ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: .phonographiq

Beautytone – Winter [.ph08]

 Beautytone - Winter [.ph08]

 – Tracklist –
 01. Wind
 02. Iceland
 03. Lights
 04. Firelight
 05. Polar
 06. Winter
 07. Dancing Snow



 - 02. Iceland


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ bandcamp ] / [ rutracker.org ] Download Free!
    (※rutracker.orgの使用については、こちらを参照)

 Release Date : 2012.12.07
 Label : .phonographiq

 Keywords : Ambient, Drone, Electronica, Glitch.


+ + + + + +


2012年より始動したロシアの新興ネットレーベル、.phonographiqより。詳細は不明ですが、Beautytoneなるミュージシャンの、新しい作品がフリーでリリースされています。カタログ番号でいうと、このひとつまえ[.ph07]が、同じくBeautytoneの作品で、タイトルは“Summer”でした(リリースは11月だけどね)。今作は12月リリース、そしてタイトルは“Winter”ということで、まさに“この季節”に合わせた作品になっています。

冒頭のトラックがAmbient/Droneになっているので、全編その流れかと予想したのですが、違いました。さまざまな電子音(あるいは楽器音)のフレーズや、環境音、Glitchなどのサウンドエフェクトも使用されていて、静謐な中にも動きを生み出している。それらの動きはまるで、一面銀世界の中にふいに現れた小動物のような、驚きと、愛らしさを感じさせるときもある(特にM-3はチャイルディッシュだ)。

静謐、サイレントな調子は一貫しているのだけれど、音の作り方は固定的ではない。そんな印象がある。先にも書いたように、M-1でピュアなAmbient/Droneを聴かせたかと思えば、M-2ではElectroacousticからAmbientまでを、1曲の中で展開してみせる(その切り替わりは唐突で、違うトラックに入ったのかと思うほどだ)。M-4では、ぼやけた輪郭のピアノ演奏からはじまり、その物憂げな風景は、やがて悲しみのフィーリングを持ったAmbient/Droneのレイヤーに飲み込まれていく。やがてまた甘美な夢から醒めたように、ピアノが戻ってくる。

M-5の静謐でありながら分裂的なサウンドは、美しさと同時に狂気もはらんでいて、これは表面的な部分とは別に、冬のイメージをもっとも強く表現しているサウンドではなかろうか(M-6もその傾向はあるけれど、もっとおだやかだ)。冬は決して凛とした美しさをもっているだけ、ではないのだ。

ラストは約11分のAmbient/Glitch。延々と続くような、ミニマルなGlitchは、灰色の空から舞い降りる白い欠片。中途から聴こえるザワザワとしたレイヤーは、身を切るような冷たい風。Ambientな空間処理が、広大なスペースを作り上げる。脳内で無限大に広がるその景色の壮大さは、現実世界の比ではない。ふと気を許せば、リスナーの眼はもはや現実を見てはいないだろう。おとなしくとも、その力はとても強い。

10分を超えるトラックがほとんどで、やや長尺な節はありますが、よい作品です。冬というイメージを保ちつつ、そしてAmbient/Droneという決して刺激的ではないサウンドを多用しつつ、それでもリスナーを飽きさせない、それだけのバリエーションを生み出す才能は、確かなものだと思います。抽象に流れそうな気配も多分にあるのに、そうはなっていない。どこかにメロディへの志向が感じられて、そこも好ましい。他の四季をテーマにした作品もリリースしてくれるのでしょうか。楽しみにしています。



%d人のブロガーが「いいね」をつけました。