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カテゴリーアーカイブ: SUBWISE NETLABEL

Spotovsky – Quasis [SBWS202]

 Quasis Cover

 – Tracklist –
 01. Lebed (feat. Volkova V)
 02. Quasis
 03. Sea And Mountain
 04. 4low (feat. Mariah Dawn)
 05. Forgive Me
 06. Isopropyl
 07. Finally


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 Release Page

 Release Date : 2015.09.04
 Label : SUBWISE NETLABEL

 Keywords : Ambient, Electronica, Glitch, IDM, Melodic.


 Related Links :
  ≫ Spotovsky on SoundCloud / on Twitter


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最近同年代の同性と“最近音楽聴かなくなったよね”、“そうだよね”みたいな話をしたんですが、よく考えたら正直自分が聴いている方なのか、それとも聴いていない方なのかが、よく分かりませんでした。そもそもそんな基準なんてありませんしね。ましてやこのストリーミング全盛の時代に、“音を耳に入れる”ってだけなら、一日中耳に入れてる人もいるだろうしなあ、聴くとはどういうことかっていう部分にまで考えが及んでしまい、なんとも難しい話です。でもひとつ言えることは、“面白い音楽がない”とか“気に入る音楽がない”って嘆いている(ように見える)人は、自分から探そうとしていない・出会おうとしていないか、探した方を知らないか(でも探そうという気持ちがあれば自然に何かしらにたどり着くと思う)、あるいは自分の趣味嗜好に気づいていないだけ(だからどこをどう探してよいか分からない)だと思います。そう考えると自分がこういうnetaudio/netlabelの世界に出会うことができたのは幸せなことなのだなあと思います。私の好きなものの一部がここにあるのは間違いないから(まあここに触れていなければ別の何かに出会っていたのかもしれませんけれど。音楽に限らず)。何が言いたいかっていうと、音楽は常に流れているということです(リスナー的な目線です)。飛び込むのも目を背けるのも、自由です。

探せばこういうものにも出会えるんだよという話から今作に繋げようと思ったんですが何かズレた気がしないでもないですね。でもいいんです。ロシアンネットレーベル、SUBWISEより。以前にも“Vinal EP”を紹介した、ファウンダーでもあるSpotovsky(Alexandro Spotovsky)のレア&未リリーストラック集のリリースです。完全フリー。いつもリリースはInternet Archiveにも上がっているのになぜか今作は現段階で上げられておらず。SoundCloudからのみ、ダウンロード可能です。

M-1‘Lebed’のこのAmbient&ネイチャーな出だしがもうたまらないのですよ。すごくスキな空気ですコレ。聴くたびに“ここではないどこか”、別の空間に連れ去られます。ミドルテンポのリズムと哀愁のMelodicなレイヤー、女性ヴォーカルを交えて、Trip-Hopにも通じるミスティックな空間が広がります。アブストラクトでPsychedelicなM-2‘Quasis’や、PianoとGlitchyなリズムを用いたインタールード的なM-3‘Sea And Mountain’、ストリングスを用いた不穏な音空間にホーンテッドな歌声が浮遊する、Goth & IndustrialチックなM-4‘4low’など、B面集的な立ち位置ながら、なかなか聴かせるトラックが収録されています。ブリブリしたBass musicな流れからスーパーマリオのBGMを挟み込む‘Isopropyl’も面白い。

そんなSpotovskyはBleepsequenceから打って変わってのDub Techno“Chapora”をリリースしていたり、Drum’n’BassプロジェクトであるMental Duoでも活動していたりと、幅広く精力的に活動中。もちろんSUBWISEからのリリースも複数あります。気になる方は是非フォローしてみては。



Spotovsky – Vingal EP[SBWS151]

 Spotovsky - Vingal EP[SBWS151]

 – Tracklist –
 01. Vingal
 02. I got The M
 03. Blue Mountain
 04. Planetary Folk (Elteck Remix)


 - 01. Vingal


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 Release Page :
  ≫ [ main ] / [ mirror ] Download Free!

 Release Date : 2012.11.23
 Label : SUBWISE NETLABEL

 Keywords : Electronic, Glitch, IDM, Melodic.


 Related Links :
  ≫ deeper roots stronger branches
  ≫ Spotovsky on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on VK (VKontakte) / on Twitter


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ロシアンネットレーベル、SUBWISEより。レーベルオーナーでもあるSpotovsky(Alexandro Spotovsky)の作品がフリーでリリースされています。匿名性の高いnetlabel/netaudioの世界において、自身のプロフィール画像をジャケットイメージに用いるという、なかなか珍しいセンスです。

サウンドの方は、Electronica/IDMが軸になっているようで、非常に聴きやすい仕上がりです。特にM-1がフェイバリット。ゆったりとしたリズムとスペーシーなシンセが作り上げる、コズミックなイメージ。その中を泳ぐメロディは透明な鳴りでありながら、ノスタルジックに響きわたる―冷たいクリアなキューブが、宇宙的な空間につみあがっていくような、無機的な美。バックで聴こえてくる、Glitchによるわずかなねじれも、単調な流れを回避する、よいフックになっている。

と思ったら、M-2’I got The M’でいきなり、サンプリングベースのハイテンションがさく裂する。断片化されたフレーズが繰り返されるエディット感満載のトラックだけれど、このあたりのセンスは、DJとしての顔も持つ彼らしい。M-3やM-4は、再び落ち着いた雰囲気のElectronica/IDMになっている。M-4においてはやはりアトモスフィリックな空間と、シンセのささやかなレイヤーによって作られる、コズミックなイメージが広がっている。また、このトラックのリズムは一見バスドラムがひっぱる調子なのだけれど、よく聴くとDrum’n’Bassのようなパターンが含まれていて、細かい芸が効いている。リフレインする空間の流れとレイヤーのわずかな起伏によるメロディ、それらが作り上げる空間に、終盤で湧き上がってくる電子音。それだけで、気持ちがよい。コズミック・ドリーム。ゆるやかな調子の中にあるドリーミィなラッシュ感は、旧くはShoegaze、最近であればPost-DubstepやChillWaveなどともリンクしているように思う。

わずか4トラックの収録ですが、聴くほどに味わい深い。まだ引き出しを持っていそうな気配なので、今後のリリースにも期待します。今作については、小手調べ的な佳作というイメージか。上記のdeeper roots stronger branchesにおいては、自身のトラックも含めたPodcastも公開されているので、興味のある方は訪れてみてください。


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