファルトの道を歩く、一人のガール。それは女子高生でもいいし、OLのお姉さんでもいいし、生活に疲れた主婦でもいいんだけど、彼女のシンプル、質素な服装は、夜空の下に存在する都会の喧騒に背を向けるという、その行動と、シンクロしてはいまいか。長い髪をなびかせ、伏し目がちで、口は堅く結ばれている。顔の半分には影が落ちている。漂うロンリネス。ザ・孤独。極めつけは頭にかぶったヘッドフォンだ。どこにも自分の居場所はない、ここ―ヘッドファンの中だけが安らげるのだといわんばかりに、バカでかいヘッドフォンをかぶる、陰気な顔のガール、たまに見かけませんか? ファッションじゃない、その佇まい。私はそういうガールが気になる。いったいあの娘の両耳の間にはどんな世界が広がっているのかと、逆にこちらが想像にふけってしまう。そこにあるのはもしかしたら、こんなChipsoundかもしれない―

なんて考えながら、今作を聴くのも楽しいかと思うんですが、この作品は彼のサウンドとしては、メロディ、突進力、共に、ちょっと控えめな印象がある。前半がちょっとだけアブストラクトな傾向があるせいだろう。なんとなく流れて行ってしまうのだけれど、’Zato-d’あたりから、メロディとドライヴ感があいまって、本領発揮の展開に。目立つのはリズム面のAcid感ですかね。軽やかではないけれど、ミニマルで連打されるリズムは、勢いがあって、とてもエネルギッシュだ。加えてゲームの破裂音というか爆発音のような、ドカドカ、バスバスしたエフェクトをリズム的に持ち込んでいる節があるので、メロディはPopなのにバックでストレンジなサウンドが乱れ飛んでいるという、なんだかすごくカオティックな音像も持っている。ChipstyleとAcidって、決して離れてはいないと思うんですが、だいたいAcidの方が表に出てきてしまって、Chiptuneのきらびやかな響きを生かしたメロディは、その背後に隠れてしまいがち。なので、こういう形でのドッキングというのは面白く感じます。気になった方は、他の作品にも是非、耳を傾けてみてくださいませ。


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(CC) by – nc – nd 3.0