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タグアーカイブ: House

Micropolis A.D. – The Yotel EP

 Micropolis A.D. - The Yotel EP Cover

 – Tracklist –
 01. Yotel
 02. On Monday When I’m In My Hyundai
 03. Calamari
 04. After Hours
 05. Quantcast Strategies
 06. Softwear
 07. Yobot
 08. Mondria
 09. The Future
 10. Happy Midium



 - 01. Yotel


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 Release Date : 2016.04.12
 Label : Unknown

 Keywords : Easy Listening, Electoronic, House, Midi, Smooth, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ The Pod Village on bandcamp


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The Pod Villageというのがレーベル/コレクティヴなのか、はたまた一個人による複数名義の作品をリリースするための場であるのか、判然とはしませんが、私としては何となく後者ではあるまいかと思っています。まあ、そうだとしても、そうじゃなくても、何がどうなるわけでもないんですが。詳細は不明ですが、そんなThe Pod Villageのbandcampからリリースされているのが、Micropolis A.D.による“The Yotel EP”。他にMicropolis B.C.という名義もあるけれど、これは明らかに同一人物による別名義だろう。

ところでThe Pod Villageって何だろうなあと話を逸らしてみますが、このbandcampのヘッダー画像にある不思議な建築物、どこかで見た気がするなあと、調べていくと、どうやらこれは台湾新北市の区である三芝区(さんしく)に建設途中であったリゾート地“三芝飛碟屋”の様子。過去形で書いたのは、1970年代後半に建設が始まったものの、さまざまな理由により中途でプロジェクトが中断、結局そのまま放棄されてしまったからです。つまり廃墟。しばらくは放置されていたようですが、2010年には取り壊されて今は存在していないようです。UFO HouseやPod Cityと呼ばれ、オカルティックなうわさも手伝い、一時は注目も集めたようで、画像を目にした方も多いでしょう(気になる方はちょっと調べればいろいろな情報が出てきますので是非ご自身で)。

そんな廃墟と化した上で取り壊された近未来型建築物のイメージを利用したThe Pod Villageなわけですが、このイメージは今作のタイトル“The Yotel EP”にもつながってきます。私は知らなかったのですが、このYotelというワード、イギリスのYo!社(YO! Company)が日本発祥(諸説あり)のカプセルホテルを未来的に解釈、その形式を取り入れて運営しているホテルの名称だそうです。つまるところ近未来型カプセルホテルとでもいうか。で、どうですか、先のUFO Houseとカプセルホテル、蜂の巣じみた密集した居住空間というところで、何とはなしにイメージが重なりませんか。さらに言えばMicropolisというワードは、リアルタイム都市経営シミュレーションゲーム“SimCity”(シムシティ)をオープンソース化・フリーソフトウェア化したゲームに由来していると思われる。これまた都市の発展につれて建物は林立、高層になり、人口は増加…とイメージは先の密集感につながってはいかないだろうか。

そんなように近未来型都市的密集感、そして忘れてはいけない未来的でありながら廃墟という荒廃感・寂寥感あるいは郷愁、とくれば、ここから導かれる音楽性というと何が思いつくか、これはもうVaporWaveではあるまいか(いやそこに限る必要はないもちろん)。

といっておきながら、今作はそんなにコテコテとしたVaporWaveではない、どころか、VaporWaveを通過していない耳だと、その香りすら感じられないかもしれない(だったらここまでの道程は何だったんだとお思いでしょうかみなさん。そうですね、何だったのか自分でもよく分かりません)。Houseなリズムに、Easy Listeningともいえるスムースでrefreshingなメロディ。トラックによってはLiquid Funkな佇まいも感じられる。けれどちょっと待ってみよう、ときおりその音色に感じられる前時代なニュアンス、Midiというタグも使われているように、そこはかとなく漂うレトロスペクティヴな志向性。さらにいえばEasy Listening~NewAgeに一歩踏み込みかけたような、メロディに漂うリラックスでスムースな調子。これはまさにVaporWaveの何たるかに共振。

その上でサウンドを聴き直すと、スローなリズムが多いVaporWaveの中にあって、この音色、このメロディに、細かく刻まれたビートを組み合わせたスタイルというのもなかなかユニークな存在ではあるまいか(いやもちろんここにはミドル~スローなトラックもあるけれど)。センスという言葉を使うのが嫌いな方もいらっしゃるかとは思いますが、私はセンスという言葉を使いたい。ナイスセンスだ。でもほかの作品ではまた何か違うんですよねえ。もともとVaporWaveを標榜してたわけではなくて、作ってた音楽にたまたま重なる部分があっただけ、みたいな。そんな感じがします。あとpost-zooってタグはどういう意味なんだろ。


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(CC)by – nc – sa 3.0



polu – waffle

 polu - waffle

 – Tracklist –
 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)
 02. waffle
 03. Fortissimo (feat. KuTiNA) (instrumental)
 04. Fortissimo (feat. KuTiNA) (Famires Remix)
 05. Fortissimo (feat. KuTiNA) (stepic Remix)



 - 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)


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 Release Date : 2017.06.04
 Label : Synthikate

 Keywords : Electronic, House, Pop, Remix, SynthWave, Vocal.


 Related Links :
  ≫ polu on SoundCloud / on Twitter


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シンクロニシティというヤツを皆さんは信じるだろうか。この界隈において私にままあるのが、“あのアーティスト何やってるのかなあ”と思いめぐらせたときに、そのアーティストの新譜に出くわすという事象である。これがなかなかの頻度で起こる。タネを明かせばおそらくはどこかで何がしかの情報を目にしており、それが脳内のいずこかにインプットされ、しかし私はそれを忘れ(あるいは気づかずに)、そのインプットが引き金となって、先の思い巡りに至っているだけなのかもしれない。が、そうではない可能性もある。第六感。セブンセンシズ。いやそれは違う。なんてな。

少し前に私が思いめぐらせていたのは、“はて4ruは今何やってるのかなあ”ということである。“そういえば名前変えてたよなあ”、というところまではたどり着けたのだが、そこから先に進まず。ついぞ彼の近況にたどりつくことはできなかった。4ruというのは韓国のトラックメイカーで、オフィシャルなリリースはほとんどなかった。私の知る限りでは、今作と同じ韓国のコレクティヴであるSynthikateからの“MileFeuille”にRemixで参加したのと、“Coloridium”のコンピレーションに‘Melon Cream Soda’を提供しただけ、ではないでしょうか。いつもWIP = Work In Progressな短いトラック(あるいは断片)をSoundCloudに挙げては熱心なファンを喜ばせ、そしてすぐに消すということを頻繁に行っていました。エモーショナル(emoって言っていいのかなあ)でメロディに富んだサウンドは、カラフルなメイクを施され、いつもPopで、アップロードの度に私も耳を傾けていました。

でも変名後の彼にたどり着けなかった私は意気消沈。もういなくなってしまったのかと半ば諦めもありました。が。ふとSoundCloudで流れてきたこのリリース。あれ、これ、もしかして、4ruの新しい名前じゃなかった?なんて思ってたら、polu = 4ruの文字を見つけ、ああまたもやシンクロニシティ(ちょっと意味違うかもな)と、ビックリうれしい驚きと、相成りました。

そして今作、‘Fortissimo’とそのインスト、そしてRemixが2つ、プラスタイトルトラックということで、実質的にはシングルのようなイメージですね。韓国のヴォーカリスト/ヴォイスアクターであるKuTiNAを迎えた‘Fortissimo’は2分ちょっとの短いトラックなんですが、変わらずPopでニンマリです。この手のElectronic/Popなトラックにありがちなウィスパーな儚げヴォーカルではなく、スキャットじみた冒頭からその歌声は力強くリスナーを刺激する(私の中ではこういうヴォーカルの方がPop musicのイメージに近い)。言葉は韓国語なのかな、ちょっと意味は分からないんですけれど、その摩訶不思議な聴き心地も愛おしく感じる始末。ヴォーカル抜きのインストも収録されているけれど、声という感情表現の手段が抜かれたことで新たな聴き心地が獲得され、しかし主たるメロディが消えたことによる物足りなさはないのだから、恐れ入る。

Remixも聴きごたえあり。Famiresで誰だろうと思ったら、omoshiroebiさんの新しい名前だった。よりシンセサイズで、EDMライクなアタックの強さもあり、ギターかな?エモいフレーズも挿入されていて、すごくエキサイティング。オリジナルとは違う魅力で良Remixです。対するstepicのRemixが対照的で、スローダウンしたエコーイックでファンタジックな音像から始まり、アコギやピアノもまぶしつつ、やがて訪れるダイナミックな展開とオリエンタルなメロディでカタルシス。これまた良Remixです。こうして聴くとそう、‘Fortissimo’は、そのインスト、そのRemixたちと、みな違った聴き心地があって、一粒で4度楽しめるのです。

その上、タイトルトラック‘waffle’も収録されている。物憂げな雨の効果音とマッチする、丸いサウンドのイントロ。やがてさまざまなサウンドとメロディ、フレーズが交錯し、カラフルな世界が描かれ、その最中にもキュートなヴォイスやエディットヴォイスで巧みなブレイクを差し挟み、また物憂げな雨のシーンに返っていくという、雨の日に羽ばたく想像の翼を音像化したような、素敵なトラック。

常にその才能をうかがわせるトラックたち、間違いなく優れたトラックメイカーだと思っていますので、名前も変わったことだし、ここからはコンスタントにリリースしてほしい! ちなみにこのカバーイラストもpolu本人が描いているみたいですよ。



Hana Sent – Lampoooni [51bts052]

 Hana Sent - Lampoooni [51bts052] Cover

 – Tracklist –
 01. Escape
 02. La Maison Démontable
 03. Kikiwon
 04. Wonderlust
 05. Hanarcade Summer
 06. Mooncup



 - 02. La Maison Démontable


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 Release Page :
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 Release Date : 2017.04.07
 Label : 51beats

 Keywords : Electronic, House, IDM, Synthesizer.


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イタリアン・ネットレーベル、51beatsからリリースされたHana Sentのデビュー作です。彼/彼女は、イタリア基盤のアーティストであることが明かされていますが、他はいっさい謎。リリースページには“ghost electronic music composer”と記されています。

4つ打ちHouseなビートにチープなシンセをまぶした、あっさり仕上げのエレクトロニック・ミュージック。今どき(って言ってしまうと語弊がありますね。どこにおける今なのかって話ですが)のコテコテなシンセサウンドにはなっておらず、音数も少ないし、ゆえに(もちろんサウンドメイクもあるけれど)音の輪郭もはっきりしている。というように非常に簡素な作りになっているにもかかわらず、ここには心、そして耳をひかれる何かが存在している。

それは主に、チョイスされているサウンド、音色であり、またささやかに流れるメロディであると私は思っている。80sという形容も可能かもしれないが、何を以って80sかというのが、イマイチ説明できないのでこれ以上踏み込みませんが、Lo-bitでシンセ然としたサウンド、音色が呼び起こす(いつのものかも分からぬ)ノスタルジア。そして長閑ともいえる、おだやかで優しげなメロディ(強くはないが)、それは休日の昼下がりを思わせるほどにドリーミィ。その様子はIDM/Electronicaに通じるものだと思ったりもするのだけれど、Acid Houseなトリッピ―感もブレンドされており、硬派なファッションと可愛いメイクが同居しているような、不思議な聴き心地。

‘Wonderlust’ではパーカッシヴなリズムや民族音楽のようなコーラスが聴こえてきたりもするのだけれど、そういった部分からはChillWaveのエッセンスも感じたりする。また‘Hanarcade Summer’の冒頭、これはサンバのリズムにも取れる―すぐにほかの音がかぶさってくるので、そのイメージは消えてしまうけれど。そんなように、チープで簡素なサウンドの裏に潜んでいるさまざまなサウンドエッセンスが垣間見えるところも、興味深い。

頭の‘Escape’はわずか28秒のインタールードなのですが、このフレーズをラストの‘Mooncup’で使っているのも面白いです。リプライズ的な。


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余談。51beatsといえば、errnoisの“The Winter Season”、好きでした。Indietronicという言葉が相応しい素敵な作品でした。今ではこの名義はもう使っていないようですが。興味のある方はどうぞ。


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Credit :

Music and graphics by Hana Sent

Released by:
51beats
Release date:
7 april 2017
“Lampoooni” by Hana Sent is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License

(CC) by – nc – nd 4.0



Various Artists – Coloridium

 Various Artists - Coloridium

 – Tracklist –
 01. YUMU – coLOLar
 02. 4ru – Melon Cream Soda
 03. OptiU – Colourless
 04. Serafin’ – Water Color
 05. Soochan Kim – Take A Kick
 06. ARForest – Rudia
 07. SeouK – Save us
 08. ARForest – Ink


 ≫ all tracks are streaming on SoundCloud


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 Release Page :
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 Release Date : 2016.03.10
 Label : Coloridium

 Keywords : EDM, Electronic, House, Oriental, Pop.


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韓国のトラックメイカーARForestがプロデューサを務めた今作“Coloridium”は同名のサークルからリリースされたコンピレーションとなっています。おそらくですが参加しているトラックメイカーはすべて韓国の方だと思います(間違っていたらすいません)。韓国といえば以前紹介したSynthikateも韓国かと思いますが、そちらもこちらも、なぜリリースにbandcampとか使わないんですかねえ。Tumblrからダウンロードページへリンクして、そこから入手という形がとられていますが、この形はまどろっこしくないですかね。シェアもしにくいし、されにくい気がします。プラットホームになるサイトはいくつもあるのに、利用しないのはもったいなくないですか。

今回は私の注目するトラックメイカー4ruのオリジナルトラック‘Melon Cream Soda’が収録されているということで、飛びついたわけですが、案の定とてもよいトラックですこれは! いつもSoundCloudでトラックを公開してもすぐに消してしまう4ruもついに観念したのか、こうして正式なリリースをしてくれたわけで、いやあ嬉しいですね。涼しい音色のイントロからブラスが入り、女性コーラスまで聴こえてきて、あらやだとってもチルな雰囲気…とか思っていたら、Houseなリズムと電子なシンセが響きはじめ、PopなEDMといった様相に。終盤にはギターも突き抜けて、やっぱりエモーショナルなトラック作りが得意な様子。よい。

最初の‘coLOLar’はホントに作品のイントロして機能しているというか、Pianoの抒情的なメロディとオリエンタルな楽器音で、まるで壮大なドラマの幕開けのような演出。ちょっとあっさりしすぎな気もしますが、でもリスナーを引き込む役割は十分果たしてくれます。4ruのM-2を通過した後が、その流れを引き継いで、作中でもダントツで力強いEDM‘Colourless’‘Water Color’は再びPianoの音色とソフトなシンセサウンドで、爽やかなEasy Listening。

翻って‘Take A Kick’はこれまたEDMに。ブリブリビコビコしたシンセと、ドッシリしたキックの音から入りますが、途中でフッとメロディを入れてテンションを緩和しつつ、また突っ走り、次のトラックへとバトンをつなぎます。プロデューサもつとめたARForestによる‘Rudia’は、オリエンタルな雰囲気も持ちつつ、Drum ‘n’ Bassの疾走感、EDMのパワフルなグルーヴにChipsoundのメロディを鳴らし、Popに仕上げた、FutureBassのエッセンスも内蔵した一品です。‘Save us’はここにきてオーケストラル、Classicalなシネマティックサウンドがさく裂。広大な大地と空の下で悲壮感とともに立ち上がる英雄の姿が見えてきます(だから‘Save us’なのか?)。

ラストは再びARForestによる‘Ink’。雄々しいリズムとwarmlyでAmbientなシンセを使った、力強さとやさしさを兼ね備えたトラックになっています。コズミックな雰囲気もありますが、終盤にはストリングスを入れてくるなど、作品全体の節々から感じられるClassicalな部分がここにも垣間見れます。

コンピレーションとしてはかなり短いんですが、一続きのドラマチックな作品として考えると、ほどよい長さかなあと思います。実際聴いてみると、ばらつきがあるようでいて、カラーも統一されていますし(総じてシンセチックなのですな)、素敵な作品です。再生回数もっと伸びてもいいと思うなあ。気になるトラックメイカーがいた方は、上記のリンクからたどってみてください。広がりますね! で、このサークルとして次があるのかは分かりませんが、こっそりと期待しておきます。

あと今作と同時期に4ruがフリーでトラックを公開してるんですが、それも良いので興味のある方は是非―って、消しちゃったのねえ、やっぱり…。





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Coloridium 2016 Release PV



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 Credit :

-Staff

Produce : ARForest

Site : YUMU

Designer : Irelriser & Shi-U Ran

PV : Shi-U Ran

Irelriser : twitter.com/gfcv0709
Shi-U Ran : twitter.com/jhrc0714

-Comments

ARForest : 첫 앨범입니다! 잘 부탁드립니다 ㅎ
OptiU : All life begins in achromatic color, The end of all life is colourless.
SeouK : 초월체를 위하여!
Serafin’ : 주인님 욕해주세요
Soochan Kim : 코카콜라
YUMU : 압도적인 힘으로!
4ru : 엉덩이!
Shi-U Ran : 다씨는 pv를 얕보지 않겠습니다. -그래픽 노예-
Irelriser : 시우:시우



Various Artists – postbloom – 001

 Various Artists - postbloom - 001

 – Tracklist –
 01. serafin – Flowering
 02. Wisp X – Hibiscus
 03. Thomas Hood – Water Lily
 04. serafin – Tulips
 05. demiror – Poppy
 06. Wisp X & serafin – Violet
 07. Vector Moon – Ruta
 08. Lycii & Joe Lyons – Camellia
 09. Ascend – Chocolate Cosmos



 - 02. Wisp X – Hibiscus


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 :: Alternate free download in the soundcloud description ::

 Release Date : 2015.05.15
 Label : postbloom

 Keywords : ChillWave, Electronic, House, Liquid funk, Melodic, Uplifting.


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アメリカはニューヨークのミュージック・コレクティヴ、postbloomより。初リリースとなるコンピレーション、その名も“postbloom – 001”です。“bloom” = “咲く”というワードから、“花”が連想されますが、収録トラックのすべてが、花名もしくは花に関連したものになっており、細かい演出が効いています。

申し訳ないことに、参加しているトラックメイカーを一人として存じ上げなかったのですが、このご時世そんなことは耳を傾けない理由はなりません。聴いてみると、実にさわやかで、風通しのよい作品でした。Hip-HopやHouse、ChillWaveやDrum’n’Bass/Liquid Funkなどの、リズムを活かしたElectronicなサウンドになっていますが、全編Melodicでとても聴きやすいです。初めはちょっとパンチに欠けるかな、なんて感想も持ったんですが、聴くごとに、そのサウンドの中から立ち現れる心地よい風景に、惹きつけられていきました(このロウ・ポリゴンな自然風景は、実に今作の特徴を捉えていると思います。グッド)。

センチメンタルなピアノトラック‘Flowering’からはじまり、その流れを引きついだMelodicでバウンシーなHouse‘Hibiscus’、力強くも流麗なLiquid Funk‘Water Lily’と続いて、Hip-HopなんだけどFuture BassやKawaiiにもアクセスした‘Tulips’(確かにイメージはチューリップだわ)、ここまでが前半。

ここで気分をちょっと切り替えて、トランシ―でアップリフティングな‘Poppy’から後半戦。シャイニーで、高みを目指してのぼっていくようなChillWaveサウンドは、まさに陽の光か(それは花の開花になくてはならぬ要素)。Wisp X & serafinの‘Violet’は作中でも異彩を放っているように思います。Chipsoundのメロディで軽快に聴かせると思いきや、途中からブリブリのエレクトロなサウンドも突っ込んできて、二転三転と表情を変える様で、リスナーを楽しませてくれます。

巧みなブレイクと4つ打ちHouseの混合が気持ち良い‘Ruta’から終盤へ。作中ではもっとも長尺なトラック‘Camellia’は、ミニマルな流れの中にアコースティックなギターや柔らかい電子音などを織り込んで、やはり高揚感を持たせながらも透明な景色の中へリスナーを導きます。ここを実質的なクライマックスとしてラストはクロージングにふさわしい、しとやかな‘Chocolate Cosmos’で締め。ピアノやアコギ、ささやかなAmbienceでリズムを入れぬまま、どこか悲しげに、閉じていきます。風に揺れる花のような。

高揚感とセンチメンタルというここにある二つの大きな要素は、確かに“開花”に結び付けられます。それはとても気分が高揚する光景であると同時に、やがて訪れる終わり(枯れ)を意識させもするのです。と、そこまで考えるのは穿ちすぎかもしれませんが、ここにある景色が心地よいのは確か。ぜひ耳を傾けてみてください。気になるトラックメイカーを掘り下げてみるのもよいと思います(まとまったリリースをしている方はあまりいませんが)。



POPCORNKID! – Genesis Jordon

 POPCORNKID! - Genesis Jordon

 – Tracklist –
 01. Genesis Jordon
 02. Digital Paradox
 03. Stay Forever
 04. Laux
 05. Futuristic
 06. +ru= //// true
 07. Attractor Debug (サイバーパンクアドベンチャー )



  - 01. Genesis Jordon


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 Release Date : 2015.05.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Chiptune, Dance, Electronic, House, Melodic, Trance.


 Related Links :
  ≫ POPCORNKID! on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on YouTube / on Twitter


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メキシコ発のチップチューン・アーティスト、POPCORNKID!の新しい作品がリリースされています。二つ並んだ少女の足(何気に膝小僧に絆創膏が貼られている。バッテンマーク)と、カタカナで書かれた“ジェネシス・ジョーダン”の文字が視覚的にも惹きつけますね。これまでにもやはりメキシコ基盤の56kbps Recordsからリリースがあったりしますが、今回はレーベルは通していない様子です(謝辞に名前が見てとれますが)。

リリースページの記述にもありますが、今作では少なからずサウンドに変化が見られます。ドライブ感のあるリズムに煌びやかなChipsoudを乗せている点は確かに変わりがありません。しかし用いている音色の幅が広がったのでしょうか、全体的に柔らかい印象を持ちました。展開の仕方もドラマチックになっているように思いますし、表面的には硬質でも、ちょうどコシがあるとでもいいましょうか、弾力的な手触り(耳触り)になっています。

正統派Chiptuneに見せかけて、ダンサブルなリズムや深みのある電子音で鮮やかにその流れを回避し、ChillWavyなレイヤー感さえ持ったタイトルトラック‘Genesis Jordon’。スペーシーな空間的処理とコズミックでBleepyな電子音が宇宙的なイメージを広げる、‘Digital Paradox’。そのコズミックな流れを引き継ぎつつ、OutRunやRetroWaveの範疇にも入るような、80sフレイバーを放つ‘Stay Forever’(冒頭でカセットテープを再生するような効果音を挿入する演出も、レトロスペクティヴなイメージを狙ってのことか)。

キラキラ、モコモコとしたChillingなクラウドを従えながらドライブするChipsoudが異質なトランスを導く、‘Laux’。最も今までのサウンドに近く、けれど底に忍ばせたSadなフィーリングやTranceへの接近がやはりこれまでとの違いを感じさせる、‘Futuristic’。繊維質なTranceサウンドとChipsoundがガッツリ組んだ、まさにChipTranceな‘+ru= //// true’。ラストはシンプルかつマシーナリーなサウンドで締められますが、この画一的な都市感がサイバーパンクなのかなと(ちょっと尻すぼみか)。

ということで、これまでの作品がイマイチだったとかいうつもりは毛頭ありませんが、正直にいいますと、今作、今までの中で一番好きです。ナイスワーク。Chipsound + ドライブ感を求める向きには、以前の“Neon”や“Pixel City!”が好まれるかもしれませんが、より広いフィールドに向けて放たれているように感じられる今作も、なかなかどうして、また素敵なのです。


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Some rights reserved. Please refer to individual track pages for license info.

Note :

////////////Special thanks //////////
Photography by Miriam M.W
link : miriam-marlene-waldner.tumblr.com

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thanks to Colectivo Chipotle

///////////
thanks to 56kbpsRecords



H-Burry – Roomwork

 H-Burry - Roomwork

 – Tracklist –
 01. To Nina
 02. Forrest Gump
 03. Orchestra Nylon
 04. Soul Child
 05. Memory
 06. Kids
 07. Reverse
 08. Galaxy
 09. Get High
 10. Love Again Part I
 11. Love Again Part II
 12. Watch Me
 13. Sub City



 - 03. Orchestra Nylon



 - 07. Reverse


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 Release Date : 2015.02.23
 Label : Label Barbe

 Keywords : Electronic, Future, Hip-Hop, House, IDM, Melodic, Orchestral.


 Related Links :
  ≫ H-Burry on Facebook / on SoundCloud


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イギリス基盤かなあ?、フランス基盤かなあ?、ちょっとよく分かりませんが、新興レーベル/コレクティヴ、Label BarbeからリリースされているH-Burryの初作にショックを受けたので、思わず何やら書いている次第。ショックと言ってもよいショックです。

根元にあるのは間違いなくHip-Hopなんだけど、その上に色んなエッセンスを練り込んだレイヤーを配置して、大胆に塗り固めていくわけですが、音のブレンドがホントにかっこいい。決して誰もやっていないサウンドというものではない(と思う)ので、語弊はありましょうが、未来的なものを感じます。フューチャー。Future。

M-1‘To Nina’の冒頭からして、メロウなHip-Hopかと思いきや、Lo-bitな響きの電子音をいきなりかましてくる。そのまま冒頭のヴォーカルフレーズを反復しながら、ピアノやブラス、跳ねるリズムなどを組み合わせ、でも決して生な質感に走ることなく、シンセ音を随所にちりばめつつ、Electronicな響きを残している。Hip-Hopのレールに乗っていたつもりが、気が付いたら全然違うところに連れていかれました。M-3‘Orchestra Nylon’では抒情的なギターフレーズを用いつつ、TribalかつGlithcyなビートを叩き込み、しかも!オーケストラルなストリングスをぶつけてくる始末! 何だコレ! かっこいい! スリリングにストリングスを展開させつつ、例のギターフレーズと、浮遊感ある電子音を混ぜ込むことで、Hip-Hopなんだか、Post-Rockなんだか、Electronicaなんだか、もう形容するのも憚られるような、スケールのでかいサウンドを鳴らしています。サンプリングされたボイスには日本語が聴き取れるし、サイバーパンクなイメージさえしそう。

と思ったら、M-4‘Soul Child’が意外にストレートなHip-Hop/Downtempoなサウンドで、コロコロ、キラキラした音色と、サンプリングされたヴォーカルで、ひとときのChillを提供。でもここでもストリングスを大胆に挿入することで、ソウルフルでJazzyな空間を演出。実に巧み。M-5‘Memory’では、跳ね回る煌びやかな電子音(ストリングス?)とメロウなソウルフレイバーが結実。バックではさりげなくElectronicなエディットを効かせているので、ChillWaveにJazzやSoulをぶっ込んだみたいな、不思議で気持ちの良いサウンドに。

M-6‘Kids’はタイトル通り、子供の笑い声を随所にちりばめつつ、ハンドクラップをリズムとして用いつつ、ソウルなHip-Hopサウンドを披露。リズムだけでもカッコいい。M-7‘Reverse’がおそらくPop度では作中随一でしょう。安定したリズムに、ピアノ、ベース、ブラスによる、Melodicでスタンダードな構成、そこにコーラスのようなサンプリング(ノスタルジックだ)、シンセティックな電子音を散りばめつつ、にぎやかでありながら、どこかに郷愁をにじませたサウンドを聴かせてくれます。続く‘Galaxy’がシンセサウンドがアグレッシヴに攻めるトラックで、シンセがキュイキュイと繊維質に鳴り、重厚なリズムが大地を踏み鳴らす中、またしてもオーケストラルなサウンドがさく裂。バックは慌ただしいのに、表面は非常に雄々しく優雅、そして壮大(きっとタイトルからして宇宙をイメージしているんでしょう。カウントダウンも入ってるし)。

活きのよいフレーズをひたすら享楽的に反復するFuture FunkなM-10‘Love Again Part I’、それをさらにエディットしてDub Techno風に、そして長尺化した‘Love Again Part II’と、ここまで聴いても、やはりHip-Hopを軸に使いつつ、そこから無数に枝葉を生やして、種々のエッセンスをどん欲に取り込んでいるイメージなのですが、最終曲の‘Sub City’がまたニクいことに、これがIDMなのです。不穏な電子の響きからはじまり、やがて遠くから聴こえてくる、冷たくやわらかなシンセの瞬きは、まさに宇宙のイメージ、コズミックIDMなのです。中途から壮大に広がる空間の中でさりげなくさく裂するオーケストラルなサウンド。このハイブリッド感、たまりません。Hip-Hopに乗せられてきたリスナーのマインドは、ここで大宇宙に放り投げられて、終わるのです。

というように、Hip-Hopを用いながらも、決してそこに終始することなく、非常にバランスよくさまざまなサウンドをブレンドし、しかも聴きやすく(これが大事です。私の場合は)仕上げているのです。傑作だと思います。フューチャーサウンド。よくよく見たら、ジャケットイメージもなんだか未来的だ。横顔のシルエットの中にあるのは、混在する記憶の欠片、それとも未来の都市だろうか。そのスマートで、けれどカオティックなイメージは、今作のサウンドと、よく符合する。いやあ、よいです。最近こればかり聴いています。



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