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MEISHI SMILE LIVE 5.15.15




Meishi SmileがYouTubeにて公開したライヴ映像が過去最高のエモさで大興奮です。

VJなどの視覚的演出にはいっさい触れず、ひたすら彼のプレイをとらえ続けるカメラの視点。

彼の鋭い眼光と絶え間ないアクションが観る者に与えるのは、緊張感とライブ感。

とにかくひとつひとつの挙動が非常にエモーショナルで、その様は、まるでバンドマンが楽器を演奏しているかのよう。

破壊的なエフェクトを絡めつつも、極めてPopにトラックを鳴らし、マイクを使っての絶叫スクリームでノイズなパンクスピリットを見せつける。

たまらなくカッコいいです。

クライマックスはラストの‘PALE’‘TEARS’の流れ。

悲しみを振り払おうと全力疾走しているような、叫びだしたくなるような、あふれ出るエモーション(こんなん泣くわ・・・2.5Dで見たときもそうだったけど)。

そのあとに訪れるノイズストームは悲しみの果ての破壊願望か(この辺りのパフォーマンスもたまらなくパンク)。

いつも頭の片隅に蘇るのは、誰の言葉か忘れたけれど、Nine Inch Nailsを評した言葉で“機械を使っているのに肉体性を感じさせた初めてのバンド”というものです。Meishi Smileのトラックはもちろんマシンによって作られているのだけれど、ここ―この鬱屈した感情を爆発させるようなパフォーマンスにある肉体性は、彼の愛するLimp BizkitやKORNなどのニュー・メタルとも通じるものがあるのでしょう。そんなパンクスピリットと、VGMやJ-Popなどを経由したメロウで煌びやかでPopなメロディが、高いレベルで結実したこのライヴが、胸を打たないなんてことがあり得ようか。いや、ない。

本当に素晴らしい。

私のようなクラブミュージックのシーンに耳を向けていない人間の心を打つことを鑑みても、きっと(いわゆる)ロックファン、バンドサウンドのファンにも迫るものがあると思う。その昔The Chemical BrothersやUnderworldがスターダムにのし上がったときに、その立ち位置について“ロックとテクノの懸け橋”というようなことが言われたけれど、このMeishi Smileにも同じようなことが言えるんじゃないかな。何と何の懸け橋か、私には的確な表現ができないのだけれど、彼がこれまで結びついていなかった“何か”を、見事に“つないで”いる感覚が止まない。

にしても再生回数少なすぎだろ・・・。全人類必見というのは大げさな表現だとは分かっているけれど、そう言いたくなるくらい、私はこのライヴ映像に痺れまくりました。40分があっという間だった。

Thanks for sharing!!!!



nipponia electronica – Let’s Dance (レッツ・ダンス)




あまり手を広げると収拾がつかなくなりそうで、これまで動画の紹介は控えておりましたが、これは以前からどうしても紹介したかったんです。nipponia electronicaのLet’s Dance。

nipponia electronicaという方がどういう方なのか全然存じ上げないままに、もう何年前かなあ、Tumblrで流れてきたんだったかなあ、きっかけすら忘れてしまいましたが、その動画のイメージは強烈に頭に残っていました。

この作品、今はnipponia electronicaのYouTubeチャンネルではなく、salmagazineという方のチャンネルで公開されていますが、投稿は2007年。もう8年も前なのです。

映像・音声のカットアップとリピートによる、引きつりのリフレイン。そこにディスコテックなサウンドを同期させていますが、その妙がたまりません。メインに使われている映像が、NHK教育テレビの趣味講座「レッツダンス」というのも、また異質なものを感じます。終盤にはWinkや森高千里といった80~90年代アイドルの映像も併せられていますし、改めて、観て(聴いて)いると、何やら今のVaporWaveやFuture Funkを先取りしていたようにも思えてきます。別作品““SUPER CAR”Lamborghini VS Ferrari”などは、レトロなCM映像(およびナレーション)とテクノサウンドを融合させていますし、やはりこの感覚は、VaporWaveと相通じるものを感じて仕方がありません。

そんなnipponia electronica、2011年の““あ” あいさつのあ”以降、投稿が途絶えていたようですが、2014年に““Takenoko Rock’n Roller” 竹の子族 VS ロックンローラー”でカムバック。 原宿の竹の子族が踊る映像にやはりディスコテックなサウンドを同期させ、変わらぬセンスを見せつけています。

VaporWaveやFuture Funkなサウンドにひたすら映像をつけて公開しているチャンネルとしては、Artzie MusicElFamosoDemonUNEVERMINEなどがありますが(探せばもっと出てくるでしょう)、今後このnipponia electronicaのような、音と映像をリンクさせる形をメインにした作り手が現れてもよいんじゃないかと思います(すでにいたり、その萌芽があったりするのかもしれませんが)。VaporWaveも飽和的な状態になってきてますし、ヴィジュアル的な表現というのはVaorWaveにとって重要なファクター、表現手段でもあるかと思いますので、いや別にVaporWaveに限らずですね、せっかくインターネットがあるからには、やはり音も映像もっていう部分で、もっと強烈な表現者がこの界隈に現れてもよいのではないかと思います(Arcaとかはそういう存在なのかもしれませんが)。

そんなことを思わせるほどに、このnipponia electronicaの作品は強烈なのです。ちなみにnipponia electronicaの裏にいるのは浜里堅太郎さんという男性のようです。2010年まで西新宿にあった“スナックニッポニア”の元マスターということです。なぜバーのマスターがこんな作品を!?って謎が謎を呼びます。が、経歴(のようなもの)がこちらにありまして、なるほどもともと舞台へ出演したり、音響関係で活動していたことが分かります。つまり動きと音に関する感覚が要される仕事なわけで、それでこその、この作品のようなハイセンスな音と映像の融合が実現されているのだなと、納得しました。そして今作に触れて、舞台やテレビの音響効果(似て非なるものですが)において、狙った音、意図した音をどうやって出すかという、そこに懸ける情熱が、電子音楽・現代音楽の発展に寄与してきたことに、改めて思い至りました。なので、やはりこの作品は電子音楽の世界と無関係ではないように思いますし、むしろ積極的にその文脈に組み込まれるべきなのかもしれません。