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カテゴリーアーカイブ: UNKO Records

Roro Bobobert – Måmånen Komommomer Hem Hem [unk14]

 Roro Bobobert - Måmånen Komommomer Hem Hem [unk14]

 – Tracklist –
 01. Intro
 02. För 9989899989 Öre Minuten Till Alla
 03. Den Den Den Finska Vintern
 04. Roberts Tema
 05. Huhu Husen
 06. Mamamma
 07. Tyvärr Tyvärr
 08. Bonus Beats



 - 03. Den Den Den Finska Vintern


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 Release Date : 2012.06.07
 Label : UNKO Records

 Keywords : Concrete music, Cut-Up, Electronic, Industrial, Sound Art.


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UNKO Recordsというレーベルからのリリースなんですが、これ本当にスウェーデンのレーベルなの? bandcamp上のレーベルページにも“うんちミュージック”という言葉があるが、自らの音楽を排泄物よばわりするとは、往年のCoccoやSyrup16gの五十嵐隆を思わせるではないか(どうでもいいコジツケをすいませんです)。

レーベルの情報や所属アーティストの情報もろくになく、素性が知れないミステリアスな部分もまた魅力。特にアンダーグラウンドに偏ったリリースをしているわけではないんですが、中でも異彩を放っていたのは、この作品。いろんな意味で印象に残ります。

Musique concrète(Concrete music)の範疇に入るでしょう。使われているマテリアルは人の声。全編がほぼ、その人声のみで成り立っていながら、あまりに細かく切られているので、人の声であることを忘れてしまうくらい。極小の範囲でひたすらにリピートされるその在り方に、音楽的要素はないに等しい。音楽というよりはSound Artの一種になるんだろうか。近しいところではEtched TraumasからLezetがリリースした“Hum”という作品があって、そちらは人の発語の中にあるハミング部分(厳密には異なるかもしれないが)を利用した奇妙な音楽作品なのだけれど、対してこちらはあまりにも冷徹、マシーナリーな編集。

懐かしきCDの音飛びのような、延々と言葉の一端がリピートされていく内に、もはやそれは言葉という形態を消失し、リスナーにとってはただの音になる。その執拗な反復はやがて、機械の駆動音やサイレンのような、非人間的、人工的なイメージを生み出し、もはやIndsutrialのような様相に。言葉の原型はどこかへ消えてしまう。作品に対する記述も特にないので、どんな意図をもって作られたのか、知る由もないわけですが、言葉のもつ意味を破壊しようとするような(そして嘲笑うような)、アグレッシヴ、偏執的な編集には、強固な意志を感じる。作品のタイトルや、各トラックのタイトルにも、おそらく大して意味はないのでしょう。その、“向こう側”に片足突っ込んだようなマッドなテイストは、痛快で、頼もしくもある。まったく音楽的ではないんですが、面白い作品です。


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Recorded and edited by Onajs Gazell 2012.

Artwork by Lou Kemi.


(CC) by – nc 3.0