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Whitely & Love Through Cannibalism – Wonderful Island [PB077]

 Whitely & Love Through Cannibalism - Wonderful Island [PB077]

 – Tracklist –
 01. Whitely – Discovering Atlantis
 02. Whitely – Lost In Your Eyes
 03. Whitely – Pearl
 04. Whitely – Show Me How To Fly
 05. Love Through Cannibalism – A Summer Ghost
 06. Love Through Cannibalism – Colorful Dreams
 07. Love Through Cannibalism – Banana Night
 08. Love Through Cannibalism – Kanto Drift



 - 03. Whitely – Pearl



 - 05. Love Through Cannibalism – A Summer Ghost


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 Release Page :
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 Release Date : 2012.09.27
 Label : Pxl-Bot

 Keywords : Breakcore, Chiptune, Electronic, Pop, Tropical.


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イングランドのネットレーベル、Pxl-Botより。同じくイングランドのWhitelyことTom Loweと、スペインはバルセロナのLove Through Cannibalism、彼らのスプリット作がフリーでリリースされています。ドット画と写実的な絵を合わせたような不思議なジャケットイメージ、そこにあるのはマジカルなアイランド。ラフレシアやバタフライなどに加え、ゲーム画面から抜け出したと思しき、奇妙な生物が見てとれる。それこそがこの作品で描こうとした世界であり、それは見事に成功している。

リリースページでも言及されているように、両者が作る音楽は、ジャンル・カテゴリとしてはChiptuneでありながら、そのスタイルは異なっている。WhitelyはストレートかつアグレッシヴにPopなメロディを鳴らしていて、さらにはダンサブルなリズムとスピード感で、聴き手を一気に飲み込んでいく。きらびやかな音色(それはときにトロピカル)をふんだんに使い、アタックの強いリズムでもってリスナーの鼓膜を震わせる。やがてリスナーの理性は封じ込められ、精神は何の疑念もなく”Wonderful Island”に導かれていく。特に作品中でも出色な’Pearl’は、キュートでBleepyなメインフレーズを骨にして、様々な肉付けが行われていく様を楽しむことができる、面白いトラック。フレーズは常に変わらず流れているのに、景色が次々に移り変わっていくような、スピード感とカラフルなイメージ。聴き手を飽きさせないマジカルなトラックで、聴いてすぐさま、私のフェイバリット・チップチューンに仲間入りした。

対するLove Through Cannibalismは、どちらかといえばHardcoreなサウンドをスタイルにしている。‘A Summer Ghost’や’Banana Night’などは、Chiptuneのファニーでキュートな響きを前に出しながらも、ボトムにあるリズムはGlitchyに高速回転していたりして、Breakcoreないしはそれに接近したサウンドになっているし、‘Colorful Dreams’ではスチールパンのような響きとLo-bitな音色でTropical感を醸しつつ、変調しながらディレイするボーカルで、サイケデリックな空間を作ってみせる。ラストの‘Kanto Drift’では、ダンサブルな流れが中途で急に途切れて、粒子の粗い環境音(花火や大砲のような破裂音と雑踏のような声だろうか)が流れ始め、どこか不穏な電子音が響いてくる中、どこに連れて行かれるのかと思っていると、最後はドリーミィなジングルのようなフレーズで締めるという、力技をさく裂させている。タイトルの‘Kanto’というのは、おそらくポケモンシリーズのカントー地方のことだろうけれど、ここで何を描いているのか。私なりにイメージを膨らませるのであれば、島で遭遇した危険と、そこからの脱出、そして安堵、というような流れが浮かんでくるのだが、果たして。

ストレートにPopな前半から、やや変化球気味の後半まで、スタイルは異なれど、“Wonderful Island”という共通した景色を描くことに成功している。良い作品です。ウキウキマジカルで極彩色なアイランドの景色と、横道に入ったが故のちょっぴりのスリルをご堪能ください。また、両者ともにbandcampなどを通じてフリーで公開されている作品もあるので、気になった方は上記リンクから来訪してみてくださいませ。


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