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タグアーカイブ: Midi

cool places – coral beach resort [TWFM 009]

 cool places - coral beach resort [TWFM 009] Cover

 – Tracklist –
 01. I: finally, you’ve arrived
 02. II: resort shoppe
 03. III: fitness center
 04. IV: karaoke bar
 05. V: outdoor pool & spa
 06. VI: jacuzzi
 07. VII: entertainment zone
 08. VIII: beach-view brews
 09. IX: water park
 10. X: grand strand getaway



 - 05. V: outdoor pool & spa


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 Release Date : 2019.08.21
 Label : tapewurm.fm

 Keywords : Electronic, Melodic, Midi, Utopian Vurtual, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Crystal Data Enterprises


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サナダムシ!ですよ。そういえば詳しく知らないよねってことでWiki読んでたら体内がムズムズしてきたので、熱心に読むのはやめました。ここに長ったらしく引用文でも貼ろうかなと思ったんだけど、やめておきます。確認したい人はリンクからどーぞ。長いと10m以上になるものもあるんだなあ…ふーん…。そういえばサナダせんせいってキャラクターもあったけど、よくよく考えたら、子供向けのバラエティ番組でサナダムシをキャラクター化ってのも、過激…。

じゃあなくて、いやそうでもないんだけど、このレーベルの名前、tapewurm.fmってどういうニュアンスで使ってるのか分からなかったんですが、bandcampのヘッダーにデカデカと“サナダムシ”とございますので、tapewormのモジりということでよろしいんでしょうか。ちょっと話逸れますけど、Nine Inch Nails(NIN)ファンの私としてはそのtapewormという響きで思い出すのは、Trent Reznorがその昔立ち上げかけたサイド・プロジェクトにまんまTapewormというものがあってですね、これはTrentはもちろん、NINのライヴメンバーのほか、Tool, A Perfect CircleのMaynard James Keenanや 、HelmetのPage Hamilton、PanteraのPhil Anselmo、プロデューサのAlan Moulder等々が参加した、スーパーグループ、スペシャルなプロジェクトで、Trentもたびたびインタビューで言及しておったのですが、結局リリースはないままに、2004年にあえなくプロジェクト終了宣言…というものがあって、それをボンヤリ思い出したのですが、今レーベルのリリースを見ている中で一つ、ひときわ気になったのが、なんとNIN、Trent Reznorがジャケットイメージに使われている作品がある!(いやここで取り上げている作品ではないのですが。アハハ。ちなみにそのタイトル“F R A G I L I T Y 3​.​0”はNINが2000年に行ったライヴツアー“Fragility 2.0”にあやかっている)。これはTrentのインタビューを使った奇妙なSpoken Word作品で、関わっているreznorwaveは一貫してNINとVaporWaveをコンバインしたトラックを作り続けているという…そんな作品をリリースしているレーベルの名前がtapewurm.fmって何かの縁ですよね、私にとって。膨大な作品があふれているネットの中から何を聴くか、そのきっかけとなるには十分すぎるこの縁をたどって行き当たったのが、さあこの作品。ようやく。

Midiの体裁を生かした、いってみればイージー・リスニングな作品だとは思いますが、方向性はどうあれ、この現実から乖離したイメージというのはやはりVaporWaveと共振するものがあります。サンプル―ベースなのか、原曲があるのか等々は判然としませんが、チープさゆえに醸されるレトロ感、シンセサイズ感の強い音色たちが与える不思議な漂白感。その中で作り上げられる仮想ユートピア(Utopian Vurtual)というのが、この作品の肝になるかと思います。しかしながらこれはこのレーベルからのリリース、この文脈で聴いているからこその聴取感であって、また違ったとらえ方をすれば、ぜんぜんVaporWaveとは切り離して聴くこともできると思います。素直にリラクシンな空間があるわけですし、それを享受することはおかしいことではない。当たり前だけど。

そういうことでいうと、VaporWaveと共振するようなMidi風作品で異彩を放っていたものは、私の狭い聴取範囲でいうと、ここでいくつか紹介したPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeからの作品ですとか、Amun Dragoonの後期の作品とかです。私別にピエロ恐怖症とかではないんですが、なんていうんでしょうか、お面とかもそうだけど、貼りついた表情の裏にある正体が不明であるがゆえの不気味さっていうかね、あとはコーティングの無菌感、無機質感への憧れ―あくまで憧れだから、決してそこにはたどり着けないという諦念の裏返し―とかね、そういう不気味さとか空しさとかがあちらにはあって、こちらにはない、ような気がする。別に悪いとかではなくて、違いを感じたということです。

だから今作はストレートに、真っ当に、ここにあるcoral beach resortをね、楽しむべき作品なんじゃないかなって、そう思います。


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Č∂є hλs tɘλmɘd up with thɘir pλrtnɘrs “cool places”. A trλvɘl λgɘncy f๏cusɘd ๏n sh๏wing thɘ pɘ๏plɘ ๏f ɘλrth λmλzing plλcɘs t๏ disc๏vɘr whilɘ thɘy’rɘ λlivɘ. Wɘlc๏mɘ t๏ thɘ Coral Beach resort, t๏night is disc๏ night λt thɘ kλrλ๏kɘ bλr.


Produced by: cool places
crystaldataenterprises.bandcamp.com

The Learning Company ® – Observations on Ritual Landscape, Pilgrimage, and Human Sacrifice in the Southern Ouvis Region [PHANTOM-22]

 The Learning Company ® - Observations on Ritual Landscape, Pilgrimage, and Human Sacrifice in the Southern Ouvis Region [PHANTOM-22] Cover

 – Tracklist –
 01. Mountains of Sustenance and Cliffs of Paradise in Uvaisan Pilgrimage
 02. The procession leaves the village with drummers, flutists, ritual officials, and red banners – proceeding to Mount Uwei. They ascend and play their instruments until they reach the summit; there they play all night until the third day and do not sleep so they can preside over their Gods.
 03. Uvaisan Ritual Object
 04. What It Looks Like to Us & the Anthropological Terms We Use to Describe an Evil
 05. Uvaisan Pilgrims Ascend Mount Uwei
 06. Acropolis flanked by cliffs, ritual architecture, large zoomorphic figures, and three lakes
 07. Curved mountain that resembles depictions of Shu’ve in Uvaisan codices, near the Kajai’sha River
 08. Cannibal Women Descending a Stone Causeway
 09. The Apparition of Mary Above Pilgrims at the Shrine of Uvaisan
 10. Ritual Cave at the Ruins of Uwei
 11. One tribe’s sacred pilgrimage to a Shu’ve hidden temple goes haywire when the cave turns out to also be a backdoor to a wrathful jungle deity
 12. Uvaisan shrine of piled stones in a pool of blood at the end of a tunnel
 13. Incense burners light the way to an exit
 14. Uvaisan Pilgrims Sacrifice a Young Male at a causeway terminus, Crest of Zaisan
 15. Blood & Springwater Flowing Over a Ritual Cliff at Zaisan
 16. Mouth of the Sacred Shu’ve
 17. Line of Basalt Monuments Near Mounds, Spring, and Hills, Zaisan
 18. Ouvis Islands & Ritual Waters
 19. Conclusions: Neutralization/Sword of Saint Michael



 - 06. Acropolis flanked by cliffs, ritual architecture, large zoomorphic figures, and three lakes


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 Release Date : 2019.02.19
 Label : PHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze

 Keywords : Dungeon Synth, Midi, NewAge, RPG, Synth, VaporWave, VGM.


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“懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを”。というのは、周木律さんの書いた推理小説“堂”シリーズの第一作“眼球堂の殺人”に、森博嗣さんが寄せた惹句。今作を聴いていてそんな言葉がよみがえったのは(ちなみに“堂”シリーズは2019年2月刊行の“大聖堂の殺人”を以て、完結した)、懐かしく、潔い、というワードがあてはまったからに違いない。

てっきり動きを止めたと思っていたPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze(ex. ♱ )がちゃっかりカムバックしていることに気づいて、リリースをチェックする中で、圧倒的異彩を(というかこのレーベル/コレクティヴのリリース全体が異彩な気もする)放っていたのがこの作品。そもそもレーベル/コレクティヴなのか、一人が複数名義を使って作品をリリースしているだけなのか、いまだに判然としませんが、今作の作り手はThe Learning Company ®。“原子カフナCAFE”の拡張版、“原子カフナCAFE (a moderately enhanced audiophonic experience) ”の作り手としてその名前を見ることができますし、Karen Weatherlyの作品にもクレジットされています。

たとえばそう、Karen Weatherlyの“A Separate Reality”について、それはCarlos Castaneda(カルロス・カスタネダ)の著作に基づいた(架空の)冒険譚にあてがわれたサウンドではないかと、私は想像を逞しくしたわけですが、今作についても、これは似たコンセプトなのかなあと思い、ここに秘められている物語の源を探ってみようと試みたわけですが、さっぱり分かりませんねん・・・。各トラックのタイトルから何となく察するに、そしてタグに“RPG”と使われていることからして、やはり何がしかの冒険(それもビデオゲームの中の)がイメージされているのだろうとは思うのですが。このレトロな洋ゲー感丸出しのジャケットイメージとかどっから持ってきてるんだろう・・・知りたかったぜ。現代の少年が遺跡の中で不思議な剣を見つけて、異世界へ旅立つ・・・てまあ、ありきたりだけど、そんなお話が下地にあるのかなあ。

曲はMIDI風の音源で軽快な部分もあるんですが、トラックタイトルはけっこう穏やかじゃないですよね、M-12は‘Uvaisan shrine of piled stones in a pool of blood at the end of a tunnel’だし、M-14, 15も‘Uvaisan Pilgrims Sacrifice a Young Male at a causeway terminus, Crest of Zaisan’‘Blood & Springwater Flowing Over a Ritual Cliff at Zaisan’と、血のプールに石を積み重ねて作られた建物だったり、生贄や儀式と、血なまぐさいイメージが並んでいます。そういった部分のせいもあるんでしょうか、曲自体に圧力は決してないんですが、どこか重々しく、グロテスクに感じられてしまうのです。なんなら導入部のM-1にいつかのOPN(Oneohtrix Point Never)を感じたせいもあるかもしれません。メロディはあるけれども決して明るくはなく、ときおりバロック音楽やフォークロアを感じさせ、なおかつVGMを匂わせるという体裁からは、Dungeon Synthと共振するものを感じますし、積極的にその方向から紹介する人がいてもおかしくない。MIDI風のサウンドにごまかされてしまう部分もありますが、よくよく聴くと、面白いし、よくできている作品だと思います。私の中では名うてのトラックメイカーですね。

そう、“懐かしい”MIDI風のサウンドを、“潔く”使っていながらも、なんで”VaporWave”なん?て言われたら正直分かりませんよそんなもん。明らかに“過去”のものであるMIDIサウンドをNewAge調の大仰なサウンドと共にリバイヴさせているという点、プラス、その大仰さの中に漂う不穏なサウンドが、VaporWaveの何たるかを感じさせるからでしょうか。・・・にしてもタイトル長いなあ、いや、長いよなあ。

なぜか聴いていて思い出したビデオゲームがあってですね、いずれもKEMCO(ケムコ)が発売した作品で、“シャドウゲイト”と“悪魔の招待状”でした。不気味なんだけど、どこか滑稽、そして世界はファンタジーという部分で、リンクしたのかもしれません。以下に―













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Some rights reserved. Please refer to individual track pages for license info.



Micropolis A.D. – The Yotel EP

 Micropolis A.D. - The Yotel EP Cover

 – Tracklist –
 01. Yotel
 02. On Monday When I’m In My Hyundai
 03. Calamari
 04. After Hours
 05. Quantcast Strategies
 06. Softwear
 07. Yobot
 08. Mondria
 09. The Future
 10. Happy Midium



 - 01. Yotel


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 Release Date : 2016.04.12
 Label : Unknown

 Keywords : Easy Listening, Electoronic, House, Midi, Smooth, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ The Pod Village on bandcamp


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The Pod Villageというのがレーベル/コレクティヴなのか、はたまた一個人による複数名義の作品をリリースするための場であるのか、判然とはしませんが、私としては何となく後者ではあるまいかと思っています。まあ、そうだとしても、そうじゃなくても、何がどうなるわけでもないんですが。詳細は不明ですが、そんなThe Pod Villageのbandcampからリリースされているのが、Micropolis A.D.による“The Yotel EP”。他にMicropolis B.C.という名義もあるけれど、これは明らかに同一人物による別名義だろう。

ところでThe Pod Villageって何だろうなあと話を逸らしてみますが、このbandcampのヘッダー画像にある不思議な建築物、どこかで見た気がするなあと、調べていくと、どうやらこれは台湾新北市の区である三芝区(さんしく)に建設途中であったリゾート地“三芝飛碟屋”の様子。過去形で書いたのは、1970年代後半に建設が始まったものの、さまざまな理由により中途でプロジェクトが中断、結局そのまま放棄されてしまったからです。つまり廃墟。しばらくは放置されていたようですが、2010年には取り壊されて今は存在していないようです。UFO HouseやPod Cityと呼ばれ、オカルティックなうわさも手伝い、一時は注目も集めたようで、画像を目にした方も多いでしょう(気になる方はちょっと調べればいろいろな情報が出てきますので是非ご自身で)。

そんな廃墟と化した上で取り壊された近未来型建築物のイメージを利用したThe Pod Villageなわけですが、このイメージは今作のタイトル“The Yotel EP”にもつながってきます。私は知らなかったのですが、このYotelというワード、イギリスのYo!社(YO! Company)が日本発祥(諸説あり)のカプセルホテルを未来的に解釈、その形式を取り入れて運営しているホテルの名称だそうです。つまるところ近未来型カプセルホテルとでもいうか。で、どうですか、先のUFO Houseとカプセルホテル、蜂の巣じみた密集した居住空間というところで、何とはなしにイメージが重なりませんか。さらに言えばMicropolisというワードは、リアルタイム都市経営シミュレーションゲーム“SimCity”(シムシティ)をオープンソース化・フリーソフトウェア化したゲームに由来していると思われる。これまた都市の発展につれて建物は林立、高層になり、人口は増加…とイメージは先の密集感につながってはいかないだろうか。

そんなように近未来型都市的密集感、そして忘れてはいけない未来的でありながら廃墟という荒廃感・寂寥感あるいは郷愁、とくれば、ここから導かれる音楽性というと何が思いつくか、これはもうVaporWaveではあるまいか(いやそこに限る必要はないもちろん)。

といっておきながら、今作はそんなにコテコテとしたVaporWaveではない、どころか、VaporWaveを通過していない耳だと、その香りすら感じられないかもしれない(だったらここまでの道程は何だったんだとお思いでしょうかみなさん。そうですね、何だったのか自分でもよく分かりません)。Houseなリズムに、Easy Listeningともいえるスムースでrefreshingなメロディ。トラックによってはLiquid Funkな佇まいも感じられる。けれどちょっと待ってみよう、ときおりその音色に感じられる前時代なニュアンス、Midiというタグも使われているように、そこはかとなく漂うレトロスペクティヴな志向性。さらにいえばEasy Listening~NewAgeに一歩踏み込みかけたような、メロディに漂うリラックスでスムースな調子。これはまさにVaporWaveの何たるかに共振。

その上でサウンドを聴き直すと、スローなリズムが多いVaporWaveの中にあって、この音色、このメロディに、細かく刻まれたビートを組み合わせたスタイルというのもなかなかユニークな存在ではあるまいか(いやもちろんここにはミドル~スローなトラックもあるけれど)。センスという言葉を使うのが嫌いな方もいらっしゃるかとは思いますが、私はセンスという言葉を使いたい。ナイスセンスだ。でもほかの作品ではまた何か違うんですよねえ。もともとVaporWaveを標榜してたわけではなくて、作ってた音楽にたまたま重なる部分があっただけ、みたいな。そんな感じがします。あとpost-zooってタグはどういう意味なんだろ。


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(CC)by – nc – sa 3.0



MIXTAPE : MYSTICAL ZONE




Forget it.


– Tracklist –

 [00:00] Imachi Akira – Noise Dreams
  from “Lycoris radiata EP” [e09](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [05:42] PACIFICO CORP/国際 – ジャングルに深く
  from “アフリカへの旅” (2015)


 [09:02] Magnétophonique – Ghosts Dance
  from Les Halles / Magnétophonique – “Split II” [CR-08] (2013)


 [11:06] .onion – surfing the deepest
  from “YOU ARE LOST . . .” [LMV-110](2016)/ [ mirror


 [14:35] Un Vortice Di Bassa Pressione – to repel ghosts
  from “Anonymous said” [ioenl cdr 002](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [20:05] Friendzone – CHUCH
  from “’COLLECTION I (REMASTERED)” (2012)


 [23:24] Okkoto / / 돌로 – 420 / / 음식
  from “5F Dept. Store” (2015)


 [26:10] Karen Weatherly – Magical Passes
  from “A Separate Reality (2nd Edition)” (2015)


 [28:48] AirMosaic – Speculative Bubble
  from “Executive Horizons” (2015) / [ version


 [32:44] Mel – Un
  from “Un” [BP018] (2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [35:52] Amun Dragoon – Secret Whispers From The Tamate Box
  from “Sinews of Shadows, Temple of Darkness” (2013) / [DL


 [39:12] Adam Lempel – Claire De Lune
  from “Synthetic Classical MIDI Scores” (2009)


 [44:16] iN. – Snowtrap
  from “Nowhere Here” [FQP#004](2010)


 [47:47] Foresteppe – Little Bird Cherries
  from “No Time To Hurry” (2013)



Karen Weatherly – A Separate Reality (2nd Edition)

 Karen Weatherly - A Separate Reality (2nd Edition) Cover

 – Tracklist –
 01. Iridescent Valley
 02. Magical Passes
 03. Fellow Travelers of Awareness
 04. Journey to Ixtlan
 05. A Separate Reality
 06. Ayahuasca Safari
 07. Enchanted Desert
 08. Across the Prairie
 09. Units of Meaning
 10. On Alien Ground
 11. Peace in Every Step
 12. Mysterious Winds



 - 02. Magical Passes


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 Release Date : 2015.09.03
 Label : PHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze

 Keywords : Carlos Castaneda, Easy Listening, Melodic, Mystical, Midi, NewAge, Spiritual, Synthesizer.


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濃厚なMIDIサウンドだ! ☩(avaoneanaeon)改めPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeがお送りするKaren Weatherlyの作品。2nd Editionということでトラックがひとつ増えて、いくらかリマスターが行われている様子。

実際MIDI音源なのかMIDI風の音源なのかは私には分かりかねますが、いずれにしても90年代が全盛と思われるこのサウンドを今鳴らすことの意味というのはなんなのでしょうか。単純な懐古主義というのもあるかもしれませんし、むしろ逆に今だからこそ新鮮に響くことを意識しているのかもしれません―それが革新性に結びつく可能性が残されているのかどうか、私にはよく分かりませんが、たとえばbandcamp上でも“midi”のタグをあえて用いている作品はそう多くはありません。

そう考えると、このサウンドが作品の世界観にマッチするから、という理由がやはりもっとも適当に思えてくるわけですが、じゃあこの作品の世界観って何だろうって気になってしまったのです。そもそも作り手のKaren Weatherlyってどなたですかという話なんですが、あいにくこれは分からず。レーベルも無口なので、多くは語られておらず(まあどうしても知りたければ訊いてみればいいんですけどね)。クレジットにあるThe Learning Company ®ってのは以前に“原子カフナCAFE”を紹介したReelLife Music & Communicationsの新しい名義ですが、☉ Super CD-ROM² ☉ ってのは、何なのだろう。いやハードとしてのSuper CD-ROM²は存じておりますが、ここではその意味ではないような気がするのです。よく見たらタグにも“cd-rom”って付いてるしねえ、しかも“game”ってタグもあるし、じゃあもしかしたらこの作品自体が!何らかの!たとえばSuper CD-ROM²のソフトへのオマージュとか?なんて考えて画像検索するじゃないですか(楽しいですよねこういうの)―

そしたら別の道が開けたわけですが、まんまCarlos Castaneda(カルロス・カスタネダ)の著作“A Separate Reality”のペーパーバック版の表紙だった・・・(余談を言えば、M-2も彼の著作のタイトルだ)。さらによく見たらレーベルのbandcampの壁紙も同じ作品からとられている・・・何か通底するテーマがあるのだろうか。まあ私はカルロス・カスタネダの著作も読んでいないし、人物についても何ら知らないわけですが―

ドン・ファンを通して語られた非西欧的な知恵は読者を魅了し、アメリカ合衆国を中心として世界に広がったカウンターカルチャー全般、とりわけスピリチュアリズム、ニューエイジ運動などに影響を与えた。その背景には、ビートニク世代から受け継がれた禅や道教といった東洋思想への関心や、「他者の思想」によって西欧中心の世界観を反省しようとする人類学的な思想背景があった。(from Wikipedia)

―ということで、少なくともNewAgeやSpiritualという部分で、今作と繋がるのではないかと、考えることができます。著作を読めばあるいはもっと理解が深まるのかもしれませんが(“A Separate Reality”は“分離したリアリティ”のタイトルで翻訳が出てます)、そこまでは、しない! でもあんまりメロディ的にはNewAgeやSpiritualな瞑想感がないような気がする。・・・ああ、なるほど、著作の内容を調べてみると少し見えるものがある。薬物使用の幻覚体験なのではないかとか“そういう”部分は置いておくとして、ファンタジーというか、冒険譚的な部分も多分にあるのではないか、ジャケットに描かれている砂漠も確かにキーワードになっているようだし、そうすると、今作の”adventure”や“desert”というタグにも納得がいく。その物語をgameに見立てて、サウンドトラックを付した、という成り立ちも考えられるが、しかし、cd-romってあえて付ける意味が分からない・・・・。

東洋思想も見られるのだとすれば、M-3の人によってはズッコけそうな和テイストにも頷けるではないか。失礼かもしれないが、私はこの歌謡曲にも通じる軽快なトラックを聴いて、大好きな“がんばれゴエモン2”のBGMや、“かまいたちの夜”の‘わしが香山や!~男の大往生~’とか想起したクチなのですが、他にそういう人いませんか、いないですか、そうですか。しかしここでカルロス・カスタネダから香山誠一がつながるなどと、誰が想像したでしょうか(勝手につなげただけ)。

例によってまったくサウンドに触れていなくて申し訳ありませんが、とにかくメロディに富んでいて、フォークロアっぽい調子もあったりして、そこも私の琴線をくすぐるんです(どこにルーツがあるのか自分でもまったく分からないですが)。Karen Weatherlyはこのレーベル以外で名前を見かけませんが、気になった方はもうひとつ“Vision Quest EP”をリリースしているのでそちらも聴いてみてください。PsychedelicでSpirituralな見た目に反して、非常に聴きやすい内容のMIDIサウンドです。



 - Wild Rose Dreamers Lodge (from “Vision Quest EP”)


そういえば“Vision Quest”って映画あったなあ・・・ではなくて、ここではネイティヴ・アメリカンの儀式のそれでしょう。

ちなみに“separate reality”と“game”をキーワードに調べると、今や伝説と化したホラーゲーム“P.T.”が浮上しますが、まあこちらは関係ないでしょう(?)。そしてああ、結局The Learning Company ®は今作にどう絡んでいるの・・・。


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Note :

An Ethereal Simulation That Builds Real-Life Wisdom & Spiritual Understanding

Somewhat Remastered 2nd Edition

☉ Super CD-ROM² ☉

The Learning Company ®



ReelLife Music & Communications – 原子カフナCAFE

 ReelLife Music & Communications - 原子カフナCAFE

 – Tracklist –
 01. Ⓧⓔⓝⓞⓝ ①③⑤3D Interactive Tour
 02. /unspace virtual _MENU\\\
 03. Pizza Panic Thursday
 04. service with a smile
 05. Operation RSVP
 06. Enjoy your favorite flavor of Milk Shake in our Sci-Fi Dine-In Souvenir Glass
 07. 原子カフナCAFESignature Cobb Salad
 08. Build-Your-Own Angus Chuck Burger with Additional Toppings
 09. /plutopia\ ☢nuke-cola☢
 10. ZeroGravity Lounge
 11. Out-of-This-World Turtle Cheesecake
 12. or your money back



 - 01. Ⓧⓔⓝⓞⓝ ①③⑤3D Interactive Tour



 - 04. service with a smile


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 Release Date : 2015.10.01
 Label : (avaloneanaeon) ≫ PHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze

 Keywords : Electronic, Jazz, Lounge, Melodic, Midi, VaporWave, Virtual.


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鬱蒼と茂った森の中を歩いていくと、ふいに開けた場所へ出た。足元には赤や黄色の花が群生している。視線を先へ伸ばすと、建物が見え、その壁面には日本列島が描かれているように見える。その手前には十字架を模したような、十字に組まれた棒状のオブジェ。頭上を見ると、放射能を示すハザードシンボル(のようなもの)が、浮かんでいる。もしくは投影されているように見える! 

日本列島と放射能という組み合わせは否が応にも特定の事故を思い出させますし、タイトルも分解してみると、“原子”、“カフナ”=“ハワイ語で波の神”、“CAFE”=“カフェ”と意味を読み取ることができます。そうすると、ここにある建物はもしやカフェ・・・? どんなカフェなのかとさらに穿ってみることはしたくないのでしませんが、しかし入り口付近に見える光の玉たちは、いったい―

VaporWaveや、その流れを汲んでいると思われるMidi(あるいはMidiCore)作品において、なぜそういった特定の事件・事故をたとえイメージだけだとしても利用する事例があるのか、私にはよく分かりません(たとえば放射性Hi5とかは直球なところですし、島田市 Japan 1995の作品の一部にも当てはまるかと)。どこで結びついたのでしょうか。その結びつきを分析することをしたいわけではないので、当然ここではそういった話はしませんが、私がまず惹かれるのは、この視覚的イメージなんですよね(災害や事故を暗にモチーフのひとつにしていることは抜きにして)。薄暗い森と、その地面で相反するように咲き誇る花々(なんだったら毒々しさもある)、建物に向かい合っている人影は、生身の人間なのか(それにしては血色悪い。悪いというレベルではないが)、それともオブジェなのか、それともかつては人間だったものなのか、血肉や動きを感じさせないその様子は、不気味ですらある。足元に咲く原色系の花々と相対する、その血の通わない不気味さ。という構図が非常に私のツボに入ったのです。

音楽的にもさぞかし・・・と思うじゃないですか。思いますよね。でもこれがVaporWaveやMidi(あるいはMidiCore)のスタイルを利用した、JazzやLounge musicといってもよいであろう、実に軽やかで、Melodicなサウンド! いったいどうなってるんだ・・・。ジャケットイメージのせいで非常にひねくれた印象の作品になっています(それも狙いなのかもしれませんが)。こんなに不気味というかある種の恐怖さえ感じさせるイメージを使っておきながら、なんでこんなにイージーでさわやかな音を鳴らしているんだっていう。それも今作のひとつの特徴です。笑顔でナイフ持ってるみたいな、ちょっとした狂気すら感じるではありませんか。

そういった謎のMidi的サウンドによって展開されるVaporWaveな佇まいは、セカンドライフ的バーチャル感にキッチュな感覚をプラスしてプラスチックコーティングしたみたいな、感情性は現実世界に置いてきましたといわんばかりの、ある意味、異国風(エキゾチック)Lounge music。このまったく感情の読めない、たとえばホラー映画でいったらレザーフェイスとかブギーマンみたいな、表情のなさ、がたまらなくゾクゾクするのです。音楽的にはまったく怖くないですよ。むしろ明るいし、楽しい雰囲気があるんですが・・・。

作った方がぜんぜん意図してなかったら申し訳ないんですが、ここには私の思う“恐怖”のひとつの形がありますね。だから惹かれるんだと思います。

あと“☩”って、勝手にレーベル/コレクティヴ扱いしてますが、実際成り立ちがよく分かってません私。読み方はavaloneanaeonで良いと思うんですが・・・。他にも作品リリースされてますんで、気になる方は訪れて、そして掘ってみてくださいませ。

※現在はどうやらPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeというレーベル名になっているようで、それに伴いbandcampもアカウント変更しています。またリマスター版“原子カフナCAFE (a moderately enhanced audiophonic experience)”のリリースに合わせて、アーティスト名もThe Learning Company ®と変更されています。