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カテゴリーアーカイブ: Maltine Records

lulu + Mikeneko Homeless – This Christmas Lovely Day [MARU-148]

 lulu + Mikeneko Homeless - This Christmas Lovely Day [MARU-148]

 – Tracklist –
 01. This Christmas Lovely Day
 02. Kisses
 03. Watermelon
 04. ここ Koko
 05. This Christmas Lovely Day (Hercelot remix)
 06. This Christmas Lovely Day (Yunomi remix)
 07. Kisses (DZZ remix)
 08. Watermelon(MAVIS BACON remix)



 - 03. Watermelon


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2015.11.26
 Label : Maltine Records

 Keywords : Hip-Hop, Love, Pop, Remix, Vocal.


 Related Links :
  ≫ (lu_ul)
  ≫ lulu on SoundCloud / on Tumblr / on Twitter

  ≫ 三毛猫ホームレス on SoundCloud /


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やっぱりMaltine Recordsは本当にすごいなあと思います。スイマセンMaltine Bookは入手して安心したのかまだ読んでないんですが、そこんとこを見ても私がMaltine Recordsというレーベルにガンガン関心(と書くとガンガンガン速っぽい)を持っているわけではないことは窺い知れるわけですが、でもやっぱりリリースを聴くだにつけ、すごいなあと思うのは、持ってくるものに常にPopが付きまとっているということです。足元にはクラブミュージックがあるんでしょうが(だから私が絶対的にハマることがないのだと思います)、その根っこから生まれ伸びた枝葉―リリースたち―は全方位拡散型といってもよいくらいのポップネスを持っていて、つまり私のようにクラブミュージックに関心のない人間のアンテナをも反応させるだけの圧倒的な力強さをもっていて、だからこそMaltine Recordsはここまで巨大な存在になったのでしょう。そう思います。

そう、lulu(敬称略)についても知ったのはMaltine Records側からではなかった気がするのですが、どうだったでしょう、SoundCloudで誰かがリポストしたトラックで知ったような記憶。andymoriやフジファブリックのカヴァーも披露していたりして、そこには初期衝動や抒情性があって、そして何より歌―声の力といってもいい―があったのです。

私は音楽における歌声っていうのはどうしようもない部分があると思っていて、多少は作ることはできるのかもしれませんが、根本的にはその人の歌声って変えられないものだと思っていて、嫌な言い方ですが好かれる声とそうでない声があるだろうし、それは経済に結びつければ、売れる声と売れない声という言い方もできるでしょう。たとえばスピッツのヴォーカルがマサムネさんじゃなかったり、ミスチルのヴォーカルが桜井さんじゃなかったりしたら、何かが違っていたと思います。何が言いたいかっていうと、このluluのヴォーカルがとにかくよいということです。なんといえば的確なのでしょう。M-1‘This Christmas Lovely Day’なんて決して憂鬱な内容ではないのですが、悲しみ、切実さ、願いがにじみ出ているのです。どなたかが宇多田ヒカルの歌声に“愁い”(“憂い”かもしれない)という言葉を使っていたような気がしますが、それをこのluluの歌声にも当てはめたい。Popなメロディラインや歌唱力もモチロン重要な要素ですが、私はこの声、歌声が何より、luluのトラックの最大の魅力。正直メジャー級だと思いますし、もっと広いフィールドでも活躍できると思います。

しかも歌声やメロディだけでなく、歌詞がまた、ヤバい。人間関係、主に恋愛における心の機微を、情景描写も交え、平易な言葉で、クリアに描いてみせる。ストレートにイメージを喚起する飾らない言葉たちは、多くの人の心に染み入るでしょう。この普遍性たるや。ヴォーカルを中心に据えた音作りもすごく合ってる(それをいったらこのPopへの接近を加速させるサウンドコーティングはやはり三毛猫ホームレスの手腕なのでしょうか)。一番好きなのは意外かもしれませんが‘Watermelon’です。伸びやかなヴォーカル、低空飛行からサビへの飛翔がすごく耳に心地よい。その裏で歌詞は切ないっていう。夏の終わりと恋の行方、そしてスイカ。Popだ!

後半4曲はRemixですが、これがまたPopで、ホントいっさいハズさない(歌をほとんど壊していないのは流石。抒情性も含めたオリジナルの強さが生かされています)。傑作という言葉を贈りたいデス。すばらしい。クラブミュージックにもアクセスしつつの女性ヴォーカルなポップスという点では、泉まくらDAOKOなどと共振する部分があると思いますし、そのお二方のファンという人は今作もマストだと思います。間違いない。あ、あとnetaudioの界隈でいうとlove.waveも近しいところにいると思います(私は言葉わかりませんけど)。


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Note :

Artist :
lulu
三毛猫ホームレス
Remix :
Track5 : Hercelot
Track6 : Yunomi
Track7 : DZZ
Track8 : MAVIS BACON
Photo:
Shintaro Yamanaka
Model:
Yuna / Hercelot
Style : POPS
Cat# : MARU-148
Released:2015/11/26
Format : MP3 320kbps




TOKIYA SAKBA x Houxo Que x MEISHI SMILE – STAR [SKLxMARU-001]

 TOKIYA SAKBA x Houxo Que x MEISHI SMILE – STAR [SKLxMARU-001]

 – Tracklist –
 01. STAR
 02. STAR (Carpainter Remix)
 03. STAR (Miii Remix)
 04. STAR (Hercelot Remix)
 05. STAR (Gigandect Remix)
 06. STAR (KOSMO KAT Remix)
 07. STAR (Sxy Remix)



 - 01. STAR


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 Release Page :
  ≫ [ sKILLupper ] / [ Maltine Records ] Download Free!

 Release Date : 2014.10
 Label : sKILLupper / Maltine Records

 Keywords : Anime, Electronic, Impasto, J-Pop, Remix, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ TOKIYA SAKBA
  ≫ TOKIYA SAKBA on Twitter

  ≫ Houxo Que on Flickr / on Twitter

  ≫ MEISHI SMILE on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud
     on bandcamp / on Tumblr / on YouTube / on Twitter


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TOKIYA SAKBA主宰のイラストレーベルsKILLupper(スキルアッパー)と、日本のネットレーベルMaltine Records。sKILLuppeはかねてから“μ-ZINE(ミュウ-ジン)”という形式のリリースを行っていて、今回はそれに則った形でMaltine Recordsとの共同リリースが行われました。μ-ZINEについてはsKILLupperのサイトに説明があります(引用失礼いたします)―“sKILLupperでリリースされる一連の作品群は、一次創作イラスト「メインビジュアル」と、そこから派生した二次創作イラスト 「イメージリミックス」、さらに、イラストに時間軸を与える音楽「カバートラック」。これらが三位一体となった新しいイラスト体験を提供します。 「音楽をイメージしたカバーアート」があるように、「絵をイメージしたカバートラック」という真逆のアプローチ、それがμ-ZINE(ミュウ-ジン)です。 異なる見方による再解釈と、絵から生まれた音楽、この2つでイラストの味わいをより深めます。”。

そして今回のリリースもこのμ-ZINEの形式に沿っているわけですが、まずメインビジュアルを手がけたのが、sKILLupper主催のTOKIYA SAKBA、イメージリミックスがHouxo Que(ホウコォキュウ)、そしてカバートラックがMEISHI SMILE! さらに今作はタイトルトラック“STAR”の他に、リミックスを6トラック収録。リミキサー陣もまた見逃せない布陣になっています。みなさん日本のトラックメイカーで、名前を見ても私でさえ“おお”と思う方々が並んでいます。GigandectとKOSMO KATは、アルバム“LUST”に引き続きの参加ですね。


タイトルトラックはずいぶん前にデモが公開されていたと思うんですが、基本的な構造は変えずにサウンドをブラッシュアップ、多層感が増したことによって、よりShoegazeのイメージが強くなっているように感じます。MEISHI SMILE自身はこのトラックについて―“This is the first song as Meishi where I used my real voice.”と述べていて、その分やはり特別な思いがあるのでしょう、“I feel like this is my favorite song that I’ve made which has been officially released so far.”とも書いています(≫ https://www.facebook.com/meishismile/posts/851402111560966)。


ダンサブルなビートにPOPなメロディ、そしてサッドなフィーリング。Shoegazeな陶酔感と共に加速するラッシュ感。気持ちよいのに悲しくなるという(まあエモいっていう言い方もあるんですが)、その聴き心地も相変わらずで、すでにMEISHI SMILE節とでもいえそうなものが、確立されてきた気配。近未来的風景なのに懐かしい、みたいな。行ったことない街で急に感じる望郷感、みたいな。特にこのトラックは、イントロにちょっとメルヘンチックとも取れる音(遊園地のゲームミュージックみたいな)が使われていて、よりノスタルジックな受け取り方もできます。要するにまあ、たまんねーなってことです。

初っぱなのCarpainterさんのリミックスがまたカッコいい。ブリブリしたシンセに2step/Dubstepなリズム。オリジナルとはまた違った形のスムースな流れ。アウトロが哀愁あって好きです。Miiiのリミックスは、Glitch/Breakbeatを交えた、カオスでIndustrialなバックの上にオーケストラルな意匠も凝らしたメロディを流す、美しい廃墟感。壊れゆく美しさは、MEISHI SMILEのサウンドにあるハートブレイクなイメージにも通じます。

個人的にヤラれたのが次のHercelot Remixです。上で述べたメルヘンチックなフィーリングにフォーカスを当てたような、驚愕のトイ感覚満載のリミックス。スゴすぎてちょっと笑ってしまいました。他人の曲いじってたら知らないうちに自分の曲になってた、みたいな。種々さまざまな音色でメロディを彩って、そのイメージはファニーなものに様変わり。メカニカルなイメージは、はるか彼方へ退いて、終わらないおとぎの国が目の前に。ここまでビックリしたのはPIGがカヴァーしたNine Inch Nailsの‘Head Like A Hole’を聴いたとき以来です(まさかの超ダークなJazzyなカヴァーで、ひっくり返りました)。

Gigandect Remixは安定したChiptuneアレンジ。ミニマルなゲームに似合いそうな、牧歌性が漂います。オリジナルのラッシュな勢いにブレーキをかけたシンプルなサウンドで、メロディが浮き上がっていて、いかにMEISHI SMILEがメロディメイカーかを、改めて認識することができます。続くKOSMO KAT Remixは、オリジナルの流れを踏襲しつつ、得意のグリッターなシンセサウンドにハウスなビート、その後ろにShoegazingな哀愁を流しつつ、ヴォーカルを聴かせる作りになっています。もっともオリジナルに近い聴き心地をもつリミックスかと思いますが、聴き比べるとオリジナルのエモーションに気づかされますね―MEISHI SMILEのもつPunkなスピリットを如実に感じます。

ラストのsxy Remixは10分に迫る圧巻のポップ・ノイズ(変な表現だ)。エディットされたオリジナルの断片がひたすらにリピートされる中で、リスナー(というか私)の頭に浮かぶのは、なぜか宇宙のイメージだった。放り出された広大な宇宙空間での浮遊。幾千幾億の輝く星たちに囲まれながらも、そこにあるのは孤独。いつまでも、いつまでも、浮遊しながら、輝きは消えず、孤独も消えず。作品のラストにこれが収められていることに、意味を感じてしまいます。リミックスという形ではありますが、MEISHI SMILEの世界観が見事に表現(あるいは補完)されているように思います。


TOKIYA SAKBAによるメインイメージもサウンドにハマっています(今回の場合もイメージからサウンドが作られたんでしょうか?)。上にあるイメージは小さくて分かりにくいですが、よく見ると胸元にスッと切ったような血の跡があるんです。風に吹かれるさびしげな少女と胸元の傷。絶妙にサッドです。そしてイメージリミックスも、蛍光塗料とブラックライトでリミックスされたイメージは、光と闇の二面性を持っていて、これもそのまま、MEISHI SMILEのサウンドが持つ二面性にリンクします。もともとノイズ・ミュージックを作っていた彼が今はこんなにPOPなサウンドを作っているという、その部分にも私は強く惹かれているわけですが、時折みせる過去の片鱗は、彼が過去を捨てているわけではなくて、今もそれは二面的に存在していることをうかがわせます。そんなMEISHI SMILEのサウンドと、これらイラスト群の組み具合は、まさに三位一体というべきで、すばらしい作品です。ビバスキルアッパー。ビバマルチネ。


余談ですが、繰り返し聴く中で、この“STAR”はバンドサウンドでも映えるんじゃないかって思いました。そう考えたら、MEISHI SMILEがバンドに曲提供とかしたらどうなるだろう、スゴそうだなあって、ひとり興奮しました。でも“起こりえないこと”ってわけでもないから、勝手にワクワクと期待しておきます。日本のバンドとかにねえ、ないかなあ。絶対いいと思うんだけどなあ。

※ちなみに10/11のリリースパーティは見れませんでした!



PARKGOLF – 瞬間最大風速 (feat. さくらゆら) [MARUI-004]

 PARKGOLF - 瞬間最大風速 (feat. さくらゆら) [MARUI-004]

 – Tracklist –
 01. PARKGOLF – 瞬間最大風速 (feat. さくらゆら)





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 Release Date : 2014.03.04
 Label : Maltine Records

 Keywords : Electronica, J-Pop, Kawaii, Vocal.


 Related Links :
  ≫ PARKGOLF on SoundCloud / on Twitter

  ≫ さくらゆら on Twitter
  ≫ kawaii*


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日本のネットレーベル、Maltine Recordsより。“「アイドル」を0と1で再構築する為の新たなレーベル型番「MARUI」”。その4番目のリリースは、札幌在住のDJ/トラックメイカー、PARKGOLFのトラック。ボーカルにはプライムエージェンシー所属のさくらゆらが迎えられています。同時期にやはり日本のネットレーベル、分解系レコーズからも、Nyolfenがトラックを、さくらゆらがボーカルを担当したシングル、“City Lights Reflection”がリリースされています(Go-qualiaが手がけたリミックスも収録)。

東京女子流とガッツリ組んだ“Maltine Girls Wave”にも色々な面で驚かされましたが、今作もまた新鮮な驚きを与えてくれました。まずリリースページのデザインが素晴らしいです。分解系もそうですが、Maltineもリリースページに趣向が凝らされているものが多くあって、今回もとても素敵です。ボーカルを務めたさくら嬢の写真がグルグルと画面上をスライドしていて、中央の再生ボタンを押すと、曲とリンクして画面上の歌詞のフォントがスクロールしていきます。ヴィジュアルと音楽がリンクすることで、そこにひとつの表現が成り立っていて、見て楽しい、聴いて楽しいというものになっています。延々リピートしたくなるのは必至。

トラックの方も、ピアノの響きとフワリとした電子音、ちょっぴりのBleepyなシンセがアクセントになった、見事なPOPS。歌詞もよいです。日常のシーン、天気予報の流れから、“瞬間最大風速”というワードへとつながり、そこから、誰かとの出会いを夢見る女の子の心情へ至る。思うに“瞬間最大風速”というワードは、一目ぼれした時のような、トキメキとでもいうか、その瞬間に身体を流れる電流のような、あの感覚を表しているのでしょうか。

曲調も、ミドルテンポで最後まで穏やかに進むかと思いきや、途中でギアをチェンジする部分が面白いです。そして、時折出てくる“とかね”や、“なんて”という言葉にある、自分の妄想を茶化そうとするような、ほのかな茶目っ気。それらは女の子の移り気な気持ちを表しているようでもあり、少し舌足らずなさくら嬢のボーカルも相俟って、“Kawaii”というワードに非常にマッチします。黒髪色白の清楚なルックスで、足元はブーツ、ガーリーなミニスカートを履き、上は紺色のパーカー(ちょっと大きめ)、胸には“Hi-Fi”の文字。まさに“Kawaii”(男性目線かもしれないけど)を忠実に再現したような、さくら嬢のルックスも、今作のマトを的確に射ぬいています。

リスナーの中のPOP、その領域をさりげなく広げていくMaltine Recordsは、やっぱりスゴイなあと改めて思います。さくら嬢はkawaii*からデビューするセクシー女優でもあるわけですが、思えば“kawaii”というワードをアダルトなレーベルに使用しているkawaii*も、相当にPOPです(2006年設立らしいですが、一昔前だったらこのセンスは考えられないと思います)。つまりPOPとPOPが組んだ今作は、見事にPOPという結論。

今作が気に入った方は、上記の“City Lights Reflection”も是非。分解系らしい微細な電子感・編集感がクールです。


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Tomggg – Popteen [MARU-127]

 Tomggg - Popteen [MARU-127]

 – Tracklist –
 01. Popteen
 02. SO-EN
 03. ViVi



 - 01. Popteen


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 Release Date : 2013.12.15
 Label : Maltine Records

 Keywords : Electronic, Lounge, Pop, Progressive, Shibuya-Kei.


 Related Links :
  ≫ tatsuyafujishiro.com
  ≫ Tomggg on SoundCloud / on Twitter


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日本のMaltine Recordsより。日本は千葉のトラックメイカーTomggg(とむぐぐぐ)の作品がフリーでリリースされています。これまでにも、やはり日本のネットレーベル、Yae Recordsから、Tomgggの他にfujishiro tatsuya名義でもリリースを行っています。

Yae Recordsからの”A String Around Summer“を聴いて、その抑制された(暗さも秘めた)サウンドが耳にあった私は、今作を聴いて、一瞬よく似た名前の別人じゃないかと疑ったんですが、どうもそうではなかったようです。そのくらい、衝撃的にPOPなサウンドが聴こえてきたんですね。Twitterでも、レーベルカラーに合わせて派手めの音にしたようなことを仰っていましたが、狙ってやるとここまでカラーを変えることができるとは、職人的な才能を感じます。

聴きながらずっと、ここにある空気はなんて言葉が合うんだろうなあって疑問に思いながら、何回も聴いてたんですが、YES/NO MUSICのレビューを読んで、みつけました。Shibuya-Kei(渋谷系)でした。ぜんぜん通過してきていないので、頭に上ってこなかったようです。でも渋谷系って言葉だけで通じちゃうほど、型にはハマっていません。

聴いて一発でユニークに感じるのは、ムニャムニャしたヴォーカルです。変調されたような機械的なヴォイスがウニャムニャと言葉を紡ぐのですが、そこには意味は見いだせません。しかし意味はなくとも、そこにある声音と発声のニュアンスだけで可愛らしさを打ち出してしまうセンス。面白いです。歌詞で伝えたいことがないのなら、むしろ歌詞から意味など消してしまおうという意思が存在する、のかは分かりませんが、B―DASHの“ちょ”なんかを思い出しました(不適当な引き合いでしたらスイマセン)。

チャイルディッシュなElectonicaのような出だしから、徐々に加速していき、エレクトロなエディットをかまし、そのままHouseになだれ込んでいくような、多段的な構成が抜群に気持ちよい、タイトルトラック‘Popteen’。加速感と、その加速感の中にちりばめられたPOPな音色、フレーズたちの混然一体具合がものすごく気持ちよいです。

雨の日のような、物憂げなイントロから一転、やはりチャイルディッシュなヴォイスと、Trance様のシンセがきらめき、さらにはJuke/Footworkを経由したような高速の細切れビートが走りはじめる、‘SO-EN’。中盤にあるメルヘンかつアグレッシヴな音のうねりは、加速感の中に上昇下降する気持ちよさがあって、ジェットコースター的っていうと安っぽくなっちゃうかもだけど、ホントそんな感じです。

作中でもっとも渋谷系な力を強く感じたのがM-3‘ViVi’。印象的なのは早口言葉みたいにエディットされたヴォイス。そしてこれもYES/NO MUSICの受け売りになってしまうけれど、確かにNintendo感がありますね。メルヘンチックな世界と、安心感の同居というか(忘れちゃいけない子供らしさも)。いわゆる渋谷系サウンドのアップデートというのは色んな方がやってると思うんですが(中田ヤスタカなんかもそうでしょうか)、このトラックも、その流れ―Nu-Shibuya-Kei―を感じさせます。

確かに聴いてみれば、‘Autumnal glitch’(“A String Around Summer”収録)にある、細断されて点状になったヴォーカルやシンセを利用したクールなエディット感は、今作にも通じる部分があります。今作を聴くだけだとTomgggのサウンドに対するイメージは、“カワイイ”になるかもしれませんが、色んな作品を聴いてみると、きっと“スゴイ”とか“カッコいい”になること請け合いです。すばらしいPOPS! ここにあるワクワク感は、音は違えど、fu_mouの名曲‘Green Night Parade (feat.星子)’と似たものを感じます。

ちなみにアートワークを手掛けたKazami Suzukiさんは、Meishi Smile“LUST”のアップデート版(2014年1月リリース)のジャケットも手掛けています! 素敵な関連性ですね。

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Artist : Tomggg
ArtWork : Kazami Suzuki



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