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カテゴリーアーカイブ: POEM CORE TOKYO

▒◊↭ᑯⅈℤ௨ழ↭◊▒ – 3D文学 [PCT-005]

 ▒◊↭ᑯⅈℤ௨ழ↭◊▒ - 3D文学 [PCT-005]

 – Tracklist –
 01. ベーゴマピラミッド
 02. アトピーの交尾
 03. ミチコ婆ちゃんとコンビニ



 - 03. ミチコ婆ちゃんとコンビニ


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 Release Page :
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 Release Date : 2013.10.21
 Label : POEM CORE TOKYO

 Keywords : ChillWave, Poem Core, VaporWave.


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瞬く間に潮流を生み出したPoem Core。その提唱者であるBOOLみずから運営するネットレーベル、POEM CORE TOKYOより。▒◊↭ᑯⅈℤ௨ழ↭◊▒(Dizzy)の作品がフリーでリリースされています。ふだんはHip-Hop/Rapで表現を行っているようですが、今回はBOOLの作品に感化される形で、Poem Coreに挑戦、今作のリリースにいたったようです。

私、中学生のころですかね、NHK-FMで放送されていた、ダミーヘッドで録音されたラジオドラマ“青春アベンチャー”が好きで、テープに録って、よく聴いていました(※今でも放送はされています)。ダニエル・キイスの“アルジャーノンに花束を”とか、ジャック・フィニィの“盗まれた街”、それからロバート・A・ハインラインの“夏への扉”とか、今でも、聴いていたことを思い出せる作品は、いくつかあります。文字を読むという行為から脳内に映像を立ち上げる“小説”とは違って、言葉を聴くという行為からそれを行うのが“ラジオドラマ”だった。その在り方は、私にとってすごく新鮮でした。

なんでそんなことを書くのかという話。モノローグ調の語りが中心にある、Poem Coreにおけるポエムと、ラジオドラマにおける言葉による描写が、私の中でどこかリンクするように感ぜられたからです。もちろんPoem Coreにおけるポエムはモノローグばかりではないので、一概には言えないんだろうけれど、音楽を従えた独白という表現からは、演劇や映画の演出に近しいものを感じたりもする。そこでふと今作のタイトルを見てみると、“3D文学”とある。なるほどと、感心してしまいました。この言葉はすごくPoem Coreの在り方を的確に表していると思います。

文学という言葉に対する定義は、この際置いておくとして、この場合は単に言葉による表現だと考えよう。言葉による表現の内、たとえば小説という表現形式はどうしたって2次元上のもので、読者は紙面やディスプレイ上の言葉を追って、それを読むことしかできない。対してPoem Coreはどうだろう。再生環境も関係するけれど、聴覚が受容する以上、Poem Coreにおける言葉たちは、前後左右(環境によっては上方からも)、聴き手に迫ってくる。つまり立体的。3D。と、いうことで、ここで、大きく言ってしまえば、Poem Coreは3Dな文学、聴く文学ということになるんです!とカッコつけようとしたけれど、じゃあ“歌”も言葉による表現だよね、しかもやっぱり立体的に受容することは可能だよね、ってことは“歌”も3D文学―聴く文学足り得るよねってことで、この方向で歌とPoem Coreの違いってやつを詰めきれなかったので(スタイルが違うのはもちろんだけど)、この話はここまでにします。

このDizzyの作品はすごくよいです。実にPoem Core。BOOLがいうところのPoem Core三大要素―ナイフのような自意識、スケベ心、暗闇、これらが見事にそろっている。正統派Poem Core(なんと奇妙な響きでしょう!笑)。1頁目の次が2頁じゃなくて7頁や8頁になっているような、不条理な展開。ナイフのような自意識に起因した、頭の中で渦巻く言葉たち、それらがそのまま漏れ出てしまったかのような、この狂気性。眩惑的イメージ。そこにふいに落とし込まれる、“ホンジャマカの3人目のメンバー”とか、“笑点でピンクのやつを貶す”とか、“コロコロコミック”、“ジャスコの特売品コーナー”とか、現実的な言葉たち。ほんの一瞬だけコチラとアチラがつながるような、この感覚。筋を通そうとして何回も聴くけれど、結局通らない。トラックの最後に“PS:ティッシュじゃなくて、ホントはティシュー”をねじ込む意図の分からなさ。“怯える店員の名札には/なんて書いてあったと思う?/ほんとうにビックリしたよ/運命って本当にあるんだね”と言ったまま、結局明かされない店員の名前。闇だ。もう、いたるところに闇が潜んでいる。直接的に発される性的な言葉たちはなぜかしら、ノスタルジックで思春期的に響く。

なんでノスタルジックかと考えたら、バックトラックの聴き心地かもしれません。ChillWave/VaporWaveを経由した、ドリーミィで柔らかい音作り。そこに、上に書いたようなとてもPoem Coreな言葉たちが乗っているから、マッドなオーラを放っているけれど、トラック自体はとてもMelodicで親しみやすいんです。本末転倒かもしれないけれど、ポエム抜きの形も聴いてみたい、なんて思ってしまうほどでした。少年の日のノスタルジアが狂気に転じたような、独特の切なさ。ノスタルジアと闇が同居した、正統派Poem Coreの良作だと思います。このキッチリとしたフォローぶりには、すごくクレバー、スマートなものを感じます。たぶんそのうち、色んな意味ですごくPOPに振り切ったPoem Coreも出てくると思いますが、私はこのアンダーグラウンドな空気こそが、という思いもあるので、この流れも枯れてほしくないです。


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