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カテゴリーアーカイブ: Aural Sects

violet familiar – wild empathy

 violet familiar - wild empathy

 – Tracklist –
 01. bbvio
 02. pale moon
 03. lost in the woods
 04. waterproof
 05. anything
 06. let me b w u
 07. fire glyph
 08. fizzy_p0p_3



 - 03. lost in the woods


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 Release Date : 2014.06.09
 Label : Aural Sects

 Keywords : Breakbeat, Electronic, IDM, J-Pop, Melodic.


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フロム・インターネットのザ・ネットレーベル、Aural Sectsより。violet familiarの作品が実質フリーという形でリリースされています。これが初作かと思いきや、2012年にはPrettyFacesSplitOpenとのスプリット“Tomorrow Already Happened”をリリースしています(フリー)し、Fluorescent Recordsのコンピレーション“Fluorescent Presents: For Someone Who’s 1”にも参加しています(これもフリー)。

パッと聴き、古典的なIDMのにおいを感じさせてくれます。Breakbeatも交えた細かいリズムですとか、クリスタルライクなシンセですとか、VGMを彷彿させる柔らかいメロディですとか、この冷たい幻想感は、いわゆるElectronica/IDMのフィーリングというのを強く持っていて、Aural Sectsっぽくなくない?なんて思った次第(っていうほどAural Sectsのリリースを聴けてないけどネ)。

聴きにくさにも通じるような重いトーンは一切なくて、音色自体にも軽い印象があります。随所で用いられているGlitchやDrum’n’Bassなリズムパターンなども重さには結びついておらず、この辺りのライトな聴き心地と、フワリとしたメロディが呼び起こすのは、ノスタルジア。そんな中でも、M-2の半覚醒状態のまま疾走するような、不思議な緊張感ですとか、M-3のコズミックな浮遊感から一転してのメカニカルな音像ですとか、M-4のドリーミィなサウンド中に展開するドラマチックなBleepyシンセだったり、この辺り、けっこう意表をついてくる形で、聴かせてくれます。

しかし最も意表を突かれたのは、M–6ですね。タイトル‘let me b w u’を見てピンとくる人もいるでしょうが、これはなんと‘Let Me Be With You’のエディットなのです。J-Popを経由したnetlabel/netaudio界隈ではおなじみのこの曲をここにきて持ってくる辺り、彼の自信と不敵さを感じてやみません。メロディの断片は残しつつも切り刻んだエディットになっていて、しかしそこまでのElectronica/IDMな流れとは明らかに違う方向に持っていくあたり、ネタとしての利用なのかもしれませんが、このトラックひとつで今作のイメージがだいぶ変わりました。いきなり時代を飛び越えた感が。実際ここからちょっとシフトチェンジしてM-7はChillWaveやTrillWaveのようなチルな展開になっているし、ラストの‘fizzy_p0p_3’もShoegaze/Noiseを飲み込んだチルでドリーミィなTrip-Hopといった様相で(ヴォーカルの断片も聴こえる)、なかなか飽きさせません。

前半部のコズミックな浮遊感も私は大好きですし、その方向で通してくれても何も文句なかったんですが、この後半部の意表を突く展開は、これはこれで面白いです。どちらかのテイストが彼の本質なのかといえばきっと前者なのでしょうが、今後この分離された領域が彼の中でどのように互いを侵食していくか、気になるところです。上に挙げた“Tomorrow Already Happened”収録の‘flicker’などが、理想的なトラックかもしれません。



 - flicker (from “Tomorrow Already Happened”)