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VHS ნ ი ღ ბ ე ბ ი – ვ ა რ დ ი

 VHS ნ ი ღ ბ ე ბ ი - ვ ა რ დ ი Cover

 – Tracklist –
 01. ლ უ რ ჯ ი
 02. მ შ ვ ი დ ო ბ ა
 03. ც ი ვ ი
 04. ტ ყ ე
 05. ი ს ე ვ მ ა რ ტ ო
 06. ა ხ ა ლ ი ს ა უ კ უ ნ ე
 07. ე ლ ე მ ე ნ ტ ი
 08. ღ რ უ ბ ლ ე ბ ი
 09. მ შ ვ ი დ ო ბ ი თ ( ს ა მ უ დ ა მ ო დ ? )



 - 06. ა ხ ა ლ ი ს ა უ კ უ ნ ე


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 Release Date : 2019.07.26
 Label : Hallworth Collective

 Keywords : Ambient, Dream, NatureWave, Rose, the end of summer, VaporWave.


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効率的、効果的なエアコンの使い方も分からないし、外へ出れば暑いし、電車に乗れば寒いし、また外に出れば暑いし、その寒暖差を繰り返し体験するうちに、体に変調をきたすし、夜は寝苦しいし、エアコンを使えど、扇風機を使えど、結局のところ何度か目を覚ますし、鼻は詰まってくるし、つまりは夏なんだけど、夏の好きなところは前にどこかにも書いたように洗濯物が早く乾くことくらいな私は、夏は嫌いだとハッキリ言える。精神のたるみ、集中力の霧散、ゆえの無産。これらを招くような気がして、要は心地よくない。

雲が多い日が続いて、陽が隠れることが多くなって、少し(少しだ)涼しくなって、一瞬だけ夏の終わりを錯覚する。その瞬間。とても心がアガる。要は心地よい。その一瞬の心地よさが、ここに、今作には封じ込められているように、そう感じた次第。

豊潤な、深みのある、ふくよかな、音空間。その空間には夏の記憶が封じ込められている。遠くで聴こえる鳥の声、虫の声が、ヴァーチャルな記憶を助長する。いもしなかった、過ごしもしなかった、イマジナリ―な夏の記憶はドリーミィ以外の何物でもなく、仮初の夏の終わりの喜びと相まって、より一層に心地よい。

アーティスト名も作品名も、トラックタイトルも、なんのこっちゃよく分からない。機械翻訳という文明の利器に頼ったところで、やっぱり、さっぱり分からない。文字による表現を意図的に排除、回避しているようにも取れる。そうであるならば、こっちの聴きたいように聴いてやろうという(いや聴かせていただきます、です)、そんな思いを引き延ばしていくと、夏の終わりに行き着いた。

不思議なことに、水の音は聞こえないのに、私の頭に最初に浮かんだのは、水滴が水面に落ちて波紋が広がる様子だった。ミルクのような霧が立ち込める渓谷で、さまざまな自然音が周囲には飛び交っていて、けれど私は結局どこにもいないという。決して観測されることのない、傍観者。誰の目にも止まらないという安心感。このウェットな膨張感、夢心地(より具体的にいえば環境音に施されたエフェクト)は、一瞬、Brian EnoとHarold Buddの共作たちと交錯した。

―そうして夏は遠ざかるそぶりを見せる。私は嬉しさと同時に、寂しさを感じる(何かが離れていくときはいつもちょっと寂しい気がする)。でも、また夏は来るんですよ。そして私の目は覚める。

水も滴る、なんて的確とは思えない表現が真っ先に頭に降ってきた。あるいは“熟れる”というワード(たとえばAVIONの作品につかったような)。花に対して熟れるという表現が使われるべきなのかは分からないけれど、そういう意味で薔薇(ばら)がイメージに使われているのかしらん、とか思ったりもしましたが、関係ないかな。一瞬、サイケデリックなスペース・アンビエントに片足突っ込みかけるような気もしますが、非常に包容力のある空間で、気持ち良いですね(風呂に似合いそう)。ところどころで滲む一抹の寂しさが、個人的には惹きになってます。



The Learning Company ® – Observations on Ritual Landscape, Pilgrimage, and Human Sacrifice in the Southern Ouvis Region [PHANTOM-22]

 The Learning Company ® - Observations on Ritual Landscape, Pilgrimage, and Human Sacrifice in the Southern Ouvis Region [PHANTOM-22] Cover

 – Tracklist –
 01. Mountains of Sustenance and Cliffs of Paradise in Uvaisan Pilgrimage
 02. The procession leaves the village with drummers, flutists, ritual officials, and red banners – proceeding to Mount Uwei. They ascend and play their instruments until they reach the summit; there they play all night until the third day and do not sleep so they can preside over their Gods.
 03. Uvaisan Ritual Object
 04. What It Looks Like to Us & the Anthropological Terms We Use to Describe an Evil
 05. Uvaisan Pilgrims Ascend Mount Uwei
 06. Acropolis flanked by cliffs, ritual architecture, large zoomorphic figures, and three lakes
 07. Curved mountain that resembles depictions of Shu’ve in Uvaisan codices, near the Kajai’sha River
 08. Cannibal Women Descending a Stone Causeway
 09. The Apparition of Mary Above Pilgrims at the Shrine of Uvaisan
 10. Ritual Cave at the Ruins of Uwei
 11. One tribe’s sacred pilgrimage to a Shu’ve hidden temple goes haywire when the cave turns out to also be a backdoor to a wrathful jungle deity
 12. Uvaisan shrine of piled stones in a pool of blood at the end of a tunnel
 13. Incense burners light the way to an exit
 14. Uvaisan Pilgrims Sacrifice a Young Male at a causeway terminus, Crest of Zaisan
 15. Blood & Springwater Flowing Over a Ritual Cliff at Zaisan
 16. Mouth of the Sacred Shu’ve
 17. Line of Basalt Monuments Near Mounds, Spring, and Hills, Zaisan
 18. Ouvis Islands & Ritual Waters
 19. Conclusions: Neutralization/Sword of Saint Michael



 - 06. Acropolis flanked by cliffs, ritual architecture, large zoomorphic figures, and three lakes


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 Release Date : 2019.02.19
 Label : PHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze

 Keywords : Dungeon Synth, Midi, NewAge, RPG, Synth, VaporWave, VGM.


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“懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを”。というのは、周木律さんの書いた推理小説“堂”シリーズの第一作“眼球堂の殺人”に、森博嗣さんが寄せた惹句。今作を聴いていてそんな言葉がよみがえったのは(ちなみに“堂”シリーズは2019年2月刊行の“大聖堂の殺人”を以て、完結した)、懐かしく、潔い、というワードがあてはまったからに違いない。

てっきり動きを止めたと思っていたPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze(ex. ♱ )がちゃっかりカムバックしていることに気づいて、リリースをチェックする中で、圧倒的異彩を(というかこのレーベル/コレクティヴのリリース全体が異彩な気もする)放っていたのがこの作品。そもそもレーベル/コレクティヴなのか、一人が複数名義を使って作品をリリースしているだけなのか、いまだに判然としませんが、今作の作り手はThe Learning Company ®。“原子カフナCAFE”の拡張版、“原子カフナCAFE (a moderately enhanced audiophonic experience) ”の作り手としてその名前を見ることができますし、Karen Weatherlyの作品にもクレジットされています。

たとえばそう、Karen Weatherlyの“A Separate Reality”について、それはCarlos Castaneda(カルロス・カスタネダ)の著作に基づいた(架空の)冒険譚にあてがわれたサウンドではないかと、私は想像を逞しくしたわけですが、今作についても、これは似たコンセプトなのかなあと思い、ここに秘められている物語の源を探ってみようと試みたわけですが、さっぱり分かりませんねん・・・。各トラックのタイトルから何となく察するに、そしてタグに“RPG”と使われていることからして、やはり何がしかの冒険(それもビデオゲームの中の)がイメージされているのだろうとは思うのですが。このレトロな洋ゲー感丸出しのジャケットイメージとかどっから持ってきてるんだろう・・・知りたかったぜ。現代の少年が遺跡の中で不思議な剣を見つけて、異世界へ旅立つ・・・てまあ、ありきたりだけど、そんなお話が下地にあるのかなあ。

曲はMIDI風の音源で軽快な部分もあるんですが、トラックタイトルはけっこう穏やかじゃないですよね、M-12は‘Uvaisan shrine of piled stones in a pool of blood at the end of a tunnel’だし、M-14, 15も‘Uvaisan Pilgrims Sacrifice a Young Male at a causeway terminus, Crest of Zaisan’‘Blood & Springwater Flowing Over a Ritual Cliff at Zaisan’と、血のプールに石を積み重ねて作られた建物だったり、生贄や儀式と、血なまぐさいイメージが並んでいます。そういった部分のせいもあるんでしょうか、曲自体に圧力は決してないんですが、どこか重々しく、グロテスクに感じられてしまうのです。なんなら導入部のM-1にいつかのOPN(Oneohtrix Point Never)を感じたせいもあるかもしれません。メロディはあるけれども決して明るくはなく、ときおりバロック音楽やフォークロアを感じさせ、なおかつVGMを匂わせるという体裁からは、Dungeon Synthと共振するものを感じますし、積極的にその方向から紹介する人がいてもおかしくない。MIDI風のサウンドにごまかされてしまう部分もありますが、よくよく聴くと、面白いし、よくできている作品だと思います。私の中では名うてのトラックメイカーですね。

そう、“懐かしい”MIDI風のサウンドを、“潔く”使っていながらも、なんで”VaporWave”なん?て言われたら正直分かりませんよそんなもん。明らかに“過去”のものであるMIDIサウンドをNewAge調の大仰なサウンドと共にリバイヴさせているという点、プラス、その大仰さの中に漂う不穏なサウンドが、VaporWaveの何たるかを感じさせるからでしょうか。・・・にしてもタイトル長いなあ、いや、長いよなあ。

なぜか聴いていて思い出したビデオゲームがあってですね、いずれもKEMCO(ケムコ)が発売した作品で、“シャドウゲイト”と“悪魔の招待状”でした。不気味なんだけど、どこか滑稽、そして世界はファンタジーという部分で、リンクしたのかもしれません。以下に―













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Some rights reserved. Please refer to individual track pages for license info.



Samsara inc. – Simple Stories[CUNTROLL115]

Samsara inc. - Simple Stories[CUNTROLL115] Cover

– Tracklist –
 01. Forgetting
 02. Owls
 03. Forgotten amusement park
 04. Waterfalls
 05. Spring
 06. Hero(in)side
 07. Millenium
 08. Musicbox

 - 02. Owls


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Release Date :2018.03.01
Label : Cuntroll

Keywords : Ambient, ChillOut, Downtempo, Electronica, Guitar, Melodic.

Related Links :
≫ Samsara inc. on SoundCloud / on VK


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ロシアンネットレーベル、Cuntrollより。同じくロシアントラックメーカーのSamsara Inc.(Rodion Kudryavtsev)の作品です。以前にも同レーベルからの“Possible Worlds”を紹介しています。

私の偏見かもしれませんが(おそらくそうでしょう)、ロシアのミュージックって、音の組み合わせ方とか音のバランスとか、要は音作りが独特というか、極端であるイメージなんですが、今回のSamsara inc.のサウンドは統制が取れている。いや独特な部分もそれはもちろん感じられるのだけれど(どっちだよ)、私の中ではバランスが取れているということです。

小気味よいリズムにピアノやシンセの澄んだ音色を織り交ぜてAmbientiveでありながらしっかり動きのある空間を作るんですが、このSamsara inc. の特徴といえば何といってもギターでしょう。しかしながら流れる景色の中で感情性を醸し出すギターの音色は今回そんなに自己主張してこなくて、全編通してみると総じてサポートに回っている印象です。だからかどうか、曲調もちょっとメロウによっている気がします。そのせいでしょう、前作に書いたような、インディギターバンドみたいなイメージはちょっと薄れました(ダイナミックな音像はM-5, 7くらいですか)。細かいGlitchだとか、トライバル、パーカッシヴなリズムだとか、演出、エフェクトにこだわりが向けられている気もします。

M-6の‘Hero(in)side’だけ、夜の底で思考がトグロ巻いているみたいな粘着性がありますが、あとはもう総じてMelodicですね。‘Musicbox’のプィーンとした電子音とかちょっとVGMっぽい響きで、ノスタルジックで堪りませんねえ、そこからのラストへ向けて疾走するBreakbeatも哀愁を加速させる。M-2‘Owls’の静かな風景もよろしい。ありきたりな風景かもしれないけれどそれが大事っていうか。まあいってしまえばEasy Listening的な部分もあるんだけれど、見慣れた景色ってやっぱり安心するじゃないですか。海外旅行の刺激もよいけれど、やっぱり帰ってくるのは我が家っていうか。安心があるんですよ。そんなM-2から続くM-3‘Forgotten amusement park’は、キラキラした音色をバックにギターとピアノが風景を流れていく哀愁の透明感トラック。電子的なリズムの上でギターが血を通わせるM-4‘Waterfalls’もクールです。

シンプルなストーリでもそこには確かに物語があって、リスナーはそれによって何がしかの感情を引き起こされるのです。そしてその感情に嘘偽りはない。作品に付されたメッセージはきっとそんなことを言っているのだと思います。Samsara inc.は他のレーベルからも作品をリリースしていますので、気に入った方はディスコグラフィーをチェックしてみてくださいね(Discogsとか)。


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(CC)by – nc – nd 3.0



VAW – Public Footpath

 VAW - Public Footpath Cover

 – Tracklist –
 01. 01_97
 02. Isøtøpɇ
 03. Think
 04. Ǝ-Numbers
 05. Hana
 06. Escapement
 07. Escarpment
 08. Cave
 09. MSGS
 10. 𝓂𝒶𝓁𝓁 𝑔𝒶𝓂𝒾𝓃𝑔
 11. 02_98



 - 07. Escarpment


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 Release Date : 2018.08.21
 Label : Hallworth Collective

 Keywords : Alone, Ambient, Drone, Field, Psychedelic, Quiet, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ VAW on bandcamp


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みなさんは“ぬくもりが欲しくて 人混み歩いた”(By ZARD)なんてことはありますか。私はありません。“そのぬくもりに用はない”とばかりに精神的パーソナルスペースを発動してこっそりと他人を敬遠するのが私という人間の悪い癖(頭悪いな自意識過剰で)なのですが、さりとて街という人混みに出向かなければならないときもあり、そんなときはしっかりと心に武装をして(大げさ)出かけて行っているような気がなんとなく自分ではしておるのですが、そうやって一人で、否、独りで街へ出ているときにフトした瞬間に訪れる虚無感というヤツ。周りにいるのがすべて他人という事実。一生のうちに今ここでしか出会わないのではないか、つまり彼ら/彼女らとはなんの繋がりもないという断絶感。しかし頭上には太陽が照り、空気は私の頬をスルリと撫で、その横で皆は三々五々、何かを口にしながら、感情を表に出しながら、私の周りを流れ、そして散っていくという、いたって標準的な日常があり。その瞬間、見知った風景が、まるで見知らぬものに変わるような、不条理な感覚に襲われる、ことがある。自分だけが、何か大きな存在から取り残されたような、はぐれてしまったような、孤独感。周りに存在する人々の挙動、口を動かし、表情を変え、手足を動かしているその姿が、なぜか途端にグロテスクに見えてきてしまう(私はこれを職場の食堂でも感じることがある。昼時にテーブル席に着いた数多くの人間が皆、口を開けて食物というある種の物体を体内に入れていくという光景が、ひどくシュールでグロテスクに思える時が)。その一瞬のサイケデリア。たとえばそれは、つげ義春の“ねじ式”において、かみ合わない会話と知らない景色と肉体的なグロテスク、影のある描写から醸される得体のしれない不安感、のようなものにつながっていき、それはまた(私の中で)孤独につながっていく。

そんな、都市、街、における孤独感とでもいおうか、あるいはその孤独を幻想的にごまかすサイケデリアといおうか、そんなものがこの作品(楽曲だけではない。タイトルやジャケットイメージもすべて含めて)には漂っているように思います。添えられたメッセージは“I’m lost, can you help me?”。見知った街で自分の存在を見失う。精神の孤独。魂の彷徨。自分を置いて景色だけが流れていくような奇妙なラッシュ感(‘Escarpment’) 。自分が視点だけの存在になって、存在していながら存在していないような。かと思ったら陽の暖かみが私を現実に引き戻したり(‘Cave’

マルッと捉えればそれはもうAmbient(正直音だけではあまりpublic footpathなニュアンスはない。あとVaporWaveを期待して聴けるのはM9~10くらいだと思う)なんだけど、実に味わい深い。ヘッドフォンで大きい音で聴いているとその味はさらに濃厚になります。

VAWの素性は謎ですが、同コレクティヴからもう2作、“Train Thoughts”、“级联”(どちらもワントラックの長尺作品だ)がリリースされていますので、興味のある方はそちらもどうぞ―



Final Heal – Fata Morgana[QNR019]

 Final Heal - Fata Morgana[QNR019]Cover

 – Tracklist –
 01. Anna’s Journal
 02. My Blue Heaven
 03. Millennium Fantasy X
 04. Never Die
 05. From Here On Out
 06. Invitation to Elegy
 07. VIRUS
 08. Dream Tower
 09. Wind
 10. Telepathy
 11. Fly Away
 12. People, Memories, Places
 13. Snowman
 14. Sinner’s Lullaby
 15. Faerie Song

 - 15. Faerie Song


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 Release Date : 2018.08.20
 Label : Quantum Natives

 Keywords : Breakbeat, Electronic, Fantasy, Orchestral, Piano, Strange, VGM.


 Related Links :
  ≫ Final Heal on SoundCloud


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プロフィールは不詳ですが、このFinal Healの背後にいるのは、おそらくはAmun Dragoonではないかという指摘を見かけました。私も何とはなしにそう思っておりましたので、“そうだよね!”と共感した次第です。まあ結局よく分かっていないんですけれど。でもそう思わせる要素というのはあって、まずはやはりAmun DragoonのSoundCloudにFinal Healのトラックが(2年も前に)リポストされていること。私がFinal Healの存在を知ったのもそこからでした。単純に気に入ってリポストしただけという可能性もありますが、このつながりに加えて音楽性も類似しているのです。

Amun DragoonはVaporWaveの文脈に入れられることもあるし、実際トラックによってはその傾向も強くありますが(特にNewAge調のトラック)、現時点の最新作2015年の“Socotra Island”などはMIDI風のサウンドに傾倒している節があって、もはやVaporWave作家というイメージは私の中では薄れつつありました。そしてその先に何を出してくるのかという興味も持っていたのですが、それ以降動きはなく、まあ突然活動を止めてしまう(ように見える)アーティストも全然珍しくないので、Amun Dragoonも終了してしまうのかと危惧しておりましたところ、突然現れたのがこのFinal Healでして、聴いてみたところ、正直当初公開されていたトラックからはAmun Dragoonとのつながりは見いだせなかったのです。だってヴォーカル入ってるし(どこかたどたどしい)、何かメロディはポップだし、オーケストラルな要素もあって、ハッキリとした抒情性も感じられて、そこをつなげて考えるのは間違いじゃないかと思っておったのですが。

私がAmun Dragoonで一番好きなトラックは‘Secret Whispers From The Tamate Box’(下に張りますが最高だな!ビデオがイイ)ですが、これと共振する何かを今作の‘Dream Tower’‘Wind’, ‘Telepathy’に嗅ぎ取ったのですね。前者が陰とすれば後者は陽であるけれども、このスピリチュアルな望郷感とでもいうか、意図せず漏れ出てしまっている個性が共通しているように感じられて、ここで初めて両者をつなげて考えてもよいのかなと思い始めたのです。“Socotra Island”の延長線上というよりは、俗に寄せてきた感じ。

と、もし赤の他人だったら申し訳ありませんので、単体で触れましょう。仙人が下界に降りてきて世俗を楽しもうと思いきや、下々の常識が分からずにひっちゃかめっちゃかやってしまいました、みたいな。クロコダイルダンディ。そんなことやっちゃうのみたいな。ローファイ・エレクトリック・ファンタジー。大筋は抒情的なメロディがあって、ファンタジックで、ちょっとVGMっぽいところもあって、ストレートな聴き心地というか、ポテトチップス食べてるみたいな安心感なんですが、ところどころ異質な“何か”が混じっていて、非常に刺激的。M-2も静かに始まったと思ったら、終盤いきなりそんなデカいシンセと強いアタックのドラム入れちゃうの?っていう驚きがあり、M-4はコレ何であえて日本語の歌詞なんでしょう?カバーとかではない気がするんですがちょっとおぼつかない日本語のDIYな歌唱がまた惹きつける、M-6は9分超の大作ですがピアノでひそやかに始まってストリングスなんか入ってアラいい感じと思ってたら急にブレイクビートと共にドラマチックな展開になだれ込んで、何だかビデオゲームのバトルシーンみたいな曲調にいつの間にか連れて行かれてる、M-7もせわしないビートとシンセにアンニュイなヴォーカルが入って最終的に加速してって終わるしM-11も途中でギターなのか何なのかノイジーなフレーズが入ったり後半リズムが妙に力強かったりまたしてもミステリアスなヴォーカルを入れてくる―といった調子で、一度入り込んでキャッチされてしまえば、終始感じられるこの危ういバランス感(焦燥的でもある)と、抒情性の絶妙なコントラストが、クセになること請け合い(さらには‘Invitation to Elegy’‘My Blue Heaven’はSoundCloudで公開されているものとちょっとずつ内容が異なっているという攪乱ぶり)。人によってはスペインの雄This Deep Wellを想起する方もいらっしゃるでしょう。

気になった方は是非Amun Dragoonも辿ってみてくださいネ。にしてもQuantum Nativesのサイトデザインやべえ。あえて不便さを強いてくるような突き放し感がヘヴンリー。


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Amun Dragoon – Secret whispers from the tamate box






Final Heal – Millennium Fantasy X(directed by Final Heal)



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Artwork by Aisha Mizuno & Galen Erickson
https://www.instagram.com/doctor_zoom_octopus/
https://www.instagram.com/chaos_egg/



Tone Color – Everything You Know Is Wrong [AF39]

 Tone Color - Everything You Know Is Wrong [AF39] Cover

 – Tracklist –
 01. Via Lucherini
 02. The Last Day
 03. City of Three Rivers
 04. GRM Bloom
 05. Yatha Bhuta
 06. MAX~
 07. Forward Then Back
 08. Maria Casarès
 09. A Thousand Summers
 10. Oltrarno
 11. Voight-Kampff
 12. Neither an end nor a beginning



 - 10. Oltrarno


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 :: Limited Edition CDR is available. ::

 Release Date : 2018.05.06
 Label : Assembly Field

 Keywords : Ambient, Drone.


 Related Links :
  ≫ Tone Color on SoundCloud


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前の作品も紹介してたよな、と思って、見返していたら、5年も前の作品だった。ええ、ってことは、このブログもう5年以上経ってんの?って、我ながらちょっと衝撃だったので書いておきましょうか。

ということで5年ぶりのアルバムということでよいんでしょうか。イギリスのAssembly FieldからリリースされたTone Color(Andy Lomas)の作品です。

この作品の10曲目、‘Oltrarno’、これは私の中で新たなAmbient/Droneのマスターピースです。これまでNetaudioの界隈で出会ったトラックで、記憶に刻み込まれているものがいくつかありますが、この‘Oltrarno’もそこに仲間入りです。このBrian Eno感。いやそれが重要なわけではないんですが、この深遠な気配と、静かな水面にポトリと落ちていくような、そこを滑るような、ピアノの音色、その余韻。たまりません。引き込まれます。

私は不安を回避するように寝不足を選ぶことがある。足りない睡眠のせいで頭が冴えなければ、理性の芯はぼやけ、思考は鈍り、ひいては不安の表面化が少しでもし抑えられるんじゃないかって、そんなふうに考えて、寝不足を選択する傾向があります(とりあえず職場のみなさんに謝罪)。若干の睡眠不足を意識しながら今作のようなAmbient/Droneを聴いていると、気づくことがあって、この頭の芯のしびれ具合というか、ボヤケ具合が助長されるのである。ロングトーンのピュアなAmbient/Droneは特にそうだ。私の好きな小説家が“音楽を聴いて理性的になるなどありえない”と書いていたけれど、まさにそうで、ここにおいては、理性は静まり、不安は遠のき、ややもすると恍惚が訪れる。そしてやがて眠りが私をつかまえに来るという、幸福なサイクルがそこにはある、ように思われる。目覚めたころでまた不安は襲ってくるのだけれど、たとえ短い時間でも不安を遠ざける今作の力は、音に反して頼もしい。タイトルの“Everything You Know Is Wrong”ってのも、どこか力強さ感じます。

ちなみに前作のタイトルは“The Last Day”。今作の2曲目にも同名のものがあります。どういった意味合いで用いているのかは分かりませんが、Tone Colorにとって重要なイメージなのかもしれないですね。


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All tracks composed and recorded by Andy Lomas
Mastered by Wil Bolton
Artwork by Andy Lomas



Omega Sapien – New Intelligence [TKX-400]

 Omega Sapien - New Intelligence [TKX-400]  Cover

 – Tracklist –
 01. Drifts
 02. Evolution
 03. Stalker
 04. Above All Others
 05. Proud Dystopia
 06. Ruins (ft. Sangam)



 - 02. Evolution


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 Release Date : 2017.10.26
 Label : TKX

 Keywords : Ambient, Creature, Cyberpunk, Dark, Haunting, Space-age.


 Related Links :
  ≫ Omega Sapien on SoundCloud / on Twitter


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東京為替がリブランディング(商標変更とはよくいったもんだ)後のTKXよりリリースされた記念すべきカタログ番号400番。

醜く、まがまがしく、それでいて厳かで神々しい空間。Hauntingで思わせぶりな、つまり雰囲気たっぷりのDark Ambient/Drone作品。そのさまはまるでクトゥルフ神話(いや前にも書いたように私はファンではないけれども)。

サウンドトラック的な佇まいで全編行くのかと思いきや、Techno~Hard Vaporなアプローチも見せる中盤~後半部に意表を突かれる。シンセチックなレイヤー(ジョン・カーペンターみたいだ)や、マシーナリーなビートから漂いくる、Space-age、サイバネティクスのヴィジョン。そこにある性急さが不安を駆りたてる。宇宙時代に太古の遺跡に眠るアンノウンな存在から逃げまどう未来人はあまりにも無力で。シネマティックでIndustrialな‘Proud Dystopia’で、なすすべない圧倒的存在の気配を感じさせて(決して姿は見せないのだ。それが恐怖をあおる)、ラストの‘Ruins’では抒情的なフレーズで以て、破壊後の悲哀を漂わせる。

何ら新しいことってのはないのかもしれないけれど、ここにある、ここで見せるイメージが私はとても好きです。初聴きで思い出したビデオゲームがあって、それがセガ・サターンや、PlayStationなどの(あの頃の)次世代ゲーム機用のソフト、“Creature Shock”なのです(懐かしいなオイ)。確か中古で買ったけど難易度激高で結局かなり序盤で挫折した記憶がありますネ・・・。同じような設定だと“ENEMY ZERO”も思いつくんだけど、そっちじゃあないんですよね。

で、どんなゲームかって気になるでしょう? 以下に貼りますよ。この絶妙なノスタルジアと(私にとって謎なまま終わっているが故の)アンノウンなところが、今作と共振するんだろうな。そしてその辺りが、やはりVaporWaveの何たるかと通底しているようにも思う。その絶妙なさじ加減、バランス感覚はさすがのTKXというべきか。ジャケットデザインもグッド。



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 Note :

Artwork by @baojiaxiang www.instagram.com/baojiaxiang/

“Thick limbs, disproportionately small thorax, hairs sprout out of the skin like weeds in a desert. That repulsive odor.
Keeping us chained, leaching, a parasite. Sucking the life blood out of us, blinded by their own instinct. That same blindness, their achilles heel.
They destroyed themselves like they destroyed us, it was only a matter of time until the next rose from their ashes. The new intelligence nestled in their ruins.”