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カテゴリーアーカイブ: Nozu-Deth International

Yoona – Singles Collection

 Yoona - Singles Collection

 – Tracklist –
 01. she / inside
 02. blonde hair
 03. at the top of my list
 04. belief



 - 03. at the top of my list


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2015.09.01
 Label : Nozu-Deth International

 Keywords : Ambient, Bliss, ChillWave, Cloud Rap, Hip-Hop, Melodic, Sad.


 Related Links :
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いつ頃はじまったのかちょっと定かではありませんが、でも新興なのかなあと思うミュージック・コレクティヴ、Nozu-Deth Internationalより。Yoonaの作品が完全フリーでリリースされています。

このYoonaも先日のBørneと同じく、個人的に注目していたトラックメイカー。コレクティヴのメンバーとして名は連ねているものの、リリースがないようだったので、今か今かと待っておりました。というのも、この流れもBørneと同じなのですが、SoundCloudで公開されていた‘it takes just one kiss, babe’や‘I don’t know what’s Real’が、私の琴線に触れまくったからです。

Hip-Hop/Downtempoのリズムに、煌びやかで分厚いシンセ、ときにサンプリングによると思しき変調ヴォーカルなども取り入れた、いわゆるCloud Raptといってもよいであろうスタイル。Blissfulな光り輝く空間の中に悲しみを宿している、矛盾したようにも思えるその音像は、私の大好きな御大memory cardsとも重なる部分が多くあります。

そしてこのジャケットイメージですよ。一見3Dモデリングされた無菌的な、殺風景な部屋が描かれているだけのように見えますし(まるでコンクリート打ちっぱなしのようだ)、それはこの界隈に多く見られるプラスチックな質感の無感情なイメージたちと合致するように思えます。だがしかし、窓の外をよく見てください。そこには(おそらく)現実世界の景色が広がっている。朝方なのか夕暮れ時なのかは分からないけれど、水辺に広がる緑とその向こうに広がる街の明かりが、キラキラと目を引いてくる。この景色、何だか泣きそうになるのです。

短絡的かもしれないけれど、何もない空っぽの部屋の中から、たとえ人工的なものであろうとも他者の存在に憧れ、それを求めてしまう悲しい性のようなものが感じられて、それはとても―そう、とても―エモーショナルなものだってきっと私は思うから、だからここにあるトラックたちを聴きながら、このイメージを眺めていると、どうしても目が潤んできてしまう。こんなに輝いているのに、こんなに悲しいのは、そういうことなんだなって、合点がいく。アンタッチャブルな、触れられない何かについての、悲しみが、ここにあるように思うのです。とても好きな作品です。

と、観念的なことばかり書いてしまいましたが、純粋に音楽として耳馴染みがよいのも確かで、そこが何よりまずポイントでしょう。そしてやっぱり先述のトラックを入れて欲しかったなあ。入ってないんだもんさ。