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カテゴリーアーカイブ: MNMN Records

kishochki – Лук и Стрелы [MNMN363]

 kishochki - Лук и Стрелы [MNMN363]

 – Tracklist –
 01. Slip Out
 02. Toluca
 03. Split Saber
 04. Companion Cube
 05. Significant Looks
 06. Mania
 07. Friendship
 08. Pink Hills
 09. the Jaunt
 10. Toluca (Mobos & Modkid remix)



 - 05. Significant Looks


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 Release Date : 2016.02.25
 Label : MNMN Records

 Keywords : Ambient, Chill, Electronica, Glitch, IDM.


 Related Links :
  ≫ kishochki on Last.fm / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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ロシアン・ネットレーベル、MNMN Recordsより。kishochkiことVlad Chervonnyの作品がリリースされています。これまでにも複数のリリースがありますが、前作“Community”は2013年ということで、少なくとも2年以上のインターバルが開いています(まあ普通ですけども)。同レーベルから2012年にリリースされた“kishochki 2​.​0”は聴いていたんですが、それ以降はちょっと遠のいてしまっていました。

IDMやElectronicaと形容される音楽になるかと思うんですが、このあたりの音楽って音楽性がすごく幅広いと思うんですが、メロディで聴かせるタイプと、そうでないタイプと、けっこうパックリ分かれると思うんですね。このkishochki(発音分かりませんがな)がどちらのタイプかと言ったら、後者になるかと思うんですが、じゃあ何が魅力なのかって言ったら、テクスチャーの妙だと思うわけです私としては。ビリビリと振動する空間にひきつったHip-Hop経由のリズムを鳴らし、サンプリングと思しきコーラスを入れるなどして、奇妙なChill感を出したりしてくる(これはほんの一例ですべてがこのスタイルではない)。パーカッシヴなリズムとIDM/Electronicaの幻想感が合体していたり、カットアップしたミニマルなギターを使ったGlitch-Hopだったり、スタイルが限定されていないのです。Hip-Hopが大きな要素としてあるんだろうなあと思うんですが、決してそれがストレートに表に出てきているわけではなくて、エッセンスとして機能している。

そんな調子なので、わりと硬質でアブストラクトなイメージを持っていたのですが、今作でそれを覆されました。重めのリズムはほとんど用いられておらず、全編に奇妙な浮遊感が漂っています。ホワイトノイズのような、ざらついた空間が支配していて、ソフトなShoegaze感すらあるかもしれません(決してShoegazeではないですよ)。その空間の中に立ちあらわれるレイヤーだったり電子音だったりが、絶妙に、そして微妙に、メロディを形成しているのです。相変わらず奇妙な音作りですし、リズムはミニマルだったとしても、ヘンテコなエフェクトや効果音がふんだんに用いられていて、飽きさせません。M-4‘Companion Cube’のメロディの鳴りなんて、キュートというか牧歌的な空気があるではないか(かと思ったら後半でベロベロにエフェクトがかかって、襞状に歪んでいく)。

かなりAmbientに寄った作風になっていると思うんですが、その部分が私の琴線を刺激しているのは間違いなくて、M-5‘Significant Looks’にあるこの幻想感ったら堪らないのですよ。白濁した意識の中でときおり瞬く色彩というか。粒子の荒い空間の中でふわりと香るメロディ。何の景色も見えないんだけど、なんだか守られているようで、安心してしまう。i/dexのサウンドとか思い出します。終盤の分断されたコーラスによるメロディもよい味出してる。M-5‘Mania’のシャイニングなメモリーレーンな調子も大好きで、これもまた恍惚としてしまうのですよ、私は。この冒頭の記憶連れ去り感、半端ないですわ。すぐにエフェクト入って、歪み始めちゃうけど。なんでこんな構成になってるのか分からないけど、そのミステリアスな調子もまた魅力。ストリングスを使った(ストレートではないけども)妙にドラマチックな(!)M-8‘Pink Hills’も今までこんなのなかったんじゃないでしょうか。

最後までざらつきながらもゆるやかで、デイドリームチックな音風景が展開されるのです。今までと明らかに調子が異なるので、これは意欲作なのかもしれません。私としてはこれまでの作品の中ではダントツで好き。非常によい作品だと思います。ちなみに今作のタイトルって訳したら“弓矢”って出てきたんだけど、どんなイメージなんだろうか。

Ewan Limbとのスプリットに入ってるらしい以下の曲も、とても好き―



 - kishochki – Polar Bear


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(CC) by – nc – nd 3.0



the A.W. – micro​.​Dreams III [MNMN332]

  the A.W. - micro​.​Dreams III [MNMN332]

 – Tracklist –
 01. Ⅷ
 02. Ⅸ
 03. Ⅹ
 04. Ⅹ [piano version]
 05. Ⅹ [the A.W. remix]



 - 01. Ⅷ


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 Release Date : 2015.07.29
 Label : MNMN Records

 Keywords : Drum’n’Bass, IDM, Liquid Funk, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ the A.W. on SoundCloud / on VK (VKontakte)


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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。モスクワのユニット、the A.W.の3作目がドロップされています。前に1作目を紹介したときにも書きましたが、メンバーはСергеяとМариныで、おそらく変化はないものと思われます。

ヴォーカルを担っている様子のМариныですが、1作目ではその声が披露されることはなく、2作目の‘Ⅶ’でようやくそのエレガントな歌声を聴くことが出来ました。つまりこれまでほとんど歌に重点が置かれることはなかったのです。Drum’n’Bassを主軸にして、AmbienceやChillなフィーリングを取り入れた、Liquid Funkと呼ぶにふさわしいサウンドが、彼らの持ち味でした。

それが今作では歌を前面に押し出して、全編がウタモノトラックになっています。もちろんいきなり音楽性が変わるということはないので、大枠でDrum’n’Bass/Liquid Funkという部分では変わりはないのですが、印象はけっこう違うんですね。確実に歌を聴かせにきているので、歌に合わせた展開になっているし、歌を活かすような作りになっています。逆にいうとバックがあまり耳に入ってこないんですよね。M-1なんかIDMやTrip-Hopの風味もあって面白いしカッコいいのでもうちょっとバックトラックに比重を置いても素敵だったかもしれません。

Мариныの歌声はソウルフルでエレガントな芯のあるものなので、楽曲に血肉を与えていると言いますか、これまでになかった人間臭さ、熱さを与えているように思います。この辺りで、これまでにあったクールな調子が軽減されてしまっているので、好き嫌いが分かれるところかもしれません。ヴォーカル抜きのトラックなどがあれば、また全体としての印象は異なるものになったのでしょうが。でも、そういう聴き方をするものでもないのかなあ・・・。というのもこれまでの作品と同様に各トラックにはローマ数字が付されていますが(というかほとんどそれのみ)、これは通し番号になっていて、1作目の1トラック目を‘Ⅰ’として、以降は‘Ⅱ’、‘Ⅲ’・・・と続きます。そして2作目の‘Ⅴ’、‘Ⅵ’、‘Ⅶ’を経て、今作の最終トラックは見ての通り‘Ⅹ’となっています。

ということは、考えようによっては、この‘Ⅰ’から始まって(現時点では)‘Ⅹ’で終わるまでが、ひとつの作品とみなすこともできるのかなあと思うわけです。タイトルも“micro​.​Dreams”というシリーズで統一されているし。そうすると、ここにきて連発されたウタモノトラックの存在も、案外バランスのよいものなのかもしれません。私はまだやってませんが、‘Ⅰ’~‘Ⅹ’まで並べて聴いてみるのも面白いかもしれませんね(でも多分近作の方がクオリティは高いと思います)。

ラストにはヴァージョン違い、リミックスが収録されていますが、ひとつはバックをすべてピアノに挿げ替えたポストクラシカル(あるいはネオクラシカル)なヴァージョンへ、もうひとつはトランシーなシンセと変調させたヴォーカルで、本編ではなかったサイバーな宇宙感を演出。前作の‘Ⅶ’や、SoundCloudの他トラック(“micro​.​Dreams”以外)を聴いても感じますが、ストレートなDrum’n’Bass/Liquid Funk以外にも引き出しを持っているようだということです。“micro​.​Dreams”がまだ続くのかどうか分かりませんが、別の引き出しもそろそろ開けてみせてほしいですね。


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(CC) by – nc – nd 3.0



CURLYROCK – Sound’n’Mayhem III [MNMN304]

 CURLYROCK - Sound'n'Mayhem III [MNMN304]

 – Tracklist –
 01. The World Has Waited Till The End
 02. Foolish Boy
 03. Rightback
 04. Run Run Run
 05. Forever Dolce / Empty Dreams Again
 06. King Of Mo
 07. Eccojamed



 - 03. Rightback


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 Release Date : 2015.01.15
 Label : MNMN Records

 Keywords : Downtempo, Electronic, Hip-Hop, Melodic, Screwgaze, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ CURLYROCK on Last.fm / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte) / on Twitter


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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。モスクワのDJ/ビートメイカー、CURLYROCK の作品がリリースされています。ディスコグラフィについては上記Last.fmが詳しいようですが、少なくとも2009年からはリリースを行っているようです。今作のタイトルには“Ⅲ”が付されていますが、実際これは“Sound’n’Mayhem”の3作目になっています。どこで聴けるんだよって思う人もいらっしゃるでしょうが、1作目はbandcampで、2作目はLast.fmで、それぞれ公開されています。フリーでの入手も可能なので、気になる方は是非。

ロシアの音楽シーンってほんとに独特の発展の仕方をしていると思うんですが、今作もそれを示すよい例なのではないかと思います。Abstruct Hip-HopやDowntempo、IDM/Electronica, Ambient、Industrialなどなど、広義の電子音楽を飲み込みながらも、最終的には(おそらくはサンプルベースの)Melodicなトラックとしてまとめあげています。どこからどこまでに、どういうサンプルの使い方をしているのかは分からないんですが(単純なChopped & Screwedなのか、そうでないのか)、スローに変形したメロディの漂わせる独特の異形感や、それでもなお残るメロディの残り香は、ときにVaporWaveを彷彿させます(‘Eccojamed’のアウトロなど特に)。もちろんChopped & Screwedが元来はHip-Hopの手法だったことを忘れてはいけないし、CURLYROCK自身もHip-Hopの側からそれを用いているのかもしれません。実際彼はそのワード―VaporWaveを持ち出してはいませんし、おそらくは“Screwgaze”の中にその部分は内包されているのでしょう。

でもScrewgazeって私の中ではもっとEDMっぽいというか、Bass music、エレクトロでハイプレッシャーな音楽という認識だったのですが、それも回避されていて、その点もやはりユニークに感じます。あと長めの尺のトラックが多いのも印象的です。たぶん平均7~8分あると思います。Ambient/Noiseなイントロから、重厚なリズムと歌が始まるという構成が多いように感じますが、中でも好きなのはM-3‘Rightback’です。ディレイ、リバーヴするヴォーカル、メロディによる浮遊感と、どっしりとしたリズムのスローなダイナミズムが、何とも気持ちよいのです。バックに存在し続けるレイヤーのそこはかとないShoegaze感も、トラックを盛り上げるのに一役を買っていて、細かい演出がニクらしく光ります。M-1のクリスタルライクで神秘的なイントロもけっこう好きです。

わりと(わりと、ね)カオティックな作りかとは思うんですが、何度もリピートして聴いていると、バックトラックよりもメロディが頭の中に残ってきて、完全にMelodicなウタモノ作品として機能するという強者(つわもの)です。Pop志向なんでしょうか。過去のシリーズ作を聴いてもそう思います。‘Forever Dolce / Empty Dreams Again’などは、トラックタイトル通り、途中で曲が切り替わりますが、なぜあえてワントラックに入れてきたのかが謎ですね。その分からなさが、やはり面白く感じますが。

ということで、繰り返しになりますが、EDMやIDM、それからTrapなどなどを咀嚼した上で、Hip-Hop経由のChopped & Screwedでまとめたら、何だか仕上がりはMelodicなVaporWaveっぽくなったという、面白い作品です。この界隈で似たテイストだと、Variaとかですかねえ(ちょっと勢いが違うかもしれませんが)。


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(CC) by – nc – nd 3.0



aboutus – Склонность к изменению [MNMN247]

 aboutus - Склонность к изменению [MNMN247]

 – Tracklist –
 01. ч8рные дыры
 02. От окраины к центру
 03. Где-то рядом
 04. Boddicker vs. Murphy
 05. Воображение (feat. N.Ogoltsova)
 06. Склонность к изменению
 07. Всё означает, нет
 08. Пусть исполнится то, что задумано
 09. Спящему
 10. Точка возврата (feat. Ум-к)
 11. Games%Mind
 12. Bonus. Воображение (Instrumental)



 - 05. Воображение (feat. N.Ogoltsova)


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  (※ifolderからのダウンロードについてはこちらを参照してください。rutrackerについては、こちら

 Release Date : 2013.11.26
 Label : MNMN Records

 Keywords : Ambient, Breakcore, Electronic, IDM, Melodic, Piano.


 Related Links :
  ≫ aboutus on SoundCloud / on PROMODJ / on VK (VKontakte)

  ≫ Alexey Maslov on VK


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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。以前にも作品を紹介した、ロシアの音楽プロジェクトaboutusの新しい作品が、フリーでリリースされています。前作に対して、“次作は望めないかもしれない”などと書いてしまった私でしたが、めでたくこうして作品を届けてくれたわけで、失礼いたしました。

しかしリリースページをよく読むと(もちろんGoogle翻訳の力を借りて)、いつくかのトラックは前作にも収録されていたものだと分かります(M-2, 4, 5, 7が該当)。ミックスをやり直しているとかいう感じでもないので、そのまま再度収録されているようです。

前作と比べるとPopな方向に傾いている印象です。ハードなサウンドは前作にもあったM-2やM-4くらいで、あとはAmbientだったり、抽象的だったり、MelodicなElectronica/IDMだったりと、表面的には落ち着いた作りになっています。M-1なんかは、Melodicなサウンドの中にDubstep調のエレクトロでBleepyなシンセを突っ込んできたり、BPMが上がったり下がったりと、変態的な匂いがしますが、ストレンジなトラックは、そのくらいでしょうか。Pianoの音が散見されるところも、Melodicな印象に一役を買っているのかもしれません。

今作の特徴としてはゲストが多く招かれている点。M-4ではN.Ogoltsova(Sweet PADというバンドのヴォーカリストのようです)、M-10ではУм-к、M-11では«Arsagor»(ロシアンBlack/Death Metalバンド、Grey Heaven Fallのヴォーカル)が、それぞれ招かれています。そして、それぞれがそれぞれに、トラックにカラーをつけてくれています。M-10はPianoを生かしたChillなバックトラックに、Rapを重ねた、まさかの直球Hip-Hop。M-11もやはりPianoを交えたMelodicなDowntempo/IDMに、地の底から響くようなデス声が乗せられていて、これはちょっと面白い、というかユニークですね。

残る1トラックが個人的ハイライトで、前作にも収録されていた“Воображение”にヴォーカルを乗せて、見事ウタモノに生まれ変わったM-5。N.Ogoltsovaの、芯がありながらもエアリーなヴォーカルが乗ることで、もともとあった焦燥感や疾走感、抒情性がさらに強まって、インディギターバンドのような蒼いフィーリングが増幅されている。たまらんです。挿入されるやたらとBleepyな電子音も楽曲に絶妙な緩急をつけている。

突出したトラックはないかもしれませんが、Pop志向は間違いありませんし、ハードとソフトを自由に行き来する柔軟なスタイルに見え隠れするクレバーな頭脳は、やはり注目に値するんじゃないかと思います。良作。あとボンヤリしたジャケット画像のせいで、損しているような気がします。もったいない。


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(CC) by - nc - nd 3.0 deed.ru



The A.W. – [micro.Dreams] [MNMN217]

 The A.W. - [micro.Dreams]  [MNMN217]

 – Tracklist –
 01. I
 02. II
 03. III
 04. IV



 - 01. I


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  (※ifolderからのダウンロードについてはこちらを参照してください。rutrackerについては、こちら

 Release Date : 2013.06.12
 Label : MNMN Records

 Keywords : Ambient, Chillstep, Electronic, Drum’n’Bass.


 Related Links :
  ≫ The A.W. on SoundCloud / on VK (VKontakte)


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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。The A.W.の作品が、フリーでリリースされています。聴いてみて、てっきりソロかと思っていたのですが、どうやら二人組、СергеяとМариныによるユニットのようです。Мариныに関しては、おそらくヴォーカルを担っていると思うんですが、今作においてはそれほど強調されておらず、ほとんど聴こえてきません。

今作ではDrum’n’Bass/2stepのリズムを軸にして、そこにAmbienceやChillなフィーリングを取り入れた、いわばChillstep(あるいはLiquid Funk)のスタイルが採用されているけれど、SoundCloudやVKといった、他所で公開されているトラックを聴いてみると、Electronic musicの中で、特にスタイルを限定している様子ではない(‘Not Like We’はウタモノだし、‘Air’や‘N/A’はGlitch/IDM、‘With You’はSpoken Wordを交えたAmbientな作風だ)。

自らのサウンドに‘Chillstep’や‘Liquid Funk’という言葉を使っているだけあって、ハードな調子はありません。シンセの鳴りにBleepyな響きはあったりしますが、その程度。スピーディなリズムはあれども、全編通じてシンセによる柔らかい音作りが強調されていて、透明感のある流麗な音像が特徴です。M-1やM-3などは聴いていると、冒頭にあるクリアなフレーズがそれぞれ印象的で、水滴が水面におちて、幾重にも波紋が広がっていくような、静かなイメージが頭をよぎります。でも実際その後ろでは確かにリズムが鳴っていて、この静と動のイメージの融合具合が、なんとも面白いところです(このあたり、どことなくΣ-Flyのサウンドを想起させます)。

作品全体にある涼しげ(そしてドリーミィ)なイメージは、この時期には、特に心地よく感ぜられる。上にも書きましたように、スタイルを模索しているような節もありますが、Popに振り切った作品も聴いてみたいですね。あとはIDMなスタイルで統一されたものとか。これからのリリースを楽しみにしてます。ちなみに今作、SoundCloudからも各トラックがダウンロード可能です。分かりにくい方はそちらから入手するのがよいかもしれません。


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(CC) by – nc – nd 3.0 deed.ru



DeliVanDiko – Torus EP [MNMN193]

 DeliVanDiko - Torus EP [MNMN193]

 – Tracklist –
 01. Indeterminacy
 02. Torus
 03. Vita
 04. ObeyYrMom



  - 01. Indeterminacy


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 Release Date : 2013.01.29
 Label : MNMN Records

 Keywords : Alternative, Electronica, Glitch, Guitar, Indie, Instrumental.


 Related Links :
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ロシアン・ネットレーベル、MNMN Recordsより。ロシア出身、イギリス在住のミュージシャン、DeliVanDikoの新しい作品がフリーでリリースされています。詳しいプロフィールはありませんが、クレジットにあるMikhail Nesterovというのが、おそらく彼のリアルネームでしょう。

ロシアらしい、といってよいのかどうか、なんとも形容のむつかしいサウンドです。ギターを中心にしたInstrumentalなのは間違いないんですが、たとえばありがちなPost-Rock調のサウンド、スローでシネマティックなサウンドスケープに嵌り込んではいない。たとえば今作のM-1などは、リズム面で2step/Hip-Hopを感じさせる部分が少なからずある。ギターのフレーズにしても、どこかオリエンタルな情緒性のようなものを感じさせ、それは軽やかに弾むリズムとあいまって、淡い景色の流れを、眼前に浮かび上がらせる。このトラックを聴かせて、日本のインストバンドの曲だよって言っても、信じる人いそうなくらい。

M-2にしても、リズム面にGlitchyなものがある(あくまでGlitchyであってGlitchではない)し、ギターはさらにその存在感を増してリスナーに迫り、なかばShoegazeのような様相を見せつつも、ソロで聴かせる部分が設けられていて、そのあたりはInstrumental Rockの在り方に近いような気がする。2step meets Shoegazeという形容も浮かんだが、少し違うような気もする(余談だけど、このトラックを聴いていて思い出したのが、“Massive Attack meets My Bloody Valentine”と評されたMasske[a.k.a. Last Romantic]のサウンドだ。私の知っている中では、そこが一番近いかもしれない。彼の作品も素晴らしいんですが、とりいそぎ入手はコチラコチラから)。

M-3などはBass musicの影響を受けていると思しき、ダビーでBleepyな低音部が印象的だ。このトラックはひときわElectronicかつダークで、作中でも異色。ラストはアグレッシヴなギターサウンドに乗せて、ここにきていきなりヴォーカル(というか投げやりなシャウト)を入れてくるという手法で、Rock/Punk/Hardcoreな精神を見せつける。そこまでのサウンドではクールな佇まいの裏に封じ込められていた熱量が、ラストで一気に放出されてくる。こういった部分からも、本来的にはラップトップの人ではないんだろうなと推察。フックのあるシンセと跳ねたリズムに、エキサイティングなギターを絶妙なバランス感覚でもって加えることで、ユニークなInstrumental Rockを鳴らしている。

過去の作品もbandcamp上で実質フリーという形で公開されているんですが、聴いてみると初期の方がHip-Hopに接近している気がしますね。ギターの鳴りは控えめ。電子感のある断片的なシンセフレーズとブレイク気味の生っぽいリズムが組み合わさっている“EP”とか、メチャメチャかっこいいです(だったらそっち紹介しろよっていう野暮なツッコミは無しだぜよ)。特にその中でもやはりオリエンタル・フレーバーでインパクトを残すトラック‘Submissiveness’を以下に貼らせていただきます。すげえクールだ。こういう出会いがあるから、netlabel/netaudio探索の手は止められない。ワクワクしますね。



 - Submissiveness


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Produced by Mikhail Nesterov
Recorded by Mikhail Nesterov and Cameron Hollis at London School of Sound
Mixed and Mastered by Mikhail Nesterov
Artwork by Kornei Salamatov


(CC) by – nc – nd 3.0 deed.ru



aboutus – От окраины к центру [MNMN174]

 aboutus - От окраины к центру [MNMN174]

 – Tracklist –
 01. Boddicker vs Murphy
 02. Tiranium Pollak
 03. Year to a doomsday (feat. Anna Barinova)
 04. Воображение
 05. Всё означает, нет
 06. От окраины к центру



 - 05. Всё означает, нет


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    (※ifolderからのダウンロードについてはこちらを参照してください。rutrackerについては、こちら

 Release Date : 2012.11.17
 Label : MNMN Records

 Keywords : Ambient, Bass music, Electronic, Glitch, Hardcore, IDM, Melodic, Strange.


 Related Links :
  ≫ aboutus on SoundCloud / on PROMODJ / on VK (VKontakte)

  ≫ Alexey Maslov on VK


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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。aboutusの作品がフリーでリリースされています。サウンドを聴いて、てっきりソロユニットだと思っていたら、レーベルのプロフィール画像みて鼻水吹き出しそうになりました。色調加工された4人のメンバーが、ご機嫌な調子でカメラ目線を決めていたものですから…。もともとはVladimir IvanovとAlex Nazarovの二人で始めたプロジェクトのようです。

なんともストレンジなサウンドスタイルです。アブストラクトなわけではなくて、どちらかといえばメロディは流れている方。使われているパーツが通常とは異なるわけではない。組み合わせ方がマジカルだ。そこからどうしてそこにいくんだろう、というような繋げ方をするんだけど、でもそれで聴かせてしまうという、これは剛腕なのかセンスの賜物なのか、よく分からない。食べ物に例えていえば、創作料理のような。それとそれを組み合わせちゃうのっていう。それちょっと不味いんじゃないの?って思わせて、食べてみたら全然不味くないっていう。

トラックごとに味わいも異なっていて、どこに芯があるのかもいまいち分からない。Pop志向だとは思う。M-1なんかはBreakcoreのようなハードなスタイルに、ヘビーかつキャッチーなギターフレーズ(Metalの影響も感じる)を取り入れた、豪快なサウンドで、シンプルなカタルシスが得られる。と思ったらM-2が、Dark Ambientな湿った空間と、Industrial/Gothicなテイストのサウンドやエフェクトが混ぜ合わされた、シネマティックな小品に。M-3がGlitchyなIDMといっていいだろうか、Electronicなバックトラックに、ポエトリー・リーディング/スポークン・ワードのような声部を挿入した前半から、徐々にLo-bit風のシンセが顔を出し始め、中盤でやや抽象に流れたあとは、序盤で聴こえた鍵盤の旋律を再びもってきて、そのあとBass musicのようなBleepyなサウンドに突っ込んでいく。しかも後ろではドラマチックなストリングスのシンセと、ディストーションギターが絡み合っている。最後は流麗なストリングスで締めくくられるので余韻はセンチメンタルだが、そこに至るまでは山あり谷ありの物語のような。

M-4はピアノとギター(控えめながらPost-Rock調だ)を生かした、ひときわMelodicなトラックになっている。Bass musicの影響も顕著な分厚いシンセが随所で出てくるが、リズミカルでMelodicなギターがトラックを牽引していて、そのちょっとした感傷性、さわやかなサウンドスケープは、部分的にはまるでインディーバンドのような雰囲気があって、なんとも不思議な聴き心地。

ラストのM-6‘От окраины к центру’は、ラジオのチューニングのような鋭いノイズと、幻想的でMelodicな電子音、そして重厚なリズムが組み合わさったIDMからはじまり、途中でブリブリのシンセを入れた後、丸く温かみのある電子音で締めるという、基本的にはMelodicなんだけど、やはり歪さを感じさせる仕上がり。

何回も聴いているとさすがに構造上の新奇性というのは弱まってくるのだけど(ノイズも聴きなれてしまえばノイズではなくなるという話と似ている)、それでも聴かせる力があるのは、やっぱりメロディを捨てていないからだと思う。構造上のヘンテコ具合の面白さと、メロディによる音楽的なカタルシスが味わえる、ユニークな作品です(なんだか寡作の様子なので次回作は望めなさそうだが)。かくて音楽フロンティアというロシアに対する私のイメージは無事に保たれたわけですね。


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(CC) by – nc – nd 3.0



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