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カテゴリーアーカイブ: netlabel

MAREVICK – PERSONAL PARKWAY

 MAREVICK - PERSONAL PARKWAY Cover

 – Tracklist –
 01. Spontaneous Wish
 02. Ease
 03. Borderline
 04. Painted Scene
 05. Rosario
 06. Dust In Inhibited
 07. Veins Of Light Under Downpour
 08. Accidental Effect



 - 07. Veins Of Light Under Downpour


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 Release Date : 2017.06.28 (2016.06.23)
 Label : Bestiar Netlabel

 Keywords : Acoustic, Instrumental, Jazz.


 Related Links :
  ≫ Marevick on bandcamp / on VK


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どうやら“家畜”を意味するらしい“Bestiar”(カタルーニャ語?) Netlabelから。ロシアのミュージシャンMAREVICK の作品がリリースされています。レーベルからは2017年のリリースですが、もともとは2016年にリリースされていた作品のようです。

Internet Archiveって今どうなんですかね? 音楽を発表する場としては主流ではない? ネットレーベルが盛り上がっていた(ように感じられたころ)は、フリー音源と言えばInternet Archiveって感じ、ありませんでしたか(もちろんInternet Archiveの貯蔵は音源だけではないですが)。あとsonicsquirrelとか。Free Music Archiveとか。ついでにいえば(ってのも失礼だけど)Jamendoとか、Electrobelとかにも、頻繁にお世話になってた。その界隈の音楽は、今ではbandcampに集約されている感があって、そこにはいかがわしい雰囲気など微塵もないし―つまり開かれている―、検索も容易だし、ふと振り返ると、ああ、昔みたいな掘る楽しみってのはいつの間にかなくなったのかなあなどと、手前勝手なことを思ったりもします。でもアマチュアミュージシャンの方たちはたとえばbandcampを利用することによって、経済との結びつきを獲得できたりもすると思うので、良いことなんだと思います(日本ではまだ認知度が低い気がするけれど)。

まあそんなことを思ったのもBestiar NetlabelがリリースをInternet Archiveで行ってるからですね。ちょっとした物思い。でもMarevick自身はbandcampでリリースしてるので、一応時の流れには沿ってる。

おっと作品の話。アコースティックでリラクシンなサウンド。リバーヴとかディレイとか、多少はエフェクトがあるんだろうけれど、ギターの音のみで構成されています。私自身の問題なのかもしれないけれど、アコースティックな作品って、聴いていて途中でこう、申し訳ないんですが、飽きが来てしまうことが多いんですね。誰の何とは言いませんけれど。でもこの作品はそれがない。なんでかって考えると、1曲が短いってのがまずあると思います。あとメロディが抑制的。マイルドという言葉がよく似合う。バチーンとメロディがあるのも悪くないとは思いますが、ギター一本でアルバム全編通してやられると、さすがにしんどいかなと思いませんか。この作品では、現れそうで現れないメロディが、心地よい。変な言い方だけれど。ある意味Ambientというか。

完全に即興ではないと思いますが、即興的に感じられる部分もあって、そのテンションの流れが、タグに使われている“Jazz”の部分なのかなあと思います。メロディに捉われないというのも、Jazz的なのかもしれませんね。とてもリラクシンでカフェなんかでかかっていても違和感のない音楽だと思います。やさしい陽だまりとか、緑の植物とか、そういうイメージです。でもやっぱりどこかに感情性があるんですよ。先のJazzという部分にもつながるのかもしれませんが、ルースな部分というか、人間性。その一滴が、今作のスパイスになっているのではあるまいか。ふと玉手箱あけたら、中から懐かしい思い出の幻が出てきて、でもそこにぶらさがっている一抹の悲しさ。なぜなら、それは今はもうないものだと、頭のどこかで分かっているから。のどかでありながら、ちょっと悲しい。

空間を生かした余韻ある‘Spontaneous Wish’や、情景的な‘Veins Of Light Under Downpour‘が、よいですね。

bandcampで公開されている他作品は、ちょっとテイストが違うものもあったりるすので、興味がある方は是非―


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(CC) by – nc 3.0



quietest – chime [nvr048]

 quietest - chime [nvr048] Cover

 – Tracklist –
 01. chime01
 02. chime02
 03. chime03
 04. chime04
 05. chime05
 06. chime06



 - 03. chime03


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 Release Date : 2017.05.11
 Label : Noisy Vagabond

 Keywords : Ambient, Field Recordings, Meditative, Nature, Wind Chime.


 Related Links :
  ≫ Transient on SoundCloud


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Noisy Vagabondはアメリカのプロデューサー、TransientことCarl Martinが自身の作品をリリースするために設立したレーベル。90年代初期から音楽を作り始めたTransientは、これまでに世界中の沢山の(ネット)レーベルから、多くの作品をリリースしてきています。Discogsを参照すると、そのリリース数は50以上、トラック数は500以上、再生時間は40時間以上にもなるとのことです。

そしてTransientといえば、Trip-Hop, IDM, Downtempoを基軸としたElectronic musicの作り手であり、私もそのような認識しか持っていなかったわけです。その頭で今作を聴いた私はいたく驚いたのです。何故かと言えば、ここにあるのは非常にリラクシンなAmbient musicだったからです。メディテイティヴといってもいい。彼は多くの別名義を使って作品をリリースしていて、このquietestもそのひとつということになりますが、quietest名義では今作のほかに“Cold”という作品が1作あるのみ。調べてみると、このquietestという名義自体が、Transientとしてリリースしたquiet trilogy(“quiet”, “quieter”, “quietest”の3作)と同傾向の作品をリリースするための名義になっているようで、Ambient、リラクシンなサウンドが意図されているようです。知らなかったなあ。

オーケストラルでシネマティック、ときにはピアノを用いた静謐でメランコリックなサウンドスケープを作っていたquiet trilogyと比較すると、このquietestという名義で作られるサウンドは、もう少しラフなイメージがあります。コンセプト、傾向性は確かに一致しているが、サウンドの幅がそこまで限定されていない。そう感じたのは、今作がこれまでのどれとも違う、Field Recordingsによる環境音を利用した、自然(ネイチャー)な感覚にあふれているからです。それに合わせて、各トラックでミニマルな持続音が散りばめられていて、たとえばそれはウィンドチャイムにインスパイアされたという今作の成り立ちと大いに関係があるのだろうけれど、私が勝手に水琴窟Ambient/Electronicaと呼んでいる、点在する電子音をディレイ、リバーヴさせて描くサウンドタペストリーは、ときにはリスナーを無我の境地(のようなもの)へといざない、またときにはリラクシンな瞑想気分へといざなうのです。

メロディを味わうという意味では、quiet trilogyや“Cold”には、まったく歯が立ちませんが、環境音楽、Ambient musicという点では、他のどれよりも圧倒的存在感(Ambientなのに存在感とはこれいかに)。いつになくストレートなジャケットイメージも好感触。緑の中にたたずむガールはそこはかとなく幻めいていて。ノスタルジアと共に。エバーグリーン。

1トラックほぼ10分。計60分=1時間の精神的逃避行。


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An album of generative ambient inspired by wind chimes.

(CC) by – nc – sa 3.0



Gossip Palace – Torsi

 Gossip Palace - Torsi Cover

 – Tracklist –
 01. Cloud Tube
 02. Ghosting
 03. Pepermint Peaks
 04. Firepower
 05. Izzy Black
 06. Jonquil
 07. White Flowers from a Saint
 08. Soda Rot
 09. Nap Aches
 10. Solar Powdered
 11. Vivite Somnia


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 Release Page Deleted!

 Release Date : 2017.02.17
 Label : Silver Throne Records

 Keywords : Electronic, Future Beats, Hip-Hop, Melodic, Swamp.


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アメリカ合衆国はミシガン州デトロイトのレーベル、Silver Throne Records。前身はOCCULT DREAMSであると勝手に解釈しているが、間違っていたらスイマセン。

このあたりのBeats~Future Beats(と書いてはいるが、私はよく分かっていませんよ勿論)系のアーティストは、VaporWaveのそれよりはマシかもしれないが、やはり誰が誰やらよく分からない。聞いたことない名前だから新しい人かと思ったら誰かの変名とかは改めて書くまでもなくよくあるパターン(書くまでもなく、といいながら書いているが、ご愛嬌だ)。つまりこのGossip Palaceもよく分からないということで。

この金で作られた(あるいはゴールドプレート―金メッキかもしれないが)オブジェは何であろう。じっと見つめながら視点をあちこち彷徨わせてみるが、判然としない。何かのキャラクターのようにも見えるが、私の知っている中にはないようだ。ショーケース、ガラスケースに展示されている様子のそれは、衆人環視の状態でありながら、しかし意味を持たないようにも見える。意味のあるものを組み合わせたようで、それでいてその実何も表しておらず、あまつさえ“金”という、一般的には価値のあるもので仰々しく存在感を放ち、人目をひきつける。そう、それはまるで“Gossip”―噂話。

音楽的にも一言では表現できない、とは言っても複雑怪奇なものでもなく、Hip-Hopを下地にした、Melodicなフレーズが頻出する、聴きやすい作風ではないかと思う。シンセチックな電子音や、フワフワとしたAmbientな音色を使う一方で、ダビーに振動する‘Firepower’や、‘White Flowers from a Saint’が作品を引き締め(後者はSILENT POETSを想起した)、またラストの‘Vivite Somnia’ではメロディでもって幾ばくかの抒情性を漂わせる。アブストラクトな側面もあるけれど、トラック自体が決して長くないので、飽きずに最後まで聴けるというのも特徴だろうか。各トラックがフックを持っているというのもあるかもしれない。不思議と引き付けられる魅力がある。

さまざまなサウンドを用いたシンセサイズな音像が醸す冷たい人工感。そう、言いたかった言葉は“イミテイション・ゴールド”だ。だがここにある音楽がゴシップを揶揄する意味でイミテイション・ゴールドな佇まいを持っているのか、私にはよく分からない。こじつけすぎかもしれない。



Hana Sent – Lampoooni [51bts052]

 Hana Sent - Lampoooni [51bts052] Cover

 – Tracklist –
 01. Escape
 02. La Maison Démontable
 03. Kikiwon
 04. Wonderlust
 05. Hanarcade Summer
 06. Mooncup



 - 02. La Maison Démontable


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 Release Date : 2017.04.07
 Label : 51beats

 Keywords : Electronic, House, IDM, Synthesizer.


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イタリアン・ネットレーベル、51beatsからリリースされたHana Sentのデビュー作です。彼/彼女は、イタリア基盤のアーティストであることが明かされていますが、他はいっさい謎。リリースページには“ghost electronic music composer”と記されています。

4つ打ちHouseなビートにチープなシンセをまぶした、あっさり仕上げのエレクトロニック・ミュージック。今どき(って言ってしまうと語弊がありますね。どこにおける今なのかって話ですが)のコテコテなシンセサウンドにはなっておらず、音数も少ないし、ゆえに(もちろんサウンドメイクもあるけれど)音の輪郭もはっきりしている。というように非常に簡素な作りになっているにもかかわらず、ここには心、そして耳をひかれる何かが存在している。

それは主に、チョイスされているサウンド、音色であり、またささやかに流れるメロディであると私は思っている。80sという形容も可能かもしれないが、何を以って80sかというのが、イマイチ説明できないのでこれ以上踏み込みませんが、Lo-bitでシンセ然としたサウンド、音色が呼び起こす(いつのものかも分からぬ)ノスタルジア。そして長閑ともいえる、おだやかで優しげなメロディ(強くはないが)、それは休日の昼下がりを思わせるほどにドリーミィ。その様子はIDM/Electronicaに通じるものだと思ったりもするのだけれど、Acid Houseなトリッピ―感もブレンドされており、硬派なファッションと可愛いメイクが同居しているような、不思議な聴き心地。

‘Wonderlust’ではパーカッシヴなリズムや民族音楽のようなコーラスが聴こえてきたりもするのだけれど、そういった部分からはChillWaveのエッセンスも感じたりする。また‘Hanarcade Summer’の冒頭、これはサンバのリズムにも取れる―すぐにほかの音がかぶさってくるので、そのイメージは消えてしまうけれど。そんなように、チープで簡素なサウンドの裏に潜んでいるさまざまなサウンドエッセンスが垣間見えるところも、興味深い。

頭の‘Escape’はわずか28秒のインタールードなのですが、このフレーズをラストの‘Mooncup’で使っているのも面白いです。リプライズ的な。


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余談。51beatsといえば、errnoisの“The Winter Season”、好きでした。Indietronicという言葉が相応しい素敵な作品でした。今ではこの名義はもう使っていないようですが。興味のある方はどうぞ。


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Credit :

Music and graphics by Hana Sent

Released by:
51beats
Release date:
7 april 2017
“Lampoooni” by Hana Sent is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License

(CC) by – nc – nd 4.0



School Of Crystal Healing – Lightworkers Delight [TNRFREE010]

 School Of Crystal Healing - Lightworkers Delight [TNRFREE010] Cover

 – Tracklist –
 01. Influx
 02. Boutique Sternway
 03. Parallax Oasis
 04. Seven Stages Of Empathy
 05. Lavender
 06. Cherry Blossom
 07. Lonely Planet
 08. Fruity Loom



 - 05. Lavender


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 Release Date : 2016.06.18
 Label : Troll N’ Roll Records

 Keywords : Ambient, Deep, Downtempo, Drone, Meditation.


 Related Links :
  ≫ School Of Crystal Healing on Facebook / on SoundCloud

  ≫ Gubbology on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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Troll N’ Roll Recordsというと(ちなみにスウェーデンのレーベルだ)、コテコテのトランス・ミュージックばかりだと思っていたのだけれど。それは私の勝手な思い込みだったようだ。レーベルでもありトランス・ミュージック全般のポータルサイトでもあるEktoplazmからもリリースされている今作は、実に私好みの、DeepなAmbient、あるいはDrone作品だった。

Gubbologyの名前でも活動するOlof Ejstesのもう一つの顔が、このSchool Of Crystal Healingで、2012年には同レーベルから“Form And Frequency”をリリースしている。そちらも今作に負けず劣らずよい作品なのだけれど、私の中ではこちら“Lightworkers Delight”に軍配が上がる。

それはおそらく今作の方がメロディに寄っているからだろう。Ambient/Droneの趣が強い作品について述べる言葉としては語弊があるかもしれないが、総じて聴きやすい。シンセティックな音色で作られる、ドローニングなレイヤーの起伏、またそのかすかな瞬きは、森林(あえて深林と書いてもいい)、あるいは深海のような、ディープ、深遠なイメージへと私をいざなう。この手の音楽だと、一本調子のように誤解されるかもしれないが、なかなかどうして各トラックはバラエティに富んでいて、そのこともやはり聴きやすさに結びついている―複数のレイヤーが絡み合うような音作りや、また鳥や獣の鳴き声、水音のような環境音を差し挟んだりといった細かい演出、さらには和楽器の音色やDowntempo的なリズムを用いたりと、Ambient/Droneで一本筋を通しながらも、そこになされる肉付けは多種多様になっている。

その結果、聴取感についても、トランシー、サイケデリックなものから、ドリーミィ、メディテイティヴなものまで幅広く、この一作でさまざまな効用、効能を得ることができる。トランス一直線なものは敬遠しがちな私が耳をひかれている理由も、やはりその辺りにあるのだろうと思う。どのトラックも好きなのだけれど、フェイバリットを挙げるのであれば、M-5‘Lavender’―この浮遊感、望郷感たるや、背後にたなびくスペーシーなオーラもいい、そして順番は前後するがM-4‘Seven Stages Of Empathy’―冒頭から続くシンギングボウルみたいな断続的な持続音がやたらとトランシーなくせに、そこに絡んでくるのが優美でエモーショナル、抒情的なシンセメロディっていう、この不思議な組み合わせ。そしてやがては冒頭のエスニックなイメージに回帰していくのだけれど、そのめくるめく精神世界的なイメージが好き。


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(CC) by – nc – nd 4.0



開花 tree – Fiori di l’amuri [AM014]

 開花 tree - Fiori di l'amuri [AM014] Cover

 – Tracklist –
 01. رؤى حديقة
 02. 完璧な晴天
 03. 今まで私があれば
 04. 森の秘密
 05. 月明かりに照らされた湖
 06. Cunchiusioni



 - 02. 完璧な晴天


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 Release Date : 2016.09.05
 Label : Adv. Materials

 Keywords : Ambient, Drone, Flower, Love, Melodic, Mystic, Nature, World.


 Related Links :
  ≫ TDS on bandcamp


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2015年設立のAdv. Materialsより。開花 treeの作品です。といっておきながら、“by TDS”というクレジットがありますね。Vaporholicな方ならいざしらず、私のようにTDS=The Downward Spiral?なんて思う人はいないかもしれませんが、まあとにかく誰ですか?ということで、いつの間にかめっきりこの界隈(だけじゃないかもしれない)の作家を網羅し始めているDiscogsを頼ってみましょう。するとTDSはTelepathic Data Storage、あるいはDefunctの名義を持っていて、さらにはsaki 夢も参加する“Aquatic Airlines 魚の平面”のメンバーでもあることが分かります。またDiscogsでも関連性は示されていませんが、TDSはDOAT―Death Of A Telepathでもあり、Pure Lightでもあるようです。複雑ですね。

しかし今TDSのものと思しきbandcampを訪れても上記の名義による作品は一つとしてなく、Soceco(社会経済学:Hantasi & Seoul?)へのリンクがあったりして、頭を整理するはずが逆に混乱をしてしまいました。どこかにミッシングリンクがあるのかもしれませんが(偏執的にディグれば関連がありそうな他の名義も出てくる)、それを探すことがこの投稿の本願ではないので、追及はここまで(しかしVaporな音楽のこういったディグり甲斐―サンプルの元ネタも含め―というやつも、その魅力の一つではありましょう)。

DOATの“Wolrd 1”ではストレートなChip music、“Deep Into The Rave”ではRaveでありつつもストレンジなElectronic musicを、pure lightの“ߣ≠©«¡ø≈¥αåø”ではささくれ立ったHardvapour、defunctの“aquatic sketchbook”では、ミニマルでfish dreamなAmbient musicと、名義、作品ごとにスタイルを変え、その芯を見せることをしない不思議な作家さんです。本当に一人なのか、複数人ではないのかと疑問も浮かびますが、“aquatic sketchbook”について“defunct (known for her work as DOAT) ~”という記述があるところを見るに、どうやらソロのよう。何にせよ、気になる方は深く掘ってみてください。

肝心の本作はといえば、Ambient/Droneサウンド。無味無臭、ピュアなトーンのそれとはまた違っていて、ゆるやかでミニマルなフレーズがリフレインすることで、淡いメロディが形作られている。虫の声や風の音にも聴こえる効果音や、ウィスパーヴォイス、エスニックな音色も散りばめられていて、知らず、私の脳裏には、霧に包まれた山々とでもいったような、神秘的で幽玄な景色が浮かんでくる。

他の作品についても決してVaporWaveに正面からアプローチしたサウンドではないけれど、それは今作も例外ではなく。Adv. Materialsのカタログには排水溝ヴォイスを活かしたVaporWaveサウンドが多いけれど、そのような背景、文脈を無視すれば、およそ今作はVaporWaveとは関連性を見いだせない。ラストのトラック‘cunchiusioni’に至っては、Piano、ストリングスの感傷的なメロディにDowntempoなリズムを持ち込んだ、ちょっと涙腺が緩むくらいの抒情的なものになっていて、それはこれまでのTDSに絡む作品とも違うし、開花 tree名義の前作“ドリーミング桜”とも違うし、また今作収録のほかトラックとも違うし、これには素直に驚かされた。

タイトルの“Fiori di l’amuri”は直訳すれば“花の愛”という意味になるようです。使用されているイメージやトラックタイトルもロマンチックなものになっていますが、作中の視点は自然の神秘性から始まり、それは徐々にミクロに向かい、花の持つ美しさとそれゆえの儚さに収斂し、そして幕を閉じるような。

トラックによってはTranceやShoegazeのエッセンスも感じられるし、開花 treeが真に上に示したような複数名義を持つならば、まったくもってその音楽的な引き出しの数と、そこにある深さは杳として知れない。


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by TDS

(CC) by – nc 3.0



Dea Karina – Tidur

 Dea Karina - Tidur Cover

 – Tracklist –
 01. Salam Kenal
 02. Seruling
 03. Bulan Purnama
 04. Subuh di Gunung



 - 01. Salam Kenal


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 Release Date : 2017.01.18
 Label : mindblasting Netlabel

 Keywords : Acoustic, Ambient, Dream, Electronica, Shoegaze, Solitude.


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  ≫ Dea Karina on SoundCloud / on Twitter


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音楽の届け方って色々ある。音楽単体はもちろん、目の前で演奏するのだってそうだし、目の前で演奏しながらも違う映像を見せる場合もあるし、そして全然特別なことではないけれど、音楽に映像を付して共に届けることもある。映像は音楽とシンクロすることもあるし、補完する場合もあるし、新たな解釈を生み出す場合もあるし、全く関係ない(ように思える)ディレクターの嗜好や興味が炸裂している(ように見える)ものもある。映像が付された音楽に私はドキドキ、ワクワクすることが多いんだけれど、それはなぜかと考えると、決して不可分ではない映像と音楽を共に楽しめる、いわば二つの違う味のキャンディを同時に舐めて、さあどんな味がするだろうかと楽しむようなもの、なのかもしれない(そういえば、そういうキャンディ、ありましたよね?)。観賞者がそういう受け取り方をするであろうことを利用して、音楽と映像でアンビバレンスな表現が行われることもあるでしょう。そう考えると、ちょっと話ずれるけれど、音と映像(そしてストーリーというある種の流れ)が組み合わさった映画というのは、あらゆる表現の複合体であり、作り手にとっても受け手にとっても非常に「面白い」表現なのだと解釈できるし、だから音楽の作り手がどういう形にしろ映像や映画という表現に関心を持っていく(あるいは映像・映画の作り手が音楽も共に手がける)、という流れは、素直に首肯できる。

話を元に戻すけれど、映像が付された音楽に私は確かに胸を高鳴らせることが多いんだけれど、その一方で、音それのみを聴いて、眼前、いや脳裏にあるイメージが立ち上ってくるような、その感覚も非常に好きなのです。たとえばある小説が映画化されたときに批判される理由に、“こんなイメージじゃない”というやつがあると思うんだけど、そこからも分かるように、脳内のイメージは往々にして具現化された映像をある意味で超える(それをスカルシネマと表現したのは誰だったか)。分からないことは分かることよりも恐ろしいというか、暗闇が怖いのはそこに何が潜んでいるか分からないからだろう。そこによくないイメージが広がってしまうからだ。と―また話が逸れた、けれどそぎ落とすことはしない。

だから音楽それのみから立ち上がる、明確でない、曖昧模糊としたイメージというヤツがとても好きで、それをもたらしてくれる音楽もまた好きなのです。

さて、インドネシア基盤のネットレーベル、mindblasting Netlabelより。Dea Karinaの作品がフリーでリリースされています。これが初作なのでしょうか。あまり大っぴらに音楽活動はしていないようです。SoundCloudを覗くとElectronicな硬い質感のトラックもあったりするのですが、ここにあるのはAmbient色が強い。Droningな印象もあるサウンドスケープにウィスパーボイスを挿入したスタイルは確かに珍しくはない。M-2では管楽器、M-4ではギターと思しき弦楽器の音が挿入されていて、モヤリとしたウェットな空間の中に出現する、そのAcousticな質感は面白い。

ここで先のイメージの話なのだけれど、第一印象、孤独な風景が浮かんできたのですが、さりとて孤独というどこか後ろ向きな感じも違うかなと思い、このイメージは何というのだろうと頭を捻ったのですが・・・ううむ。そういえば英語でいうところの、lonelinessとsolitudeってどう違うんだろうとネットの力に頼ったのですが(身近にネイティヴな方はいないのです)、“孤独に悩む人は”solitudeとloneliness”の違いを認識すべき”という、ああ前にも読みましたありがとうございますな記事にまたも行き当たる。多分解釈は他にもあるのかもしれないけれど、なるほど私が今作に感じていたイメージはsolitudeだったのだ。1人だけれどさびしくはない。自ら選んだ上での孤独、というニュアンス。だからこうちょっと温かみを感じるというか、冷たい部屋の中で1人で洗濯物畳んでるけど、顔はちょっと微笑んでるみたいな。まあ一人も悪くないよねっていう、肯定的なイメージ。solitary activity。

人里離れた山の中での自給自足の生活、それは決して易しいことではないけれど、どうにかこうにか軌道に乗ってきたようだ。そんな男とたまたま出会う、都会の生活に嫌気がさした青年。ここで暮らしたいという青年に、昔の自分を見るようで、優しさと冷たさをコントロールできない男。男の生活に憧れつつも、最後に青年が出す答えは―みたいな。ま、ステレオタイプだな。


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(CC) by – nc – sa 3.0



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