ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: postbloom

Various Artists – postbloom – 001

 Various Artists - postbloom - 001

 – Tracklist –
 01. serafin – Flowering
 02. Wisp X – Hibiscus
 03. Thomas Hood – Water Lily
 04. serafin – Tulips
 05. demiror – Poppy
 06. Wisp X & serafin – Violet
 07. Vector Moon – Ruta
 08. Lycii & Joe Lyons – Camellia
 09. Ascend – Chocolate Cosmos



 - 02. Wisp X – Hibiscus


+ + +


 Release Page Download Free!
 :: Alternate free download in the soundcloud description ::

 Release Date : 2015.05.15
 Label : postbloom

 Keywords : ChillWave, Electronic, House, Liquid funk, Melodic, Uplifting.


+ + + + + +


アメリカはニューヨークのミュージック・コレクティヴ、postbloomより。初リリースとなるコンピレーション、その名も“postbloom – 001”です。“bloom” = “咲く”というワードから、“花”が連想されますが、収録トラックのすべてが、花名もしくは花に関連したものになっており、細かい演出が効いています。

申し訳ないことに、参加しているトラックメイカーを一人として存じ上げなかったのですが、このご時世そんなことは耳を傾けない理由はなりません。聴いてみると、実にさわやかで、風通しのよい作品でした。Hip-HopやHouse、ChillWaveやDrum’n’Bass/Liquid Funkなどの、リズムを活かしたElectronicなサウンドになっていますが、全編Melodicでとても聴きやすいです。初めはちょっとパンチに欠けるかな、なんて感想も持ったんですが、聴くごとに、そのサウンドの中から立ち現れる心地よい風景に、惹きつけられていきました(このロウ・ポリゴンな自然風景は、実に今作の特徴を捉えていると思います。グッド)。

センチメンタルなピアノトラック‘Flowering’からはじまり、その流れを引きついだMelodicでバウンシーなHouse‘Hibiscus’、力強くも流麗なLiquid Funk‘Water Lily’と続いて、Hip-HopなんだけどFuture BassやKawaiiにもアクセスした‘Tulips’(確かにイメージはチューリップだわ)、ここまでが前半。

ここで気分をちょっと切り替えて、トランシ―でアップリフティングな‘Poppy’から後半戦。シャイニーで、高みを目指してのぼっていくようなChillWaveサウンドは、まさに陽の光か(それは花の開花になくてはならぬ要素)。Wisp X & serafinの‘Violet’は作中でも異彩を放っているように思います。Chipsoundのメロディで軽快に聴かせると思いきや、途中からブリブリのエレクトロなサウンドも突っ込んできて、二転三転と表情を変える様で、リスナーを楽しませてくれます。

巧みなブレイクと4つ打ちHouseの混合が気持ち良い‘Ruta’から終盤へ。作中ではもっとも長尺なトラック‘Camellia’は、ミニマルな流れの中にアコースティックなギターや柔らかい電子音などを織り込んで、やはり高揚感を持たせながらも透明な景色の中へリスナーを導きます。ここを実質的なクライマックスとしてラストはクロージングにふさわしい、しとやかな‘Chocolate Cosmos’で締め。ピアノやアコギ、ささやかなAmbienceでリズムを入れぬまま、どこか悲しげに、閉じていきます。風に揺れる花のような。

高揚感とセンチメンタルというここにある二つの大きな要素は、確かに“開花”に結び付けられます。それはとても気分が高揚する光景であると同時に、やがて訪れる終わり(枯れ)を意識させもするのです。と、そこまで考えるのは穿ちすぎかもしれませんが、ここにある景色が心地よいのは確か。ぜひ耳を傾けてみてください。気になるトラックメイカーを掘り下げてみるのもよいと思います(まとまったリリースをしている方はあまりいませんが)。