ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

PLAYLIST : 2020.04




 She lives in a dream world [a world of her own].



cool places – coral beach resort [TWFM 009]

 cool places - coral beach resort [TWFM 009] Cover

 – Tracklist –
 01. I: finally, you’ve arrived
 02. II: resort shoppe
 03. III: fitness center
 04. IV: karaoke bar
 05. V: outdoor pool & spa
 06. VI: jacuzzi
 07. VII: entertainment zone
 08. VIII: beach-view brews
 09. IX: water park
 10. X: grand strand getaway



 - 05. V: outdoor pool & spa


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 Release Date : 2019.08.21
 Label : tapewurm.fm

 Keywords : Electronic, Melodic, Midi, Utopian Vurtual, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Crystal Data Enterprises


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サナダムシ!ですよ。そういえば詳しく知らないよねってことでWiki読んでたら体内がムズムズしてきたので、熱心に読むのはやめました。ここに長ったらしく引用文でも貼ろうかなと思ったんだけど、やめておきます。確認したい人はリンクからどーぞ。長いと10m以上になるものもあるんだなあ…ふーん…。そういえばサナダせんせいってキャラクターもあったけど、よくよく考えたら、子供向けのバラエティ番組でサナダムシをキャラクター化ってのも、過激…。

じゃあなくて、いやそうでもないんだけど、このレーベルの名前、tapewurm.fmってどういうニュアンスで使ってるのか分からなかったんですが、bandcampのヘッダーにデカデカと“サナダムシ”とございますので、tapewormのモジりということでよろしいんでしょうか。ちょっと話逸れますけど、Nine Inch Nails(NIN)ファンの私としてはそのtapewormという響きで思い出すのは、Trent Reznorがその昔立ち上げかけたサイド・プロジェクトにまんまTapewormというものがあってですね、これはTrentはもちろん、NINのライヴメンバーのほか、Tool, A Perfect CircleのMaynard James Keenanや 、HelmetのPage Hamilton、PanteraのPhil Anselmo、プロデューサのAlan Moulder等々が参加した、スーパーグループ、スペシャルなプロジェクトで、Trentもたびたびインタビューで言及しておったのですが、結局リリースはないままに、2004年にあえなくプロジェクト終了宣言…というものがあって、それをボンヤリ思い出したのですが、今レーベルのリリースを見ている中で一つ、ひときわ気になったのが、なんとNIN、Trent Reznorがジャケットイメージに使われている作品がある!(いやここで取り上げている作品ではないのですが。アハハ。ちなみにそのタイトル“F R A G I L I T Y 3​.​0”はNINが2000年に行ったライヴツアー“Fragility 2.0”にあやかっている)。これはTrentのインタビューを使った奇妙なSpoken Word作品で、関わっているreznorwaveは一貫してNINとVaporWaveをコンバインしたトラックを作り続けているという…そんな作品をリリースしているレーベルの名前がtapewurm.fmって何かの縁ですよね、私にとって。膨大な作品があふれているネットの中から何を聴くか、そのきっかけとなるには十分すぎるこの縁をたどって行き当たったのが、さあこの作品。ようやく。

Midiの体裁を生かした、いってみればイージー・リスニングな作品だとは思いますが、方向性はどうあれ、この現実から乖離したイメージというのはやはりVaporWaveと共振するものがあります。サンプル―ベースなのか、原曲があるのか等々は判然としませんが、チープさゆえに醸されるレトロ感、シンセサイズ感の強い音色たちが与える不思議な漂白感。その中で作り上げられる仮想ユートピア(Utopian Vurtual)というのが、この作品の肝になるかと思います。しかしながらこれはこのレーベルからのリリース、この文脈で聴いているからこその聴取感であって、また違ったとらえ方をすれば、ぜんぜんVaporWaveとは切り離して聴くこともできると思います。素直にリラクシンな空間があるわけですし、それを享受することはおかしいことではない。当たり前だけど。

そういうことでいうと、VaporWaveと共振するようなMidi風作品で異彩を放っていたものは、私の狭い聴取範囲でいうと、ここでいくつか紹介したPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeからの作品ですとか、Amun Dragoonの後期の作品とかです。私別にピエロ恐怖症とかではないんですが、なんていうんでしょうか、お面とかもそうだけど、貼りついた表情の裏にある正体が不明であるがゆえの不気味さっていうかね、あとはコーティングの無菌感、無機質感への憧れ―あくまで憧れだから、決してそこにはたどり着けないという諦念の裏返し―とかね、そういう不気味さとか空しさとかがあちらにはあって、こちらにはない、ような気がする。別に悪いとかではなくて、違いを感じたということです。

だから今作はストレートに、真っ当に、ここにあるcoral beach resortをね、楽しむべき作品なんじゃないかなって、そう思います。


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Č∂є hλs tɘλmɘd up with thɘir pλrtnɘrs “cool places”. A trλvɘl λgɘncy f๏cusɘd ๏n sh๏wing thɘ pɘ๏plɘ ๏f ɘλrth λmλzing plλcɘs t๏ disc๏vɘr whilɘ thɘy’rɘ λlivɘ. Wɘlc๏mɘ t๏ thɘ Coral Beach resort, t๏night is disc๏ night λt thɘ kλrλ๏kɘ bλr.


Produced by: cool places
crystaldataenterprises.bandcamp.com

LOSTSLEEP – L O S T S L E E P

  LOSTSLEEP - L O S T S L E E P

 – Tracklist –
 01. foolish heart
 02. me & you
 03. love again
 04. sinner’s blood
 05. fuck yourself
 06. told you
 07. be mine



 - 01. foolish heart


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 Release Date : 2020.03.31
 Label : Ezhevika

 Keywords : Chill, Electronic, Indietronica, Synth, Vocal.


 Related Links :
  ≫ LOSTSLEEP on SoundCloud / on VK


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時間の感覚がずれている。遅いような、早いような、不思議な感覚が続く。どういった時間の過ごし方が最も自分にとってよいことなのか、考えるが、心に巣食っている不安というヤツが、いつも邪魔をする。集中を妨げる。どんな状況になっても結局不安というヤツは消えていかない。水道の蛇口からゆっくりと水をだし、空のヤカンに水を満たしていく、そこに生まれる波紋に視線を向け、とめどなく動き続ける水流を、グルグルと追っていく。さながら私の心の中のようではないか、ゆっくりと、ゆるやかに、何かが渦を巻きながら、貯まっていき、そしていつかは溢れ出る――

などということを私がやっている最中も、世界には、相変わらず――本当に相変わらず、音楽が流れていた。

ベラルーシはミンスクのレーベル、EzhevikaからリリースされたLOSTSLEEPのセルフタイトル作。ウクライナ、ドラツクのトラックメイカー。おそらくは初作だと思うんですが、いい意味での裏切りが耳を引きますね。M-1, 4はヴォーカリストを招いてのウタモノトラックになっているんですが、この歌声のエレガントな調子からして往年のトリップホップなリズム系が似合うんじゃないかなあ、というか、そういうドゥビーン、ズブゥーンというダビーでヘビーでスロウなリズムを予想してしまっている私がいたんですが、全然違った…。4つ打ちバスドラムが響いた瞬間のこの新鮮な空気たるや。そしてアンバランスにも思えるデカめのシンセによるアンビエンス。そこからさらにリズムの手数は増えて慌ただしくなっていく中で、歌声は優雅に響き続けるという。M-4もいろんなエフェクトを散りばめた上で醸されるこのチルな空気のウタモノトラック、いいですねえ…ちょっぴりノスタルジア。

M-2はやはりシンセの包容力ある空間とBreakbeatも交えてちょっとアブストラクトな出だしでダークな方向にいくかと思いきや、まさかの哀愁ブラスが鳴り響いて、夕暮れの都市風景が目に浮かんでしまうじゃありませんか。M-3もこの冒頭の音色、なんていうんですかコレ、不勉強で分からないんですが、この音色すごく好きなんですよ。夜の底っていうか、都市の夜景が浮かぶような、しっとりラウンジな感じで行くかと思いきや、でもやっぱりそこから転じて、Electronicな方向でMelodicにまとめるっていう。M-6もPost-Punkみたいなフレーズが初っ端に出てきて通底するんですが、なんでここにコレなんだろうなあーという不思議な按配です。そのままなだれ込むM-7も尖がったシンセフレーズから始まって、徐々にいろんなサウンドフレーズが重なってビルドアップされていくにぎやかなトラック。もっとよい再生環境で聴けばまた違った印象になりそうな気もします。

M-8がようやっと、私が初めに今作に抱いたイメージに近い音像、かな、という感じです。スロウでダビーな空間処理で、ちょっぴりダークっていう。最後のトライバルな調子とか雄々しくて面白い。全体通して聴いてみると、今作って似た音色が多いような気もするんですが、各トラックは意図的にコネクトされているそうなので、敢えての作りなのかなと思います。“All tracks are connected with each other, from youthful exuberance to self-perception. All that is left is to walk on and aim for the best.”とあるので、みなさん自分なりにここから何かを読み取ってみるのも、また一興かと思います。

習作のようなニュアンスも感じられますが、さりとてこのユニーク、絶妙なバランス感覚も好ましくありますので、今後もこのPOP指向を保ちつつ、バリエーション豊かなトラックを期待しております。◎。


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 Credit

Music: Danil Markov (LOSTSLEEP)
Vocals (Tracks #1, #4): Axu Dzhuraeva
Design: Alexander Goluziy (Blood Burner)



rainfuture, cat mint – rainfuture / cat mint split!

 rainfuture, cat mint -  rainfuture / cat mint split! Cover

 – Tracklist –
 01. rainfuture – the voyageurs
 02. cat mint – crawling
 03. rainfuture – carried away
 04. cat mint – nebrasca/abide by northwest by 26’s way
 05. rainfuture – hcaer
 06. cat mint – down



 - 02. cat mint – crawling



 - 03. rainfuture – carried away


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 Release Date : 2020.01.12
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Instrumental, Lo-Fi, Sadcore.


 Related Links :
  ≫ rainfuture on SoundCloud/ on bandcamp / on VK / on YouTube / on Twitter
  ≫ cat mint on VK / on bandcamp


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ロシアより、rainfutureとcat mintによるスプリット作です。サマーノスタルジアなジャケット画像が良い感じ…。

詳細は不明なのですが、rainfutureはもともとPost-Rockを経由したような、Ambient色の強いインストゥルメンタルを作成しています(でもPost-Rockというワードは積極的に使ってはいない)。でも壮大でシネマティックな空間を作るというよりは、その一歩手前で広がりを敢えてセーブすることで描かれる風景を日常に留めているような、そんなイメージ。今作ではないけれど、ギターはPost-Rock風なのにリズムがTrapを意識したようなチキチキしたものを使っているトラックもあって、その辺りから察するに一人ユニットなんでしょうかね。でも決してそれ一辺倒というわけではなく、静的なインストゥルメンタルを作風としているようで、“Each Other”ではピアノとストリングスで以て、非常にMelodicで感傷的な風景を見せてくれます。今作でもギターは使えどもAmbient/Droneな方向に寄っているトラックが多く、cat mintの輪郭のハッキリしたトラックとのコントラストが刺激となって、リスナーを飽きさせません。

そのcat mintは一言でいえばまあSadcoreというか(このワードはいまだ有効なんでしょうか。ピンとこない人もたくさんいると思います)。自身のbandcampでも作品を公開していますが、決してアッパーには弾けない、枯れたギターの響きが印象的。ギターが抒情的に流れていく中で、ボッソリとした抑うつ的なヴォーカルが隙間風のように吹いていく。端的に、暗い(悪い意味ではないんです)。たとえば私はL’ALTRAの作品を聴いたときに、歌における感情表現について、声を張り上げるだけが手段ではないんだなあと感じましたが、このcat mintの楽曲でそのときの感覚を思い出しました。ただこのcat mintはですね、ときどき声張り上げます、その辺りで一瞬抒情派エモみたいな顔をのぞかせるのが面白いですね。今作でもラストのトラック‘down’で感情的な歌唱を見せていますが、なぜか尻切れトンボ気味にブツリと切れて終わるという…そういう演出なのかしらん。人里離れた山小屋の窓際から、屋外の紅葉を眺め耽る物思い。




Various Artists – Hyperboloid 2020[HYPR080]

 Various Artists - Hyperboloid 2020[HYPR080] Cover

 – Tracklist –
 01. Summer Of Haze – Classica
 02. cadeu – happy new yeah
 03. Famitsu – Bowser
 04. A.Fruit – Promises
 05. Pixelord – Amen
 06. zarya – Voice Unit
 07. Bad Zu – GET DAT
 08. tropical interface – nitrogen enrichment
 09. Raumskaya – tv252
 10. Max Dahlhaus – AntiLog
 11. Nphonix – Dirty MF
 12. data drain – Time Warp Device
 13. new sylveon – Zwarovski Monolith (Britney’s Cocaina Nightmare)
 14. BOGUE – Deep Deep Down
 15. wac© – Ruins Around Us
 16. Fisky – Millenial Loop
 17. ZAKLADKI – COSMOGRAMMA
 18. Sangam – Arose Into



 - 1. Summer Of Haze – Classica



 - 6. zarya – Voice Unit



 - 8. tropical interface – nitrogen enrichment


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 Release Date : 2020.01.01
 Label : Hyperboloid Records

 Keywords : Bass, Compilation, Electronic, Future, IDM, Russia.


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このご時世にどれだけの人がアルバム単位でnetaudio界隈の音楽を聴いているのかという疑問はありますが、私はといえばやっぱり作品単位で聴いてしまうのですね。アーティスト側が1曲で聴いてくれってなら別ですけれど、何曲かコンパイルして公開しているなら、じゃあそのまま聴きましょうか―いや聴かせていただきます、と。そういう聴き方をしている人間にとってアルバムの冒頭曲というのは非常に重要な意味合いを持っています。その1曲で作品に引き込まれるかどうか、その先を聴くのかどうかが決定すると言っても過言ではない。そういう意味では、この作品は私の耳とハートを、見事に冒頭のトラックでキャッチした。

Hyperboloidはロシアンレーベル(初めは私がHyperboiledと誤読していたのはちょっと内緒)。私が不勉強なだけですでに一定の人気は獲得しているし、少なくない数の作品がリリースされてきています。Bass musicよりのElectronic musicという認識でよいのでしょうかね。アタックの強い電子なリズムをボトムに据えた作品が多いように思います。

今作は2020年1発目にリリースされたレーベルコンピレーションですが、ここでも私の不勉強さがさく裂して、ほとんどのトラックメイカーを存じ上げません…。PixelordやSangamあたりがかろうじて…という感じでしょうか。まあ知ってるか知らないかで聴いてたらこんなブログやってませんから、気にせず聴いていったわけですが、先にも書いたように1曲目がよいですね。妖しげに瞬くシンセとひたひたと歩むリズムは徐々にビルドアップされていく中で近未来都市のようなサイバーな空気も醸しており、実にクール。幻想的なシンセのラインと足早なドラムの対比で陶酔感を生み出すM-3や、リズムの音色変化で翻弄し続けるユニークなM-7、メタリックな収縮と解放を繰り返すM-8(M-7からこのM-8の流れは好きですねぇ)。

不穏な空気ながら、どこかにOutrun的なニュアンスも感じられるM-10も面白い聴き心地だし、いきなりシンフォニックなメタルミュージックのようなヴォーカルが聴こえ始めるM-14は意表を突かれますが、ColdWaveやIndustrialの流れを汲んだ、きちんとしたウタモノです。こうしてかいつまんで書いていてもなかなか聞き逃せない作品だなあと改めて思うわけですが、特に一組、超絶に気になったアーティストがいまして、M-6を手がけたzaryaです。全編通して聴くとよく分かりますが、作中でダントツにPopなフィーリングを放っています。変調されたエフェクティヴなヴォーカルに小刻みなリズムやシンセで作り上げられた冷たく美しい世界が私を魅了してやみません。方向性は異なるんでしょうが、この組み合わせは個人的にlexis shiiを思い出しました。

とここからZaryaの話になりますが、彼らは2018年に始まったシベリアのエレクトロニック・デュオ。HyperboloidのサブレーベルであるINTERNETGHETTOからも“Synthetic World”をリリースしてますし、何気にSIDECHAINSからも“18 y​/​o”をリリースしていて、今作収録曲とはまた趣の異なる彼らの楽曲に触れることができます。アタックの強い、エフェクトの効いたバックトラックでダイナミックに攻めながらもヴォーカルのメロディラインでしっかり聴かせるという見事にPop指向。好きですねぇ、イイですねえ。長く続いてほしいなあと思いますが、どうでしょうか。

とこういうように、存じ上げないアーティストばかりだからといって聴かずに終わらすのではなくて、一歩踏み込んだらお気に入りのアーティストが見つかる、というケースもあるのでね、やっぱりコンピレーションってのは(初見の人に)レーベルに興味を持たせるには最適だし、だからこそ冒頭一発目の曲はより一層重要になってくる、と思わされた作品でした。マル。散々電子なリズムで圧力かけておいて、ラストのSangamがしっとりAmbientで耳をいたわってくれる気遣いやよし。


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 Credit :

Mastering by Pixelord
Artwork by gsm_garden


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zarya – Холодный металл (Cold Мetal)




Radiophile – Serrated Love[IDMF057]

 Radiophile - Serrated Love[IDMF057] Cover

 – Tracklist –
 01. Serrated Love
 02. Xanax
 03. Brutalism
 04. 359°



 - 01. Serrated Love


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 Release Date : 2019.06.29
 Label : IDMF Netlabel

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, Melodic, Psychedelic.


 Related Links :
  ≫ Radiophile on SoundCloud


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IDM Forumsのレーベル面であるIDMforums Netlabel。気づけば10年選手ですね! コンスタントなリリースという点では中だるみもあったような気もしますが、ネットレーベルとして10年というのは長寿といっても良いと思います。IG88とはかこのレーベル経由で知ったように記憶しています。

Radiophileはアイルランドのトラックメイカー。2018年に同じレーベルからObscurityをリリースしています。あまりウェブ上での動きは活発ではないようで、ほとんど足跡は残っていませんが、その隠密な雰囲気も好きですよ私は。トラックだけ投げつけてササッと身を隠す感じね。なのでどういったバックボーンがあるのかとか、詳しいことは分からないのですが、ひとつ言えることは過去作よりこの最新作が良いということです。

何が良いってメロディが強くなってる点。MelodicなIDM/Electronica好きとしては、ここは推しポイントです。M-1‘Serrated’やM-2‘LoveXanax’のシンセな音色とゆるやかな流れは荘厳な気配もありつつ、ちょっと感傷的な旋律はビューティフルで、なんだか御大mosaikを彷彿させるじゃあありませんか。鼓膜と心を震わせる。でもコテコテにメロディに寄っているわけではなくて、どのトラックでも絶対一回道を外れるというか、あえてミニマルな展開を拒否しているような節がある。メロディ一発で突き進んでもいいのになあと思ったりもするんですが、一回途中で脳みそに電極ブッサして違う反応を引き起こそうとしているような、甘美な夢の中、視界の端に薄暗い一角をあえて作り出そうとしているような、挑戦的な姿勢が感じられます。そういう意味でサイケデリックなテイストもありますね。最終的に元の道、元の視界に戻すのかと思いきや、そうでもなくて、M-4‘359°’などはノイジーな響きでフェイドアウトしていく(360°に1°足りないってどういうニュアンスなんだろう。完成されていない何かというイメージ)。その辺りがユニークな音作りに思います。

メロディ全開にしたトラックも聴いてみたい、そんな気になるトラックメイカーさんです。


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 Credit :

Composed by: Radiophile
Cover art by: nostromer (ft. stills from Radiophile)

(CC) by – nc – sa 3.0



PLAYLIST : 2019.09




 You must have been dreaming.