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カテゴリーアーカイブ: GV Sound

Ocean Shiver – Three Years Of Snow [GV-180]

 Ocean Shiver - Three Years Of Snow [GV-180]

 – Tracklist –
 01. Three Years of Snow
 02. Dust
 03. Man on the Moon
 04. If We Could Turn Back Time



 - 04. If We Could Turn Back Time


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 Release Page Download Free! / you can also buy it, here.

 Release Date : 2013.04.17
 Label : GV Sound

 Keywords : Ambient, Downtempo, Electronica, IDM, Melodic.


 Related Links :
  ≫ www.oceanshiver.me
  ≫ Ocean Shiver on Last.fm / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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ウクライナのネットレーベル、GV Soundより。Ocean ShiverことVlad Orlovの、およそ3年ぶりの作品が、フリーでリリースされています。かつてはelectrosound.ruからもリリースを行い、また以降もセルフリリースという形で、複数の作品をコンスタントに提供してくれていました。‎しかしPost-Rockに接近した2010年の“To the Sun”を発表後、公式のサイトもなくなり、自身で運営していた様子のRainfield(Netlabel)も消失してしまい、活動の気配は見られなくなっていました。

主にネット上で活動するアーティスト、ミュージシャンには、そういったように、ふいに活動を終えてしまう方も多いので、残念には思いつつも、あきらめていたのですが、2013年の春、突然このGV Soundからのリリースに、彼の名前をみつけました。久しぶりです。

サウンドの傾向としては初期のものに立ち返っているような印象。Ambient/Electronica/IDM。とはいっても、複雑なリズムを使うことはなくて、そこにあるスタイル、パターンにはDowntempoという言葉が想起されることも。M-1のタイトルでもあり、作品のタイトルでもある‘Three Years Of Snow’という言葉には、この3年間の空白を重ねあわせてしまう。そのM-1やM-3で聴ける、ストレートなBreakbeatと、ちょっぴりBleepyなベースラインには、やはり時流だろうか、エレクトロなBass musicからの影響を感じ取れる(決して直系ではないけれど)。

思えば彼は作品ごとに少しずつ傾向を変えてきている。確かに大枠でいえばAmbient/Electronica/IDMに組み込まれてしまうんだけど、上にも書いたように“To the Sun”は明らかにPost-Rockを意識した作りだったし、さかのぼって2009年の“Forever and the Earth”に関しては、ギターやピアノによるChillなフィーリングも漂わせながら、同時にIndustrialにも通じる暗さや荒々しさを内包したトラックもあり、ストレートなAmbient/Electronicaとは趣を異にしていた。特に後者は、今改めて聴くと、意欲作だったのではないかと思える。さまざまな部分で、彼のサウンドにあるリラクシンなイメージを回避しているから。

そうすると今作は、そういった(彼自身の)音楽探究精神と、Ocean Shiver名義で初期に作っていたリラクシンなサウンドが、ほどよいバランスで結びついたものだと、そういえるかもしれない。過去の作品と比べるとやや深みに欠けるきらいもあります。しかしおそらくはNew Age経由でしょう、わかりやすいシンセ、メロディは健在で、溜飲が下がります。特にM-2やM-4は、従来の彼のスタイルに近くて、ドリーミィで、望郷感のあるサウンドスケープを堪能できる。また、Drum’n’Bassっぽいリズムと、ストレートに感傷的なメロディが、がっぷり組んだM-3などは面白い聴き心地だ―スピーディなBreakbeatの上に、New Age経由の大胆なメロディという組み合わせは異質だろう。

なにはともあれカムバックはうれしい。今後も積極的な活動を期待します! ちなみにこれまでのリリースも、ほとんどが上記のbandcampから入手できますので、興味のある方は是非、来訪してみてください。


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