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カテゴリーアーカイブ: EverythingIsChemical

Sob Story – EICV7″ No. 106

 Sob Story - EICV7

 – Tracklist –
 01. Miss Fuyutsuki
 02. Hikikomori
 03. Aspartame
 04. Fan Mail





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 Release Page :
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 Release Date : 2015.07.07
 Label : EverythingIsChemical

 Keywords : Ambient, Dream pop, Shoegaze, Vocaloid.


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2008年から続くミュージックブログ/インターネットレーベル、EverythingIsChemicalより。アメリカはミシガン州アナーバー出身というトラックメイカー、Sob Storyの作品がフリーでリリースされています。“All music by Jacob Mervyn”という文言があるので、 Sob Story = Jacob Mervynという認識でよいのかなと思います。

Sob Storyは、自身と同じ活動基盤になるHacktivism Recordsとの関連が強いようですが、ファウンダーとかそういう関係性かともにらんでいるのですが、詳しくは分からず。現在のところ、レーベルのコンピレーション“Bedroomcore Vol. 1”に、今作にも収録されている‘Aspartame’を提供しています。

初めて聴いたときにはまったく意識しなかったのですが、周辺をたどっていくと、ひとつの発見がありました。それはヴォーカルにおそらくVocaloidを使用しているという点です。今作では何故か明言はされていませんが、bandcampで公開されている‘Aspartame’には、“Vocal by Megpoid”という表記があるのです。聴いてみると、なるほど確かにこの音声にはVocaloidの響きがある。

Sob Storyが作るサウンドはAmbientな向きが強いShoegaze/Dream Popです。もっと言えばShoegazeっぽさというのは、あまり強くなくて、M-3くらいしか該当していません。実際ShoegazeのフォーマットでVocaloidを使ったトラックというのは、世の中には多くあることと思います(その辺りのシーンには私は疎いので断言できない)。Vocaloid特有の感情性を持たない歌唱は、Shoegazeのドリーミィで浮世離れしたサウンドによく合うことでしょう。

対してこのSob Storyの作る音というのは、オブスキュアな調子が強くて、“Shoegaze”というとすぐイメージされるようなフィードバックギターはまず使われていませんし、ウォール・オブ・サウンドというような厚い音の壁もありません。フワフワ、モヤモヤとした幻想的なサウンドスケープの中に、断片的なVocaloidの声を挿入することで、独特なAmbient/Shoegazeを作り上げています。

なぜあえて人声ではなくてVocaloidを使っているのかは語られていません。唄ってくれる人が身近にいないというのは、すぐ思いつく理由ですが、ここにあるのは歌というよりもコーラスなので、それこそサンプリングなどでもことは足りたのではないかと、素人は考えてしまうのです。あえてVocaloidを使うことで、神秘的な音空間に独特の電気的な響きがスパイスとして加わわり、それがある種の違和感、不思議さに結びつき、あまり類を見ない聴き心地が発生しているように思うので、そこがもしかしたら狙いなのかもしれません。

白濁した意識を音像化したようなパキッとしない曖昧模糊なサウンドは、晴れない気分にマッチして、これはこれで非常に魅力的ですが、もっとメロディに寄って、歌に傾いたトラックも聴いてみたいですね。‘Miss fuyutsuki’(GTO?)とか、‘Hikikomori’とか、日本語が散見されますが、この謎めいた感じも魅力のひとつでしょうか。


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All songs written and produced by Jacob Mervyn

Tracks 1,3, and 4 Co-Produced and Mastered by Theodore Schafer.

Track 4 Co-Produced by Dominic Coppola